用語名称(日本語、外国語)
粢(しとぎ)
Shitogi(英語表記ではshitogiとされ、説明的に「traditional uncooked rice cake」や「Shinto rice offering cake」と訳されることがありますが、標準的な外国語名はありません)。
意味
粢(しとぎ)とは、水に浸して柔らかくした生米を臼で搗き砕いて粉状にし、さらに水を加えて練り、楕円形や丸い団子状に固めた加熱しない食品です。
現代の餅のように蒸したり搗いたりする工程を省き、火を使わない古い調理法が特徴で、米の自然な風味と素朴な食感が残ります。別名で「しとぎもち」とも呼ばれ、地方によっては「しろもち」「からこ」「おはたき」「なまこ」などの呼び名があります。
古代の米食法の一つとして知られ、平安時代の文献にも登場するほど歴史が古く、神饌(しんせん)として神前に供えるための穀物加工品という意味合いが強いものです。
米粉を液体状に溶いた「おのり」と呼ばれるものも含まれる場合があります。
用語を使う場面・対象となる食品
粢は主に神事や祭祀の場面で活躍します。神社でのお供え物として神前に並べられ、節句や年中行事、婚礼、棟上げなどの慶事で用いられることが多いです。形は卵形や野菜・果物・動物をかたどったものまで自由に作られ、生命の象徴として捧げられる伝統もあります。また、東北地方北部や一部の地域では日常食や行事食としても残り、死者への枕団子として仏事で供える例もあります。
お菓子としては、砂糖を加えて甘く仕上げた菓子に発展したものが代表的です。特に秋田県では「秋田粢菓子」と呼ばれる銘菓群の基材として欠かせず、米粉を練った粢に豆をまぶした「豆がき」や味噌を絡めた「味噌がき」、餡を包んだ最中、紗舞玲(しゃぶれい)などの素朴な和菓子が作られます。豆を加えた「豆粢」やヒエを使った「ヒエ粢」などの変種も地域菓子として親しまれています。
さらに、粢は団子の原型ともされ、現在の串団子や三色団子、きな粉団子などの和菓子文化の源流の一つです。熱を使わないシンプルな製法が、保存性や神聖さを保つ点で、製菓の歴史に大きな影響を与えています。粢を知ると、和菓子の奥深いルーツが少し見えてきます。
スーパーやお土産屋で見かける現代の餅や団子とは一線を画す、火を使わない昔ながらの味わいを、機会があればぜひ試してみてください。
秋田の粢菓子のように、地元米を活かした商品は今も全国にファンがいるほどです。
