お菓子の名前(日本語)
五家宝(ごかぼう)
お菓子の名前(外国語)
Gokabō(英語表記:Gokabo / Gokabou)
お菓子の分類
和菓子 > 干菓子 > おこし類
どんなお菓子
五家宝(ごかぼう)は、埼玉県を代表する伝統的な和菓子です。草加市の「草加煎餅」、川越市の「芋菓子」と並んで「埼玉三大銘菓」のひとつに数えられており、とりわけ熊谷市の銘菓として全国的に知られています。
その構造は、三層から成り立っています。まず中心には「タネ」と呼ばれる芯があります。これは、もち米を蒸して餅にした後、薄くのばして乾燥させ、細かく砕いて煎り、あられ状にしたもの(おこし種)を、水飴や砂糖の蜜で固めて円柱状にまとめたものです。このタネの周囲を、きな粉に水飴を混ぜ練り上げた「皮」で巻きつけ、さらに表面にきな粉をたっぷりとまぶして仕上げます。
見た目は、きな粉をまとった小さな俵型あるいは棒状の菓子で、その素朴な外観からは想像できないほど繊細な味わいと食感を持っています。口に入れると、外側のきな粉が香ばしく香り、中のおこし種がサクサク・ふわっとした独特の食感を生みます。水飴由来のやさしい甘みときな粉のコクが渾然一体となり、噛みしめるほどに穀物の豊かな風味が広がります。
和菓子の分類上は「干菓子」の中の「おこし類」に位置づけられますが、一般的なおこしのように硬くはなく、柔らかいおこしともいうべき独特の食感が大きな特徴です。添加物を一切使わず、もち米・大豆(きな粉)・砂糖・水飴というシンプルな素材だけで作られている商品も多く、近年は健康志向の自然食品としても改めて注目されています。
2022年には文化庁の「100年フード」制度において、「伝統の100年フード部門〜江戸時代から続く郷土の料理〜」に認定され、さらに全国131件のうちわずか15件しか選ばれない「有識者特別賞」も受賞しました。また、五家宝の製造店からきな粉の香ばしい香りが漂う熊谷の風景は、「埼玉の音風景・かおり風景10選」のかおり風景にも選定されており、埼玉県の食文化を象徴する存在といえます。
お菓子の名前の由来
五家宝という名前は、時代とともに表記が変遷してきました。最も古い記録では「五荷棒」や「五嘉棒」と書かれており、文政年間(1818〜1829年)に熊谷で「五嘉棒」の名で売り出されたのが始まりとされています。その後、「五嘉宝」「五箇宝」「五ケ宝」といったさまざまな表記が用いられました。
現在の「五家宝」という表記に落ち着いた背景には、「五穀は家の宝である」という祈りが込められています。五穀とは米・麦・粟・豆・黍(きび)のことで、農作物の豊穣と家庭の繁栄を願う、日本人の自然への感謝の気持ちが凝縮された名前です。原料であるもち米や大豆などの穀物が、そのまま人々の暮らしの宝であるという思いが、この四文字に表現されているのです。
なお、地名に由来する説もあります。上野国(現在の群馬県邑楽郡千代田町付近)の五箇村で享保年間(1716〜1736年)に開発されたことから「五箇宝」と呼ばれたとする説や、茨城県猿島郡の五霞(ごか)の地名に由来するという説もあり、名前の由来は発祥の地の謎と密接に絡み合っています。
お菓子の歴史
五家宝の歴史は江戸時代中期まで遡ります。文献上の最古の記録は、江戸時代後期の文人・大田南畝(蜀山人)の随筆『奴凧(やっこだこ)』(1821年刊)に見られます。この中で南畝は、安永6年(1777年)に将軍・徳川家治の日光社参に随行した折、道中で「五荷棒」という菓子を食べたこと、さらに40余年後の文政3年(1820年)に、友人から「武州忍領北秩父辺の菓子」として「五かぼう」を送られたことを記しています。ただし、当時のものが現在の五家宝と同一であったかどうかは定かではなく、もち米や砂糖をふんだんに使えなかった時代ゆえ、味や食感は現在とは大きく異なるものであったと推察されています。
五家宝が熊谷の名物として定着したのは、中山道の宿場町として栄えた熊谷の地理的・農業的条件に恵まれていたことが大きな要因です。熊谷周辺では、「石原米」と呼ばれる良質なもち米が生産され、畦では大豆(きな粉の原料)が豊富に栽培され、水飴の原料となる大麦の収穫量も多かったのです。中山道を行き交う旅人の間で五家宝の評判は広まり、熊谷を代表する名物として根付いていきました。
五家宝が現在の洗練された味と形に発展したのは明治期以降とされています。天保14年(1843年)に大里郡玉井村(現在の熊谷市)に生まれた高橋忠五郎なる人物が、原材料や製法に改良を加え、現在の五家宝の基礎を作ったと伝えられています。明治20年(1887年)には堀内製菓が創業し、それ以前の1765年(明和2年)には紅葉屋本店の初代・紅葉屋庄次郎が創業するなど、現在も続く老舗がこの時代前後に相次いで誕生しています。
その後、五家宝は埼玉県を代表する銘菓として全国に知られるようになり、全国菓子大博覧会でも数々の賞を受賞してきました。今なお、昔ながらの手作り技法を継承し、熟練の職人の腕と勘に頼りながら家内工業的に製造されている点が、五家宝の大きな魅力です。
発祥の地
五家宝の発祥地については確定した定説がなく、複数の説が並存しています。主なものは以下の通りです。
第一に、水戸藩の銘菓「吉原殿中」を起源とする説です。水戸出身の水役人が文政年間に武蔵国の熊谷宿付近に移住し、故郷の「吉原殿中」を改良して「五嘉棒」として販売したという説と、群馬県の菓子商が吉原殿中を参考に「五ケ宝」として売り出し、その評判を聞いた大里郡玉井村の者が模倣したという説があります。
第二に、上野国五箇村(現在の群馬県邑楽郡千代田町)で享保年間に開発されたとする説です。第三に、下総国五霞村(現在の茨城県猿島郡五霞町)で1850年頃に開発されたとする説、第四に、武蔵国不動岡(現在の埼玉県加須市)で文化年間(1804〜1817年)に開発されたとする説があります。さらに、天明の大飢饉の際に武蔵国奈良村(後の熊谷市)の名主が被災者に焼き米を提供し、これをきっかけに菓子が開発されたという説もあります。
いずれにせよ、江戸中期以降に北関東の広い範囲で作られ始め、中山道の宿場町であった熊谷の地で磨かれ、発展してきたということは確かです。現在では、主な産地は埼玉県の熊谷市と加須市であり、特に熊谷市が最大の産地として知られています。
国:日本 都道府県:埼玉県(熊谷市、加須市が主な産地)
有名な商品(メーカー名と商品名と販売価格)
五家宝を製造・販売する名店は数多くありますが、ここでは特に有名な店舗と商品を紹介します。
紅葉屋本店(もみじやほんてん)
1765年(明和2年)創業で、260年以上の歴史を持つ五家宝の最古参の老舗です。きな粉や菓子種をすべて原材料から自社工場で一貫製造しているのが大きな特徴で、無添加・無着色の五家宝を作り続けています。第16回全国菓子大博覧会で名誉大賞牌を受賞した実績もあります。主な商品は「五家宝 15本入り」が756円(税込)、「特製五家宝詰合せ 15本入り」が918円(税込)、「紅白五家宝 15本入り(個包装)」が810円(税込)、「太巻 1本(箱入)」が432円(税込)です。定番のきな粉味のほか、ごまやアーモンドなどの変わり種も展開しています。
堀内製菓(ほりうちせいか)
明治20年(1887年)創業の老舗で、熊谷駅北口から徒歩約7分の場所にあります。上質な大豆ともち米を使用し、昔ながらの製法を守り続けています。人気商品は長さ60センチの「五家宝 末長く」で、「ご縁を大切にする気持ちを長さに込めた」ユニークな一品です。金刺繡のメッセージ入り箱は用途に合わせて選ぶことができます。「五家宝 きな粉 18個」が1,370円(税込)、「五家宝 うぐいす 18個」が1,604円(税込)、「五家宝 末長く(金刺繡)」が2,052円(税込)です。
埼玉製菓(さいたませいか)
1962年創業の五家宝専門メーカーで、熊谷市妻沼地区に所在します。国産100%の大豆ともち米を使用し、五家宝だけを一筋に作り続けてきました。全国菓子博覧会で金賞を受賞した実績があります。きな粉がこぼれにくい「魔法の五家宝(8個入り)」648円(税込)や、定番の「五家宝 20本入り」648円(税込)、青大豆を使用した「五家宝 うぐいす味 20本入り」756円(税込)など、多彩な商品ラインナップが特徴です。カップタイプの五家宝は車のドリンクホルダーに入るサイズで、手軽に楽しめると好評です。
花堤(はなつつみ)
明治創業の老舗で、国内産のもち米と大豆を使い、五家宝種ときな粉から一貫して製造しています。プレーン、抹茶、あんず、チョコレート、コーヒー、ほうじ茶、塩レモン、桜塩など、非常に豊富な味のバリエーションが魅力です。「細巻 花堤」100円(税込)、「太巻 桜堤」100円(税込)、「五家宝いろいろ 6種12個入り」1,400円(税込)などがあります。
たねに
約150年続く老舗で、熊谷駅から徒歩約9分の場所にあります。山形県産の青大豆から作る自家製の「青きな粉」を使用し、古くから伝わる製法で五家宝の種から4日かけて製造しています。「五家宝 18本入り」900円、「太巻き 2本入り」1,000円、「五家宝(個包装9袋入り)」1,100円などを販売しています。
梅林堂(ばいりんどう)
熊谷市に本社を置き、埼玉県と群馬県で33店舗を展開する和菓子チェーンです。「五家宝 5個入り」550円(税込)、「五家宝 8個入り」1,096円(税込)、「五家宝 12個入り」1,591円(税込)を販売しています。公式オンラインショップでの購入も可能です。
味や食感などの特徴
五家宝の味わいを語るうえで欠かせないのは、何といってもきな粉の香ばしさです。外側にたっぷりとまぶされたきな粉が、口に入れた瞬間にふわっと広がり、炒った大豆特有の芳醇な風味が鼻に抜けます。この香ばしさこそが五家宝の第一印象を決定づける要素であり、製造元ごとにきな粉の焙煎度合いや大豆の品種が異なるため、味の違いが生まれます。
食感は、外側のきな粉皮のしっとりとした柔らかさと、中のおこし種のサクサクとした軽やかさの二層構造が特徴です。一般的なおこしのような硬さはなく、「柔らかいおこし」とでも呼ぶべき独特の歯触りがあります。噛むほどに水飴のやさしい甘みともち米の風味が溶け出し、素材そのものの滋味が広がっていきます。
甘さは全体的に控えめで上品です。砂糖と水飴の甘みが主体ですが、きな粉のほのかなほろ苦さが甘さを引き締めており、くどさを感じさせません。日本茶、特に煎茶やほうじ茶との相性が抜群で、お茶請けとして非常に優れています。
また、気温や湿度によって食感が微妙に変化するのも五家宝の面白い特性です。涼しい時期にはサクサク感がより際立ち、暖かい時期にはやや柔らかくしっとりとした食感になります。職人たちは季節や天候に合わせて水飴の量や練り具合を調整し、一年を通じて最良の状態を維持しています。
どんな場面やどんな人におすすめ
五家宝は、さまざまな場面で喜ばれるお菓子です。
まず、お土産として非常に優れています。常温保存が可能で日持ちも比較的よく、個包装のものも多いため、職場や友人への配り物にも最適です。埼玉県を訪れた際のお土産として、草加煎餅や川越の芋菓子と並ぶ定番の選択肢となっています。
日本茶を愛する方には特におすすめです。きな粉の香ばしさと控えめな甘さは、煎茶やほうじ茶と合わせると絶妙なハーモニーを生みます。午後のお茶の時間に、静かに味わっていただきたい一品です。
健康志向の方にも向いています。多くの五家宝は、もち米、大豆(きな粉)、砂糖、水飴のみで作られており、保存料や着色料を使用していないものが主流です。大豆由来のタンパク質やイソフラボンを含み、消化も良いとされていることから、小さなお子さまからご年配の方まで安心して楽しむことができます。
贈答品としても活躍します。「五穀は家の宝」という縁起の良い名前の由来から、お祝いの席やお歳暮・お中元などの贈り物として重宝されています。堀内製菓の「五家宝 末長く」のように、結婚祝いや長寿祝いなどの慶事にふさわしいメッセージ性のある商品もあります。紅葉屋本店の「紅白五家宝」も卒業・入学・結婚などのお祝いに好適です。
和菓子に興味を持ち始めた方や、地方の伝統菓子を巡る旅を楽しむ方にとっても、200年以上の歴史を持つ五家宝は、日本の菓子文化を深く知るための格好の入り口となるでしょう。
材料
五家宝の基本的な材料は驚くほどシンプルで、大きく分けると以下の4つです。
「もち米」は五家宝の芯となる「タネ(おこし種)」の原料です。蒸してから餅につき、薄くのばして乾燥・粉砕した後、煎ってあられ状にします。このあられが五家宝のサクサクとした独特の食感を生み出します。
「大豆(きな粉)」は、炒った大豆を挽いて粉にしたもので、五家宝の風味を決定づける最も重要な素材です。黄大豆から作る通常のきな粉のほか、青大豆から作る「うぐいすきな粉」を使用する店もあり、品種や焙煎度合いによって風味が大きく変わります。
「水飴」は、おこし種を固めるための接着剤の役割と、皮の柔らかさを保つ役割を果たします。大麦から作られる麦芽水飴が伝統的に使われてきました。
「砂糖」は、甘みの調整に用いられます。上白糖が一般的ですが、製造元によって使用する砂糖の種類や配合量は異なります。
この4つの素材だけで構成されている五家宝は、まさに「五穀の恵み」を凝縮した素朴な和菓子といえます。
レシピ
本格的な五家宝は熟練の職人技が必要ですが、家庭で雰囲気を楽しめる簡易版のレシピを紹介します。
材料(約10本分)
タネ用として、市販のライスパフ(ポン菓子)60g、水飴50g。皮用として、きな粉80g、水飴40g。仕上げ用として、きな粉を適量用意します。
作り方
- 皮を作ります。ボウルにきな粉80gを入れ、水飴40gを少しずつ加えながら手でよくこねます。耳たぶくらいの柔らかさになるまで練り上げたら、ラップに包んで置いておきます。
- タネを作ります。鍋に水飴50gを入れて弱火にかけ、軽く温めて流動性を持たせます。火を止めてライスパフを加え、水飴が全体にムラなく行き渡るよう手早く混ぜ合わせます。
- タネを成形します。水飴を絡めたライスパフを、手で棒状(直径約1.5cmの円柱形)にまとめます。5〜6cm程度の長さに切り分けておきます。
- 皮でタネを巻きます。まな板にきな粉(分量外)を振り、皮の生地をのし棒(あるいはラップの芯など)で薄く長方形にのばします。のばした皮の上にタネを置き、くるくると巻きつけます。
- 仕上げます。巻き上がった五家宝の表面に、きな粉をたっぷりとまぶして完成です。好みの長さに切り分けてお召し上がりください。
さらに簡単に作りたい場合は、きな粉2/3カップとはちみつ60ccを混ぜ合わせたものを皮にし、市販のひなあられを芯にして巻く方法もあります。本格的な五家宝とは異なりますが、きな粉の風味と軽い食感を手軽に楽しむことができます。
販売温度帯
五家宝は常温で販売されています。干菓子に分類されるため水分量が少なく、冷蔵や冷凍の必要はありません。ただし、高温多湿の環境下ではきな粉が湿気を吸って風味が落ちたり、水飴が柔らかくなりすぎたりする恐れがあるため、直射日光を避けた涼しい場所での保存が推奨されています。夏場はチョコレート入りの商品を製造しない店があるなど、気温への配慮が見られます(花堤のチョコレート味は秋〜初夏の限定販売)。
主な流通形態
五家宝は、主に以下のような形態で流通しています。
最も基本的なのは、製造元の店頭での直接販売です。熊谷市や加須市を中心に、紅葉屋本店、堀内製菓、たねに、花堤、埼玉製菓などの専門店が自社製造の五家宝を販売しています。
近年は各製造元のオンラインショップ(公式サイト)やAmazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどのECサイトでの通信販売も盛んです。遠方に住む方でも手軽に購入でき、五家宝の認知度拡大に一役買っています。
また、埼玉県内の百貨店(八木橋百貨店など)やJR熊谷駅構内の売店、高速道路のサービスエリア、埼玉県内の土産物店でも取り扱いがあります。梅林堂のように県内外に33店舗を展開するチェーン店もあり、比較的入手しやすくなっています。
さらに、駄菓子に近い量産品としては、西倉製菓の「セロ巻き五家宝」のようにセロハンで包装された手頃な商品がスーパーマーケットなどに流通しています。
価格帯
五家宝の価格は、製造元や商品の種類によって幅がありますが、おおむね以下のような範囲です。
少量の食べきりサイズや単品のものは、100円〜500円程度で購入可能です。花堤の細巻は1個(2本入り)100円から、埼玉製菓の20本入りは648円と、日常的に楽しめる手頃な価格帯です。
贈答用の箱入り商品は、800円〜2,000円程度が中心的な価格帯です。紅葉屋本店の15本入りが756円、堀内製菓の18個入りが1,370円、梅林堂の12個入りが1,591円といった具合です。
特別な贈答品や大容量の詰め合わせになると、2,000円〜5,000円程度となります。堀内製菓の「五家宝 末長く(金刺繡)」が2,052円、花堤の詰め合わせ12個入りが5,100円などがこの価格帯です。
総じて、和菓子の中では比較的手頃な価格で購入でき、気軽な手土産から格式のある贈答品まで、幅広い用途と予算に対応できるのが五家宝の魅力のひとつです。
日持ち
五家宝は干菓子に分類され、水分量が少ないことから、和菓子の中では比較的日持ちする部類に入ります。一般的な賞味期限は、製造日から約1ヶ月程度に設定されている商品が多く、お土産として持ち帰るにも十分な期間があります。
ただし、保存料や化学調味料を使用していない完全無添加の五家宝の場合は、賞味期限が製造日から10日〜2週間程度とやや短めに設定されている場合があります。購入の際には、各店舗で賞味期限を確認することが推奨されます。
保存方法としては、常温保存が基本です。直射日光と高温多湿を避け、涼しい場所に保管してください。開封後はきな粉が湿気を吸いやすいため、できるだけ早めに食べきることをおすすめします。
アレンジ・バリエーション
五家宝は伝統的なきな粉味が基本ですが、近年は各製造元が創意工夫を凝らし、多彩なバリエーションが生まれています。
味のバリエーション
「うぐいす」です。青大豆から作ったうぐいすきな粉を使用したもので、淡い緑色の美しい見た目と、通常のきな粉よりも脂肪分が少なく甘みが強い上品な味わいが特徴です。堀内製菓や埼玉製菓、たねにで販売されています。
抹茶
きな粉の皮に抹茶を練り込んだバリエーションで、水飴の甘みと抹茶のほろ苦さが調和した味わいです。花堤の「熊谷堤」が代表的な商品です。
チョコレート
皮にカカオマスを練り込み、タネの部分にココアパウダーを加えた洋風のアレンジです。花堤では秋から初夏の限定商品として販売しています。ほろ苦く甘さ控えめな味が、従来の五家宝ファン以外の層にも人気です。
その他にも、花堤では「あんず入り」「コーヒー味」「ほうじ茶味」「塩レモン味(夏季限定)」「桜塩味(春限定)」「焦がし五家宝」「黒蜜で食べる五家宝」など、季節ごとの限定商品を含む多彩なフレーバーを展開しています。「黒蜜で食べる五家宝」は、アイスクリームを添えれば夏のデザートにもアレンジできる新しい提案です。
紅葉屋本店では「ごま」や「アーモンド」など、ナッツ系の変わり種も取り扱っています。また、五家宝の種(おこし種)を応用した「サクサクショコラ」(花堤)のように、五家宝の製法を洋菓子に応用した商品も登場しています。
形状のバリエーションとしては、通常の「細巻き」(直径約2cm、長さ約6cm)に対して、その4倍太い「太巻き」があります。太巻きは中のタネの部分が多いため、サクサク感がより強く味わえます。堀内製菓の「五家宝 末長く」は長さ60cmという日本一長い五家宝で、お祝いの贈り物として人気を集めています。
埼玉製菓の「魔法の五家宝」は、きな粉がこぼれにくい工夫が施された商品で、五家宝の唯一の欠点ともいえるきな粉の飛び散りを解消しています。また、同社のカップタイプの五家宝は車のドリンクホルダーに入るサイズで、手軽に食べられるようにデザインされています。
このように、200年以上の伝統を守りながらも、現代のライフスタイルや嗜好に合わせた新しい五家宝が次々と誕生しています。伝統と革新が共存する点が、五家宝が今なお愛され続ける理由のひとつといえるでしょう。
