お菓子の名前(日本語)
新生あられ(しんせいあられ)
お菓子の名前(外国語)
Shinsei Arare(英語表記)/ Deep-fried Puffed Rice Crackers
お菓子の分類
和菓子 > 干菓子 > 揚げ菓子(油菓子)
全国菓子工業組合連合会が定める和菓子の一般分類において、新生あられは「干菓子」の中の「揚げ菓子」に位置づけられています。同じ揚げ菓子のカテゴリーには、かりんとう、揚げ豆、揚げ米菓、揚げ芋なども含まれます。なお、通常のあられ・おかきは「米菓」という独立した分類に属しますが、新生あられはその製法の特殊性から「揚げ菓子」として別途分類されている点が、和菓子分類上の大きな特徴です。
どんなお菓子
新生あられとは、もち米を原料とした生地を成形・乾燥させた後、焼成ではなく油で揚げることによって膨化(パフ状に膨らませること)させて仕上げる日本の伝統的な揚げ米菓です。通常のあられやおかきが鉄板や炭火、ガス火などの「焼き」の工程で仕上げられるのに対し、新生あられは高温の食用油の中で一気に加熱することで、生地の中の水分が急激に蒸発し、内部のでんぷんが膨張して独特のふっくらとした食感を生み出します。
外見は、通常の焼きあられに比べてやや大きく膨らんでおり、表面には油で揚げた際に生じる細かなひび割れや気泡の跡が見られることが多いのが特徴です。色合いは、揚げ油の温度や揚げ時間によって異なりますが、淡い黄金色からきつね色まで幅があります。口に入れると、最初にサクッとした軽快な歯ごたえがあり、噛むほどにもち米由来の芳ばしい風味と、油のコクが広がります。
和菓子の公式分類においては、Wikipediaや全国菓子工業組合連合会の資料でも「干菓子・揚げ菓子」の代表的な製品のひとつとして新生あられの名が挙げられており、かりんとうや揚げ煎餅、揚げ豆、揚げ芋と並ぶ伝統的な揚げ菓子として位置づけられています。
お菓子の名前の由来
「新生あられ」の名前は、「新生(しんせい)」と「あられ」の二つの言葉から構成されています。
まず「あられ」の語源についてですが、これは空から降る氷の粒である「霰(あられ)」に由来するとされています。もち米を火にかけた際に、パチパチと跳ねる音や、小さく丸く膨らんだ姿が天から降る霰を思わせることから、この名がついたと伝えられています。あられは奈良時代・平安時代にはすでに存在していたとされ、日本の米菓の中でも最も古い歴史を持つ菓子のひとつです。
次に「新生」の部分ですが、これはこの揚げ菓子の製法に関わる名称と考えられます。伝統的なあられが「焼き」の工程で仕上げられるのに対し、新生あられは「揚げ」の工程で仕上げるという、あられにとって「新しい」製法によって「生まれ変わった」ことを意味していると解釈されています。つまり、従来の焼きあられとは異なる新しい仕上げ方——油で揚げることで全く異なる食感・風味を獲得したあられということで、「新生(新たに生まれた)あられ」と名づけられたと考えられています。焼きあられが主流であった時代に、油ちょう(油で揚げること)という新たな技法を取り入れて誕生した革新的なあられであることを、その名が端的に表しています。
お菓子の歴史
あられそのものの歴史は非常に古く、奈良時代(8世紀頃)にまで遡ります。五穀豊穣を祈願する神事において、もち米を神前に供え、その後に焙って食したことがあられの起源とされています。平安時代には、宮廷において海外からの賓客をもてなすための菓子としても用いられていました。その後、鎌倉時代から室町時代にかけて庶民の間にも広がり、江戸時代には日本各地で独自のあられ文化が発達しました。
一方、新生あられのように「油で揚げる」という技法がいつ頃あられに応用されるようになったのかについては、明確な文献は限られていますが、いくつかの歴史的背景から推察することができます。日本における揚げ物の文化は、奈良時代に遣唐使によってもたらされた唐菓子にその起源があります。唐菓子は米や小麦などの穀物を練った生地を油で揚げた菓子であり、当時は主に神事や宮廷行事に用いられていました。この揚げ菓子の技法が、時代を経てあられの製造にも応用されるようになったと考えられています。
江戸時代には、正月の鏡餅を小さく砕いて乾燥させ、油で揚げて食べる「揚げ餅」「揚げかきもち」の習慣が各地に広がりました。これは家庭における保存食・おやつとしての位置づけであり、新生あられの直接的な前身と言えるでしょう。余った餅を無駄にしない生活の知恵から生まれたこの揚げ餅の文化は、やがて製菓業者によって商品化されていきました。
近代に入ると、製菓技術の発展や食用油の安定供給に伴い、工場での大量生産が可能になりました。昭和期(20世紀中頃以降)には、揚げ米菓の商品化が本格的に進み、1960年には天乃屋の「歌舞伎揚」やぼんち株式会社(当時の株式会社中央軒)の「揚小丸(のちのぼんち揚)」が発売されるなど、揚げ米菓が全国的な人気商品として定着していきました。新生あられは、こうした揚げ米菓の発展の流れの中で、独自の位置を占めてきた伝統的な揚げあられの総称的なカテゴリー名として、菓子業界において用いられています。
発祥の地
新生あられの発祥地を特定の一地域に限定することは難しいですが、あられ・おかき文化全体の発展と深く関わる地域として、以下が挙げられます。
日本のあられ・米菓の産地としては、新潟県が圧倒的な生産量を誇り、亀田製菓、岩塚製菓、越後製菓、栗山米菓(Befco)など、日本を代表する米菓メーカーが集中しています。新潟県は良質なもち米の産地であり、冬の寒冷な気候が餅の乾燥に適していたことから、古くから米菓づくりが盛んでした。
一方、揚げ米菓・揚げあられの商品化という観点では、大阪が重要な役割を果たしました。1952年に大阪で再興されたぼんち株式会社(当時の株式会社中央軒)は、1960年に揚げ煎餅「揚小丸」を発売し、これが後の「ぼんち揚」となって、揚げ米菓を全国的に広めるきっかけとなりました。また、東京の天乃屋も同じ1960年に「歌舞伎揚」を発売しています。
また、家庭で揚げ餅・揚げあられを作る文化は、全国各地の農村部に古くから存在しており、特に米どころである新潟県、富山県、石川県、福井県などの北陸地方や、関西地方の農家では、正月の鏡餅や余り餅を乾燥させて油で揚げるという習慣が今でも残っています。
有名な商品(メーカー名と商品名と販売価格)
新生あられは和菓子分類上の名称であり、市販品として「新生あられ」という商品名で販売される例は少ないですが、新生あられに該当する揚げ米菓の商品は数多く流通しています。以下に代表的な商品を紹介します。
ぼんち株式会社「ぼんち揚」
1960年発売のロングセラー商品。うるち米を原料とした生地を油で揚げ、甘辛い醤油ダレで味付けした揚げ米菓です。関西を中心に絶大な人気を誇ります。参考価格は25g入りで約100円前後、大袋タイプで約200〜300円程度です。
ぼんち株式会社「綱揚あられ」
もち米を原料とした揚げあられで、サクサクとした軽い食感が特徴。フレンチドレッシング味や黒こしょう味など、洋風のフレーバーも展開されています。参考価格は52〜60g入りで約150〜200円程度です。
天乃屋「歌舞伎揚」
1960年発売。うるち米の生地に歌舞伎の家紋を刻印し、高温でカラッと揚げた後、秘伝の甘口醤油ダレで味付けした揚げ煎餅です。東日本を中心に広く愛されています。参考価格は11枚入りで約200円前後です。
播磨屋本店「朝日あげ」
国産もち米を使用し、揚げたてにこだわった高級揚げせんべい。揚げたての香ばしさとサクッとした軽い食感が特徴です。参考価格は1箱(8枚入り)で約500〜600円程度です。
三幸製菓「揚一番」
もち米を原料とし、カリッとした食感の揚げあられ。醤油味のシンプルな味付けが特徴です。参考価格は約150〜200円程度です。
味や食感などの特徴
新生あられ最大の特徴は、油で揚げることによって得られる独特の食感と風味にあります。
食感の面では、焼きあられに比べて著しく軽く、サクサク・カリカリとした歯ごたえが際立ちます。これは、高温の油に投入された際に生地内部の水分が急速に蒸発し、でんぷんが一気に膨張して多孔質の構造を形成するためです。この膨化により、見た目のサイズに対して非常に軽い仕上がりとなり、口に入れた瞬間に心地よい崩壊感が広がります。特許文献によれば、揚げ工程における油温は一般的に220〜240℃の高温が用いられ、短時間で生地を膨化させることで、内部に均一な気泡構造(「スダチ」と呼ばれる)を作り出すことが理想とされています。
風味の面では、もち米由来の自然な甘みと芳ばしさに加え、油の風味が加わることで、焼きあられにはない濃厚なコクが生まれます。揚げ油には菜種油、米油、ごま油などが用いられることが多く、使用する油の種類によっても風味が大きく変わります。特に圧搾製法のごま油をブレンドした場合には、独特の芳香が加わります。
味付けとしては、醤油味(甘口・辛口)、塩味、醤油と砂糖を合わせた甘辛味が定番です。近年では黒こしょう味、カレー味、チーズ味、フレンチドレッシング味など、洋風のフレーバーを施した商品も登場しており、バリエーションが広がっています。
どんな場面やどんな人におすすめ
新生あられは、以下のような場面や方におすすめの菓子です。
日常のおやつとして、お茶請けとして最も親しまれています。日本茶、特に煎茶やほうじ茶との相性は抜群で、サクサクとした軽い食感と醤油の芳ばしい風味が、お茶の渋みや香りと絶妙に調和します。午後のティータイムや食後のひとときに、少量でも満足感が得られるお菓子です。
ビールや日本酒のおつまみとしても人気が高く、特に塩味や黒こしょう味の新生あられは、お酒との相性が抜群です。軽い食感なので、食べすぎを心配する方にも比較的安心してお楽しみいただけます。
お子様からご年配の方まで幅広い世代に愛されており、特に軽い食感の新生あられは、硬いものが苦手な方にもおすすめです。一口サイズのものが多いため、お子様のおやつとしても食べやすく、小分け包装の商品はお出かけの際の携帯おやつとしても重宝します。
贈答品としては、化粧箱入りの高級揚げあられが手土産や御進物として利用されます。上品な包装と多彩な味わいが喜ばれ、お中元やお歳暮、お返しの品としても選ばれています。
材料
新生あられの基本的な材料は、以下の通りです。
主原料はもち米です。あられ・おかきはもち米を原料とするのが伝統であり、もち米に含まれるアミロペクチン(粘り気のあるでんぷん)が、膨化した際の独特のふっくらとした食感を生み出します。国産のもち米、中でも新潟県産や佐賀県産のヒヨクモチ、こがねもちなどの品種が好んで用いられます。
揚げ油としては、菜種油、米油、大豆油、ごま油、ひまわり油、パーム油などの植物性油脂が使用されます。油の種類や配合は各メーカーの独自のこだわりによって異なり、風味に大きな影響を与えます。
味付け用の調味料としては、醤油(濃口醤油、薄口醤油)、食塩、砂糖、みりん、だし(昆布だし、鰹だしなど)、各種香辛料(唐辛子、黒こしょう、山椒、わさびなど)が用いられます。
その他の添加物として、市販品では乳化剤(ショ糖脂肪酸エステルなど)、酸化防止剤(トコフェロール=ビタミンE)、調味料(アミノ酸等)などが使用される場合があります。
レシピ
家庭でも比較的簡単に新生あられを作ることができます。以下に基本的なレシピを紹介します。
材料(4〜5人分)
切り餅 4〜5個(約600g)、揚げ油(菜種油や米油) 適量、塩 適量、醤油 大さじ2、砂糖 大さじ1(甘辛味にする場合)
作り方
- まず、切り餅を包丁で1cm角程度の小さなサイコロ状に切ります。切り餅が硬い場合は、電子レンジで10〜15秒ほど加熱するとやや柔らかくなり、切りやすくなります。ただし、温めすぎると柔らかくなりすぎるので注意が必要です。
- 切った餅を新聞紙やザル、バットなどの上に重ならないように広げ、風通しのよい場所で天日干しにします。乾燥期間は最低でも3〜5日間、理想的には1〜2週間ほどかけて十分にカラカラに乾燥させます。乾燥が不十分だと、揚げた際に芯が残ったり、油跳ねの原因になったりしますので、この工程は非常に重要です。時々かき混ぜて、まんべんなく乾燥させるようにします。
- 揚げる際は、鍋に揚げ油を入れ、まず低温(150℃程度)からゆっくりと加熱を始めます。油が冷たい状態から乾燥した餅を入れる方法と、低温に温めてから入れる方法がありますが、いずれの場合も最初は低温でじっくりと加熱し、餅が浮いてきてプクプクと膨らんできたら、徐々に温度を上げて170〜180℃程度にします。芯が残らないように、時々返しながら均一に揚げていきます。全体がきつね色に色づき、十分に膨らんだら引き上げて油を切ります。
- 揚がったあられが熱いうちに、塩を振って味付けします。甘辛味にする場合は、醤油と砂糖を混ぜたタレを絡めます。お好みで、青のり、七味唐辛子、カレー粉、ガーリックパウダーなどをまぶしても美味しくいただけます。
- 完全に冷めたら密閉容器に入れて保存します。
販売温度帯
新生あられは常温で販売されるのが一般的です。水分含量が10%以下の干菓子に分類されるため、冷蔵や冷凍の必要はなく、直射日光と高温多湿を避ければ常温で長期間保存が可能です。スーパーマーケット、コンビニエンスストア、菓子専門店、土産物店などでは、常温の棚に陳列されています。ただし、揚げ菓子であるため高温環境での保存は油の酸化を促進し風味の劣化につながるため、夏場の保管には注意が必要です。
主な流通形態
新生あられ(揚げ米菓)は、以下のようなさまざまな流通形態で販売されています。
個包装・小袋タイプは、コンビニエンスストアやスーパーマーケットで最も一般的な形態です。25〜60g程度の小袋に入っており、一人でおやつやおつまみとして手軽に楽しめます。
大袋・ファミリーパックタイプは、スーパーマーケットやドラッグストアで販売される家庭向けのサイズです。100〜200g程度の大袋入りで、家族みんなで楽しめます。個包装が中に入ったシェアパックタイプもあります。
化粧箱入りの贈答用タイプは、百貨店や菓子専門店で販売される上等品です。複数の味が詰め合わせになったものや、高級感のある包装が施されたものがあり、手土産やお中元・お歳暮などのギフトとして利用されます。
その他、地方の菓子店や観光地の土産物店では、その土地ならではの素材を使った揚げあられがご当地土産として販売されています。また、通信販売やオンラインショップでの販売も増加しており、全国各地の揚げあられを自宅にいながら購入できるようになっています。
価格帯
新生あられ(揚げ米菓)の価格帯は、商品のグレードや容量、販売チャネルによって幅があります。
コンビニやスーパーで販売される小袋の一般的な商品は、1袋(25〜60g)あたり100〜250円程度が相場です。大袋・ファミリーパック(100〜200g)は200〜500円程度が一般的です。
百貨店や専門店で販売される高級品・贈答品は、1箱(200〜500g程度の詰め合わせ)で1,000〜3,000円程度、さらに上等品や大容量の詰め合わせでは5,000円以上になるものもあります。
手作りの地方銘菓や、素材にこだわった少量生産品は、一般的な市販品よりもやや高めの価格設定となっていることが多いです。
日持ち
新生あられは、水分含量が低い干菓子であるため、比較的長い賞味期限を持っています。一般的な市販品の賞味期限は製造日から約3〜7か月程度です。例えば、ぼんちの綱揚あられの賞味期限は約7か月とされています。
ただし、揚げ菓子であるため、開封後は油の酸化が進みやすく、風味が急速に低下します。開封後はなるべく早く(目安として1〜2週間以内に)食べきることが推奨されます。保存する際は、湿気と高温を避け、密閉容器や密封袋に入れて保管するのが望ましいです。
家庭で手作りした揚げあられの場合は、保存料を使用しないため、日持ちは市販品より短くなります。密閉容器に乾燥剤と共に入れて常温保存し、2〜3週間程度を目安に食べきるのがよいでしょう。
アレンジ・バリエーション
新生あられ(揚げ米菓)には、多彩なアレンジやバリエーションが存在します。
味付けのバリエーション
伝統的な醤油味・塩味に加え、近年では黒こしょう味、ガーリック味、カレー味、わさび味、チーズ味、フレンチドレッシング味、柚子こしょう味など、和洋を問わず多様なフレーバーが開発されています。甘い系統では、砂糖をまぶしたザラメ味、きな粉をまぶしたもの、チョコレートをコーティングしたものなどもあります。
素材のバリエーション
基本のもち米に加えて、玄米を使用した揚げあられ、海老や海苔を練り込んだ揚げあられ、黒豆や枝豆を混ぜ込んだものなど、さまざまな副素材を組み合わせた商品が開発されています。
食べ方のアレンジ
そのまま食べる以外にも、サラダのトッピングとして使うとカリカリとした食感がアクセントになります。スープや味噌汁に浮かべてクルトン代わりにする食べ方もあります。砕いた揚げあられを衣として使い、揚げ物(鶏肉や魚など)にまぶして二度揚げにするという斬新な活用法も知られています。お茶漬けの具材として加えれば、もち米の風味と揚げた香ばしさが出汁と相まって格別な味わいとなります。
地域限定品やコラボ商品として、ご当地の特産品(柚子、山椒、梅、明太子、ずんだなど)を使用した限定フレーバーの揚げあられも各地で販売されており、旅先のお土産品としても人気を集めています。
