用語名称(日本語、外国語)
天火(てんぴ)
英語:oven
意味
天火とは、箱型の密閉された調理器具で、中に入れた食品を周囲の熱で全体的に加熱し、蒸し焼きにするものを指します。現代のオーブンとほぼ同じ役割を果たす器具です。
特に昭和時代に家庭で広く使われた「天火オーブン」は、ガスコンロの上に置いて使用するタイプが多く、コンロの火力を調節しながら庫内温度を上げて焼成します。底が開いていて直接火の熱を対流させる仕組みが特徴的で、電気オーブンが普及する前の主流でした。
語源は「天から降りる火」のイメージから来ており、熱源が上部や周囲から来る加熱方式を表しています。古いレシピ本やお菓子作りの本では、今でも「天火で180℃・20分」と表記されることがあります。
用語を使う場面・対象となる食品
お菓子作りでは、主に焼き菓子の焼成工程で登場します。スポンジケーキ、ビスケット、クッキー、タルト、シュークリームの殻、パウンドケーキ、マドレーヌなどの生地を天板や型に流して焼く際に「天火で予熱」「天火で焼く」と指示されます。
和菓子では、焼き饅頭や最中、煎餅などの乾菓子類の仕上げにも関連しますが、洋菓子レシピでより頻出です。プロの製菓現場では業務用オーブンを指す場合もありますが、家庭向けレシピでは昔ながらのガス式天火を思い浮かべる人が多いです。
使い方の一例として、ケーキ生地を型に流し、天火を180℃に予熱してから中段で15〜25分焼く、といった具体的な温度と時間指定が一般的。温度ムラが出やすい器具なので、途中で天板を回転させたり火力を調整したりする工夫が求められます。
天火という呼び方は、現代の若い世代には少し懐かしく感じられるかもしれませんが、レシピの伝統を大切にするお菓子作りでは今も生き続けています。ガスオーブンならではの火力の強さと湿度を活かした焼き上がりは、表面がカリッとして中はしっとりとした食感を生みやすい点が魅力です。
最近は復刻版やレトロデザインの天火オーブンも見直されており、昭和の味を再現したいホームベイカーの間で人気を集めています。

