用語名称(日本語、外国語)
コンヴェルサッシオン
フランス語で「conversation」と表記され、直訳すると「会話」という意味になります。
フランス伝統菓子の世界には、名前自体が物語を語るものが少なくありません。そのひとつがコンヴェルサッシオンです。
日本語ではコンヴェルサッシオン、コンベルサシオン、またはコンヴェルサシヨンと表記されることが多く、パティスリーのショーケースで見かけたら思わず手に取りたくなる、優雅で親しみやすい焼き菓子です。
意味
このお菓子は、基本的にパイ生地を土台に使います。サクサクと軽やかな折り込みパイ(フイユタージュ)を型に敷き、中にアーモンド風味のクリームを詰めます。クリームはクレーム・ダマンドやフランジパンと呼ばれるもので、アーモンドプードルに卵やバターを加えたしっとりとした味わいが特徴です。時には栗の渋皮煮を加えたアレンジ版、コンヴェルサシヨン・オ・マロンとして登場することもあります。表面には卵白と粉糖で作るグラス・ロワイヤルという白い糖衣を塗り、その上に細いパイ生地の帯を斜めに格子状にのせて焼きます。焼き上がると、グラス・ロワイヤルが薄く固まってザクザクとした食感を生み、パイの香ばしさとクリームのコクが絶妙に絡み合います。
名前の由来についてはいくつかの説があります。18世紀にフランスで人気を博したエピネー夫人の小説『Conversations d’Emilie』から取ったという定説が有力です。当時の貴婦人たちが社交の場でこの小説を話題にしながらお菓子を楽しんだ様子を想像させるためでしょう。また、表面の×印のような格子模様が、会話をするときに腕を交差させるフランス独特のジェスチャーを表しているという解釈もあります。あるいは、グラス・ロワイヤルが焼けてパリッと割れる音が、賑やかな会話のように聞こえるからだという声もあります。いずれにせよ、ただの菓子ではなく「会話を弾ませるための小菓子」として親しまれてきたことがわかります。
用語を使う場面・対象となる食品
コンヴェルサッシオンを使う場面は、主にお茶の時間やアフタヌーンティーです。パティスリーやブーランジェリーで並ぶ小さなサイズのタルトレットとして提供されることが多く、手でつまんでそのまま頰張れる手軽さが魅力です。サクサク、しっとり、ザクザクの三重の食感が口の中で広がるため、紅茶やコーヒーと一緒に味わうと会話が自然と弾みます。家庭で作る場合も冷凍パイシートを使えば手軽にアレンジ可能ですが、本格的に仕上げるならパイ生地の接着をしっかり行い、クリームを入れすぎないのがコツです。食べ頃は焼き立てを少し冷ました常温時で、温め直してもおいしくいただけます。
このお菓子は、見た目のエレガントさと食べやすさを両立させたフランス菓子の好例です。パリのお店で出会ったら、ぜひ「会話」の一助として選んでみてください。
