お菓子の名前(日本語)
キャンディーガム(ガムインキャンディ)
お菓子の名前(外国語)
Candy Gum(英語)
お菓子の分類
砂糖菓子・ガム菓子(キャンディとチューインガムの複合菓子)
どんなお菓子
キャンディーガムとは、キャンディ(飴)とチューインガムを組み合わせた複合タイプのお菓子の総称である。最も一般的な形態は「ガムインキャンディ」と呼ばれるもので、外側がハードキャンディやソフトキャンディの層になっており、その内部にガムが包み込まれている二層構造を特徴とする。口に入れて舐め始めると、まずキャンディの甘さやフルーツの風味が広がり、やがてキャンディが溶けた後にはガムが出現して、噛む楽しさへと移行する。つまり、1粒で「舐める」楽しみと「噛む」楽しみの両方を味わえるという、ユニークな体験を提供してくれるお菓子である。
日本では、パイン株式会社の「どんぐりガム」に代表されるように、駄菓子のカテゴリで長年親しまれてきた。どんぐりの形をした1粒タイプのものが駄菓子屋やスーパーの菓子コーナーで販売されており、子どもたちのおやつや遠足のお供として根強い人気を誇っている。また、広義には、棒付きキャンディの棒部分がガムになっている商品(ロッテの「かわりんぼ」など)や、キャンディでコーティングされたガムボール(チクレッツなど)もキャンディーガムの一種として分類されることがある。
このお菓子の最大の魅力は、食感の変化である。最初はカリッとした飴のハードな食感、次第に柔らかくなり、最後にはもちもちとしたガムの弾力に変わるという三段階の食感を、たった1粒の中で楽しめる。価格も1粒あたり10円〜12円程度と非常に手頃であり、気軽に手に取ることができるのも大きな魅力である。
お菓子の名前の由来
「キャンディーガム」という名称は、英語の「Candy(キャンディ=飴)」と「Gum(ガム=チューインガム)」を組み合わせた言葉で、そのまま「飴とガムが一体になったお菓子」を意味する。日本語では「ガムインキャンディ(Gum in Candy)」と表記されることも多く、こちらはキャンディの中にガムが入っているという構造をより具体的に示した名称である。
日本で最も有名なキャンディーガムである「どんぐりガム」は、その名の通り、どんぐりのような小さく丸みを帯びた形状に由来している。開発元のパイン株式会社は、子どもたちに親しみやすいネーミングと愛らしい形を意識してこの名称を採用したとされる。
海外に目を向けると、キャンディでコーティングされたガムの元祖として知られる「Chiclets(チクレッツ)」は、原料である「chicle(チクル=サポディラの樹液)」に由来する名前である。チクルはマヤ文明時代から中央アメリカで噛まれていた天然ガムの素材であり、その歴史的背景が名前に刻まれている。
お菓子の歴史
キャンディーガムの歴史は、キャンディの歴史とチューインガムの歴史の交差点から始まる。
キャンディ(飴)の歴史は非常に古く、古代エジプト時代にはイチジクやナッツを蜂蜜で固めた菓子が作られていたと伝えられている。一方、チューインガムの起源は西暦300年頃の中央アメリカに遡り、マヤ族やアステカ族がサポディラという木の樹液(チクル)を噛む習慣を持っていた。
近代的なチューインガムの商業化は19世紀のアメリカで進んだ。1848年にジョン・カーティスがスプルースの樹脂から作ったガムを販売したのが、商業ガムの始まりとされる。その後、1860年頃にメキシコのサンタ・アナ将軍が持ち込んだチクルをもとに、トーマス・アダムスがガムの製造を開始した。
キャンディとガムの融合という発想は、1890年にヘンリー・フリアーが「チクレッツ(Chiclets)」を開発したことに端を発する。チクレッツは、ガムの外側を砂糖のキャンディ層でコーティングした世界初のキャンディコーテッドガムであり、商業的に大成功を収めた。1900年にはアメリカン・チクル・カンパニーからチクレッツが正式に発売され、世界中に広まっていった。これがキャンディーガムという概念の原点といえる。
日本におけるキャンディーガムの歴史は、やや遅れて昭和の時代に花開く。パイン株式会社(大阪府)が1985年(昭和60年)に「どんぐりガム」を発売したことが、日本のガムインキャンディ文化を大きく推進した。キャンディの中にガムを内蔵するという二層構造は当時非常に画期的であり、1粒10円という手頃な価格とあいまって、駄菓子屋を中心に爆発的な人気を得た。なお、パイン株式会社の公式沿革によると、キャンディガム(どんぐりガム)の商品化自体は1980年(昭和55年)に行われており、「どんぐりガム」という商品名での発売が1985年であるとされている。
1984年には、ロッテが「かわりんぼ」を発売。棒付きキャンディの中にラムネが入り、持ち手の棒がフーセンガムでできているという、1本で3種類のお菓子が楽しめるユニークな商品として子どもたちの心を掴んだ。かわりんぼは2016年頃に製造・販売が終了したものの、今なお懐かしの駄菓子として多くの人の記憶に残っている。
発祥の地
キャンディコーテッドガム(キャンディーガムの原型)の発祥地はアメリカ合衆国である。1890年にヘンリー・フリアーが開発したチクレッツが、キャンディとガムを融合させた世界初の商業製品とされている。
一方、日本式の「ガムインキャンディ」の発祥地は日本の大阪府である。パイン株式会社は大阪市天王寺区に本社を構える飴菓子メーカーで、看板商品の「パインアメ」で知られるが、1980年にキャンディガムの商品化に成功し、1985年に「どんぐりガム」として発売を開始した。キャンディの中にガムを封入するという二層構造の発想は、それまでの菓子業界にはなかった革新的なアイデアであり、日本の駄菓子文化に新しいジャンルを確立した。
有名な商品(メーカー名と商品名と販売価格)
キャンディーガムのカテゴリにはいくつかの有名な商品が存在する。以下に代表的なものを挙げる。
パイン株式会社「どんぐりガム」シリーズは、日本のキャンディーガムを代表するロングセラー商品である。1985年の発売以来、40年近くにわたって販売が続けられている。フレーバーはコーラ、サイダー、グレープの定番3種類に加え、コラボ商品として「どんぐりガム ライフガード」なども展開されている。参考小売価格は1粒あたり12円(税抜)で、100個入りの業務用パックはおよそ1,100円〜1,400円程度で流通している。また、3種アソートの「どんぐりガムミックス」は110g入りでメーカー希望小売価格210円(税抜)となっている。
**ロッテ「かわりんぼ」**は、1984年に発売された棒付きタイプのキャンディーガムである。棒の部分がフーセンガム、キャンディ部分にはラムネが内蔵されており、1本で5つの異なる味が楽しめるという画期的な商品であった。希望小売価格は1本70円(税抜)であったが、2016年頃に製造・販売が終了している。
海外では、**モンデリーズ・インターナショナル「Chiclets(チクレッツ)」**がキャンディコーテッドガムの元祖として世界的に知られている。小さな四角いタブレット状のガムに砂糖のコーティングが施された形状で、ペパーミントやスペアミント、フルーツ味などのフレーバーが展開されている。
味や食感などの特徴
キャンディーガム最大の特徴は、1粒の中で食感が劇的に変化することにある。
口に入れた瞬間は、ハードキャンディの硬くカリッとした食感が特徴的で、砂糖や水飴由来のしっかりとした甘さが口いっぱいに広がる。コーラ味であればシュワっとした酸味と独特のコーラフレーバー、サイダー味であれば爽やかな微炭酸感、グレープ味であれば芳醇な果実の風味が感じられる。
キャンディ部分を舐め続けていると、次第に柔らかくなり、やがて内部のガムが姿を現す。この「キャンディからガムへの移行」が最大の楽しみであり、噛んだ瞬間にガムが「ポン」と飛び出すような感覚は、何度食べても新鮮な驚きがある。
ガム部分は一般的なフーセンガムと同様のもちもちとした弾力があり、フルーツの風味がしばらく持続する。キャンディの甘味が残っているうちにガムを噛み始めることで、キャンディとガムの味わいが混ざり合う瞬間を楽しめるのも醍醐味のひとつである。
歯にやさしい配慮もなされており、どんぐりガムには「サンフェノン」(茶抽出物=カテキン)が配合されている。これはガムが歯に付着しにくくなる効果が期待される成分であり、虫歯への配慮もなされている。
どんな場面やどんな人におすすめ
キャンディーガムは、幅広い年代と多様なシーンで楽しめるお菓子である。
まず最もおすすめしたいのは、やはり子どもたちである。1粒10円〜12円という価格は子どものお小遣いでも手が届きやすく、駄菓子屋での買い物体験にぴったりである。食感が変化する楽しさは好奇心旺盛な子どもにとって大きな魅力であり、どんぐりガムの包み紙の内側にはじゃんけんマークが付いているため、友達同士で遊びながら楽しむこともできる。
遠足や校外学習のおやつとしてもおすすめである。1粒が小さくかさばらないため、おやつの予算内でたくさん購入できるうえ、舐めてから噛むという行程があるため、1粒で比較的長い時間楽しむことができる。
大人にとっては懐かしさを感じるノスタルジックなお菓子としての価値がある。子どもの頃に駄菓子屋で購入した記憶のある30代〜50代の世代にとって、どんぐりガムやかわりんぼは青春の思い出と結びついた特別なお菓子である。職場のデスクに置いておくちょっとした息抜きのお菓子としても、1粒あたりのカロリーが約21kcalと低いため、気兼ねなく口にすることができる。
イベントや子ども会の景品、ハロウィンのお菓子配りなどにも重宝する。個包装で衛生的であり、大量購入しやすい価格帯のため、配布用のお菓子としても非常に使い勝手がよい。
材料
キャンディーガムの基本的な材料は、キャンディ部分とガム部分に大きく分けられる。代表的な商品であるパインのどんぐりガム(コーラ味)の原材料をもとに解説する。
キャンディ部分の主原料は、砂糖、水飴、ブドウ糖である。砂糖は甘味の基盤となる成分で、水飴は飴のなめらかな質感と粘りを生み出す。ブドウ糖は甘味の補助とともに、キャンディの結晶化を調整する役割を果たす。脱脂粉乳はコクのあるまろやかな味わいを加えるために配合されている。
ガム部分の主原料はガムベースである。ガムベースは、天然チクルや酢酸ビニル樹脂などの植物性・合成樹脂を基材として、弾力性と噛みごたえを生み出す素材である。ガムベースにソルビトールなどの甘味料が加えられることで、ガム自体にも甘みが保たれる。
風味付けには酸味料と香料が使用される。コーラ味の場合はカラメルとフラボノイドが着色料として用いられ、グレープ味にはクチナシとアントシアニン、サイダー味にはクチナシ色素が使用されている。また、チャ抽出物(カテキン)が配合されており、これはガムが歯に付着するのを防ぐ効果を持つ。
原材料に含まれるアレルギー物質としては乳成分がある。脱脂粉乳が使用されているため、乳アレルギーのある方は注意が必要である。
レシピ
キャンディーガムは工場で専用の製造設備を用いて作られる工業製品であり、家庭で完全に再現するのは難しい。しかし、「キャンディとガムを組み合わせて楽しむ」というコンセプトを家庭で体験するための、簡易的なアレンジレシピを紹介する。
家庭で楽しむ簡易キャンディーガム風お菓子
材料(約10個分)
砂糖 100g、水 大さじ2、水飴 大さじ1、食用色素(好みの色) 少々、レモン汁 小さじ1(酸味料の代わり)、市販のガム(小さめのもの) 10粒。
作り方
- まず、小さめの鍋に砂糖と水、水飴を入れて中火にかける。
- ヘラで混ぜながら加熱し、150℃程度(べっこう飴の温度)になったら火を止める。
- 食用色素とレモン汁を加えて素早く混ぜ合わせる。
- クッキングシートの上に丸く薄くのばし、その中央に市販のガム1粒を置く。
- 飴が柔らかいうちに素早く包み込むように形を整え、どんぐりのような楕円形にする。
- 完全に冷えて固まったら完成である。
注意点として、飴を加熱する際は非常に高温になるため、やけどには十分注意すること。また、ガムは熱に弱いため、飴がある程度冷めてきた段階(手で触れるがまだ柔らかい程度)で包むのがコツである。あまりに熱い状態でガムを入れると、ガムが溶けてしまう可能性がある。
販売温度帯
キャンディーガムの販売温度帯は常温である。キャンディもガムも常温保存が基本であり、冷蔵や冷凍の必要はない。ただし、高温多湿の環境ではキャンディ部分が溶けたりべたついたりする可能性があるため、直射日光の当たらない涼しい場所での保管が推奨される。特に夏場は、車内や窓際など温度が上がりやすい場所に放置すると、キャンディが変形したり、包装紙に付着したりするおそれがある。
主な流通形態
キャンディーガムの流通形態は多岐にわたる。最も基本的なのはバラ売りの個包装形態で、駄菓子屋では1粒単位で販売されている。これは1粒12円(税抜)前後の価格で、子どものお小遣いでも購入しやすい形態である。
スーパーマーケットやドラッグストアでは、複数のフレーバーを詰め合わせた袋入りの「どんぐりガムミックス」(110g入り)が販売されている。コーラ、サイダー、グレープの3種類がアソートされており、家庭で気軽に楽しめるファミリーパック的な位置づけである。
業務用としては、100個入りの大袋が存在する。これはフレーバーごとに100粒ずつパッケージされており、駄菓子屋や菓子問屋、イベント主催者、子ども会などが主な購買層である。菓子卸問屋やオンラインショップで購入可能で、1袋あたりおよそ1,000円〜1,400円程度で流通している。
近年は、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどのECサイトでの流通も活発であり、個人でも大量購入しやすくなっている。また、100円ショップ(ダイソーなど)でも小袋入りのどんぐりガムが取り扱われていることがあり、手軽に入手できるようになっている。
価格帯
キャンディーガムの価格帯は非常に手頃である。代表的な商品の価格は以下の通りである。
パイン「どんぐりガム」のバラ売りは参考小売価格1粒12円(税抜)で、日本で最も安価に手に入るお菓子のひとつである。アソートパックの「どんぐりガムミックス」は110g入りでメーカー希望小売価格210円(税抜)、業務用100個入りパックは実勢価格でおよそ1,000円〜1,400円程度(税込)となっている。60個入りのアソートパック(3種類×20個)は概ね1,000円前後で流通している。
全体的にみて、キャンディーガムは駄菓子カテゴリの中でも特に低価格帯に位置しており、日常的なおやつとして負担なく購入できる点が長年の人気を支えている大きな要因である。
日持ち
キャンディーガムの日持ちは比較的長い。パインのどんぐりガムの場合、賞味期限はメーカー製造日より12か月(390日)とされている。キャンディ部分は砂糖と水飴が主原料で水分が非常に少なく、ガム部分も品質劣化が起きにくい素材で構成されているため、常温で長期保存が可能である。
なお、一般的なチューインガムは水分が極めて少ないことから、食品表示法上、賞味期限の表示が省略できる食品に該当する(ガム単体には賞味期限の表示義務がない)。ただし、キャンディーガムの場合はキャンディ部分を含む複合菓子であるため、賞味期限が設定されている。
保存時の注意点としては、直射日光・高温多湿を避けることが重要である。開封後のアソートパックなどは、密封容器に入れて保管すると品質を長く保つことができる。
アレンジ・バリエーション
キャンディーガムには、基本の形態をベースとしたさまざまなアレンジやバリエーションが存在する。
フレーバーバリエーション
どんぐりガムの定番であるコーラ、サイダー、グレープの3種類に加え、コラボレーション商品として「どんぐりガム ライフガード」(チェリオとのコラボ、ローヤルゼリー末配合)が発売されている。これは往年の人気炭酸飲料「ライフガード」の風味を再現したもので、1980年代生まれの二つのブランドがタッグを組んだ話題性のある商品である。
形態のバリエーションとしては、1粒売りのバラタイプのほか、複数種をアソートした袋入りの「どんぐりガムミックス」がある。こちらは自宅でのおやつやシェア用として便利な形態である。
構造のバリエーション
キャンディーガムの概念に含まれる商品は多様である。外側がキャンディで内側がガムという「ガムインキャンディ」型が最も一般的であるが、棒付きキャンディの棒部分がガムになっている「かわりんぼ」型(ロッテ、販売終了)や、ガムの外側を砂糖のキャンディ層でコーティングした「キャンディコーテッドガム」型(チクレッツ、丸川製菓のマーブルガムなど)もある。丸川製菓のマーブルガムは砂糖のコーティングでカラフルなビー玉のような見た目をしており、1959年(昭和34年)の発売以来、日本の駄菓子文化を代表するロングセラーとなっている。
食べ方のアレンジ
どんぐりガムを凍らせて食べるという楽しみ方がSNSなどで紹介されることがある。冷凍するとキャンディ部分がより硬くカリカリとした食感になり、通常とは異なる歯ごたえを楽しむことができる。また、複数のフレーバーを同時に口に入れて味をミックスする「味合わせ」も、子どもたちの間で人気のある遊び方である。
季節限定・地域限定商品
メーカーが期間限定フレーバーを投入することもある。夏場にはソーダ系の爽やかなフレーバー、冬場にはホットドリンク系のフレーバーなど、季節感を取り入れた商品展開が行われることで、通年の定番商品に新鮮さが加わっている。
