用語名称(日本語、外国語)

実用新案(じつようしんあん)

関連語:実用新案権、実用新案登録、考案、実用新案技術評価書

英語:utility model

実用新案は、お菓子そのものの味やレシピを指す言葉ではありません。菓子業界では、菓子の形状、包装容器、製造補助具、陳列・持ち運びに関わる構造など、物の形や仕組みに関するアイデアを保護するときに使われる知的財産の用語です。

意味

実用新案とは、実用新案法で保護される「物品の形状、構造又は組合せに係る考案」のことです。ここでいう「考案」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作を指します。

簡単にいうと、実用新案は「ちょっとした構造上の工夫」や「使いやすさを高める形のアイデア」を守る制度です。特許が発明を対象にするのに対し、実用新案は物品の形、構造、組み合わせに対象が絞られます。

たとえば菓子分野では、次のようなものが検討対象になり得ます。

・割れやすい焼き菓子を保護するための仕切り付き容器
・チョコレートを取り出しやすくするトレー構造
・個包装を開けやすくする切り込みや折り返し構造
・ケーキや和菓子を崩さず運ぶための固定具
・菓子を一定の形に成形するための型や器具
・複数の菓子と付属具を組み合わせた、食べやすさを高めるパッケージ構造

一方で、実用新案では守りにくいものもあります。たとえば、味の配合、香り、原材料の組み合わせ、製造方法そのもの、販売方法、ネーミング、ロゴ、パッケージの見た目のデザインだけを保護したい場合は、実用新案とは別の制度を検討します。味や配合であれば特許や営業秘密、名前なら商標、見た目のデザインなら意匠が関係することがあります。

また、実用新案は特許と違い、原則として新規性や進歩性についての実体審査を経ずに登録されます。特許庁は、方式要件や基礎的要件を確認し、要件を満たす出願について設定登録を行います。そのため、登録されたからといって、その考案が必ず有効であると確定したわけではありません。

権利行使を考える場合には注意が必要です。実用新案権者などが相手に権利侵害を警告するには、実用新案技術評価書を提示して警告する必要があります。これは、実体審査を経ずに早く登録される制度であるため、権利の有効性を慎重に扱うための仕組みです。

実用新案権の存続期間は、平成17年4月1日以降に出願されたものについて、出願日から10年です。

用語を使う場面・対象となる食品

菓子業界で「実用新案」という言葉が出てくるのは、主に商品開発、包装設計、製造器具、知的財産管理の場面です。特に、小さな構造の工夫が商品の使いやすさや品質保持に関わる場合に使われます。

1. 包装・容器の開発で使う場面

お菓子は、割れ、欠け、溶け、湿気、におい移りなどの影響を受けやすい食品です。そのため、包装容器の構造が商品の品質や食べやすさに直結します。

たとえば、クッキーを一枚ずつ固定するトレー、チョコレートを手で触れずに押し出せる包装、羊羹やゼリーを開けやすくする容器構造などは、実用新案の検討対象になり得ます。

対象となる食品の例は、クッキー、ビスケット、チョコレート、キャンディ、グミ、ゼリー、羊羹、最中、せんべい、焼き菓子、半生菓子などです。

2. 菓子の形状や構造に工夫がある場合

実用新案は「物品の形状、構造又は組合せ」に関する制度です。そのため、菓子本体に一定の形や構造があり、その形状によって食べやすさ、割れにくさ、持ちやすさ、詰めやすさなどの機能が生まれる場合には、検討対象になることがあります。

たとえば、手を汚しにくい形状のチョコレート、割りやすい溝を持つ焼き菓子、クリームやフィリングが漏れにくい構造の菓子などです。ただし、単に「かわいい形」「季節感のある形」というだけでは、実用新案よりも意匠の領域に近くなります。実用新案として考えるには、形や構造が技術的な効果につながっていることが大切です。

3. 製造・成形に使う器具で使う場面

菓子そのものではなく、菓子を作るための道具にも実用新案は関係します。

たとえば、焼き菓子の生地を均一に流し込む型、和菓子を崩さず押し出す器具、チョコレートを一定の厚さに成形するモールド、デコレーションをしやすくする補助具などです。製造方法そのものは実用新案の対象外ですが、方法を実現するための物品の形状や構造であれば、対象になり得ます。

対象となる食品の例は、マドレーヌ、フィナンシェ、バウムクーヘン、チョコレート、練り切り、饅頭、タルト、ケーキ、プリン、ゼリーなどです。

4. 店頭販売・持ち帰り・ギフト包装で使う場面

お菓子は贈答品として扱われることも多く、持ち運びやすさ、見栄え、取り分けやすさが重視されます。こうした場面でも、実用新案の考え方が関係します。

たとえば、ケーキを傾けずに運ぶ箱、詰め合わせ菓子を種類ごとに安定して収める仕切り、個包装をまとめて取り出しやすくする箱構造などが挙げられます。

対象となる食品の例は、ホールケーキ、ロールケーキ、焼き菓子詰め合わせ、和菓子詰め合わせ、チョコレートギフト、季節菓子、土産菓子などです。

お菓子分野で押さえたい実用新案のポイント

実用新案は、菓子の「おいしさ」そのものを守る制度ではありません。守る対象は、あくまで物品の形状、構造、組み合わせに関する考案です。

そのため、菓子メーカーやパティスリーが実用新案を考える場合は、次のように整理すると分かりやすくなります。

・味や配合を守りたい
 → 実用新案ではなく、特許や営業秘密の検討対象になりやすい

・商品名やブランド名を守りたい
 → 商標の対象になりやすい

・パッケージや菓子の見た目のデザインを守りたい
 → 意匠の対象になりやすい

・容器、型、仕切り、取り出し構造などの機能的な工夫を守りたい
 → 実用新案の検討対象になりやすい

実用新案は、特許よりも早く権利化しやすい制度として使われます。ただし、登録後に有効性が争われる可能性もあります。実際に出願や権利行使を考える場合は、弁理士など知的財産の専門家に確認するのが安全です。

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