用語名称(日本語、外国語)
サリーラン
英語:Sally Lunn
意味
サリーランは、イギリスの南西部にあるバース地方の伝統的な菓子パンです。イーストを加えて発酵させた生地に卵とバターをたっぷり使い、ブリオッシュに似た柔らかさと風味が特徴です。オックスフォード百科事典では「お茶の時間に温めて食べる軽くて甘いケーキ」と説明されています。
形状は丸く背の高いものが一般的で、直径約13センチ程度のデコレーション型を使って焼くのが標準です。生地はほんのり甘く、しっとりとした口当たりで、表面は黄金色に焼き上がり、中は白く柔らかいコントラストが美しい点も魅力の一つです。
名前の由来は17世紀頃のバースで活躍したフランスからの移民の少女、Solange Luyon(英語風にSally Lunnと呼ばれた)の名前から来ているという伝説が広く知られています。彼女がパン屋で働いて作った卵とバター豊富な柔らかいパンが地元で人気を集め、そのまま名前が定着したそうです。一方で、フランス語の「soleil(太陽)」と「lune(月)」が訛ったもので、焼き色の金色と生地の白さを表しているという説もあります。いずれにせよ、18世紀のジョージ王朝時代にはバースの社交界で朝食やティータイムに欠かせない存在になっていました。
用語を使う場面・対象となる食品
サリーランは、主に午後のティータイムや朝食、軽い軽食として登場します。バースの歴史あるティールームでは、今も温かい状態で提供され、横半分にスライスしてグリルで軽くトーストしたあと、バターを塗ったり、クロテッドクリームやレモンカードを添えたりして食べます。シナモンバターを挟んだアレンジも人気で、甘さと香りが紅茶によく合います。
対象となる食品としては、菓子パンやティーケーキのカテゴリーに入ります。バースのもう一つの名物である「バース・バン」と並ぶ郷土菓子パンで、日常のおやつというより、少し特別な場面で楽しむ柔らかい甘いパンです。家庭で再現するレシピも多く、強力粉に薄力粉を少し混ぜ、砂糖、卵、牛乳、マーガリンやバターを加えてこね、型で焼くシンプルな工程が基本。干しぶどうやナッツを入れるバリエーションもあり、食卓に並ぶと温かみのある雰囲気を作り出します。
日本ではイギリス菓子の紹介記事やパン屋さんのメニューでたまに見かける程度ですが、本場のSally Lunn’s Historic Eating House(1482年築の古い建物)に行くと、薪オーブンで焼いた本物が味わえます。現地ではスープと一緒にランチとして出されることもあり、朝から夜まで幅広い時間帯で親しまれている点が特徴です。
サリーランは、ただの甘いパンではなく、バースの歴史や文化を映す存在です。柔らかい食感と控えめな甘さが、紅茶の時間にぴったりと溶け合うところが、長く愛され続ける理由でしょう。レシピを試す際は、ホイロをしっかり取って生地をふんわり仕上げると、本場の味わいに近づきます。
