用語名称(日本語、外国語)

九重(ここのえ)

外国語の該当する標準的な呼称はありません。英語圏では「Kokonoe」や「drinkable Japanese arare confection(飲めるあられ菓子)」のように説明されることがあります。

意味

九重とは、細かなあられの粒一つひとつに、柚子・ぶどう・緑茶(挽き茶)の風味を付けた糖衣を絡めた和菓子です。粒を器に入れてお湯や水を注ぐと、糖衣がすっと溶け出して水に美しい色が広がり、あられがふわりと浮かび上がります。見た目も華やかで、飲む過程を楽しめる「飲む和菓子」として親しまれています。甘さは控えめで、香りと食感が特徴。粉末ジュースのような手軽さがありながら、和の風情をしっかり感じられる一品です。

このお菓子が生まれた背景には、明治時代の出来事があります。1901年(明治34年)、明治天皇が仙台を訪れた際、九重本舗玉澤が献上した創製中の菓子を、東久世通禧公が万葉集の歌「いにしへの奈良の都の八重桜 けふ九重に匂ひぬるかな」にちなんで「九重」と名付けました。
「九重」は古くから宮中や皇居を表す言葉で、幾重にも重なる格式の高さを意味します。
この命名をきっかけに、九重は茶菓として広く知られるようになり、店そのものの屋号にもなりました。

用語を使う場面・対象となる食品

九重という用語は、主に宮城県仙台市の九重本舗玉澤や、福島県喜多方市の九重本舗奈良屋で作られるこの銘菓を指します。どちらも伝統を守りながら製造を続けていて、玉澤は1675年(延宝3年)創業の老舗として特に有名です。

使う場面は幅広いです。冬は熱いお湯を注いで温かい飲み物に、夏は冷水でさっぱりとした味わいに。近年はソーダ水を加えて炭酸飲料風にしたり、ハイボールやスパークリングワインと合わせたりするアレンジも人気です。また、アイスクリームやヨーグルトにトッピングしてデザートにする人も増えています。茶席やおもてなしの席では、湯を注ぐ瞬間の香りの広がりが会話のきっかけになることも。土産物としても重宝され、仙台を訪れた人が求める定番の一つです。

対象となる食品は、まさにこの粒状のあられ菓子そのもの。原材料はあられと風味付きの糖衣が中心で、シンプルながら職人の技術が光ります。賞味期限は約60日程度と長めなので、常温保存が可能。開封後は早めに使い切るのがおすすめです。

九重はただ甘いお菓子というだけでなく、歴史と工夫が詰まった東北の和菓子文化を体現しています。飲むたびに、明治の時代から続く職人の想いを感じられるでしょう。仙台土産を探す際や、変わった和菓子に興味がある方は、ぜひ一度試してみてください。季節を問わず楽しめる点も、九重の魅力です。

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