お菓子の名前(日本語)
味ガム
お菓子の名前(外国語)
Flavored Chewing Gum
お菓子の分類
菓子類 > 糖菓 > チューインガム > 味付きガム(フレーバードガム)
どんなお菓子
味ガムとは、ガムベース(噛み基材)にフルーツやミント、コーラ、ヨーグルトなどの甘味料・香料・着色料を配合し、噛むことで風味と口あたりを楽しむチューインガムの総称である。「味ガム」という呼び方は、チューインガムの歴史において「味のないガム」が最初に誕生したことと対比して、フレーバー(味・風味)が付いたガム全般を指す言葉として用いられてきた。現在市販されているほぼすべてのガムには何らかの味付けがなされているため、一般的に私たちが「ガム」と呼んで日常的に口にしている製品は、ほぼすべてが「味ガム」に該当する。
味ガムの形状は大きく分けて三種類ある。板状に成形された「板ガム」、粒状で表面を砂糖やキシリトールなどの糖衣でコーティングした「糖衣ガム(粒ガム)」、そして息を吹き込んで風船のように膨らませることができる「風船ガム(バブルガム)」である。これらのいずれの形状にもフルーツ味、ミント味、スパイス味、飲料味など多彩なフレーバーが施されている。
ガムは「噛む菓子」という独特のジャンルに属する。食べて飲み込むことを前提としていない菓子は世界的にも珍しく、噛み続けることで香りや甘みを楽しみながら、集中力の向上、眠気防止、口臭予防、さらには唾液分泌の促進による口腔内の健康維持など、嗜好品としてだけでなく健康機能の面でも注目されている食品である。
お菓子の名前の由来
「味ガム」の名称は極めてシンプルで、「味」+「ガム」という二つの語の組み合わせからなる。「ガム」はそもそも英語の “Chewing gum”(チューインガム)を省略した呼称であり、”chew”(噛む)と “gum”(ゴム、樹脂)を合わせた言葉である。これにフレーバー、すなわち「味」が加わったガムを「味ガム」あるいは「フレーバードガム(Flavored Gum)」と呼ぶ。
チューインガムの黎明期には、味も香りもない天然樹脂の塊をただ噛むだけの素朴な嗜好品であった。これに甘味料や香料を加えて「味」を付けたものが登場したことが画期的な発明とされ、「味のついたガム=味ガム」として、味のない原始的なガムと明確に区別されるようになった。英語圏では “Flavored Chewing Gum” と表現され、フルーツ味を “Fruit Gum”、ミント味を “Mint Gum”、スパイス味を “Spice Gum” などと呼び分ける。
お菓子の歴史
味ガムの歴史は、チューインガムそのものの長大な歴史と密接に結びついている。
チューインガムの起源は、西暦300年頃の中央アメリカにまで遡る。メキシコに住んでいたアステカ族やマヤ族などの先住民族は、アカテツ科の樹木サポジラ(サポディラ)の樹液を煮詰めて固めた「チクル」を噛む習慣を持っていた。この段階では純粋な樹脂の塊であり、味付けは一切なされていなかった。ただ弾力のある食感を口の中で楽しむ、いわば「味なしガム」の時代が長く続いたのである。
近代的なガムの商品化は19世紀のアメリカに始まる。1848年、アメリカのジョン・カーティスが「メイン州純正スプールガム」というパラフィンガムを発売した。しかしこれもまだ味のないガムであった。1860年頃、メキシコのサンタ・アナ将軍がチクルをあめ玉状にして販売を始め、その後アメリカ人のトーマス・アダムスがチクルに甘味料を加えた「アダムス・ニューヨーク」というチクルガムを発売し、人気を博した。
そして1869年、チューインガムの歴史における大きな転換点が訪れる。アメリカのジョン・コルガンが、甘味料だけでなく香料をも加えた「初の味付きガム」を発売したのである。これが「味ガム」の誕生とされる出来事であり、以後、ガムにさまざまなフレーバーを施すことが一般的となった。1880年代には風船状に膨らませることができるバブルガムも登場し、ガム文化は急速に多様化していった。
日本にチューインガムが初めて輸入されたのは1916年(大正5年)のことである。そして1928年(昭和3年)から国内でもガムの製造が始まった。第二次世界大戦後、進駐軍のアメリカ兵が携帯食糧として持ち込んだガムが日本国内に広まり、「ギブ・ミー・チョコレート、ギブ・ミー・チューインガム」という言葉とともに、戦後の子どもたちの間でガムは一気に浸透した。当初は子ども向けの風船ガムが主流であったが、1951年にハリスが、1954年にロッテが板ガムを発売し、徐々に大人にもガム文化が広がっていった。ロッテは1957年にグリーンガム、1960年にクールミントガムを発売し、日本における味ガムの定番商品を確立した。
その後、1990年代にはキシリトールガムの登場で「虫歯予防」という健康機能が加わり、2000年代にはフルーツフレーバーの粒ガムが大ヒットするなど、味ガムの進化は現在も続いている。ただし、日本のガム市場は2004年をピークに縮小傾向にあり、グミやタブレット菓子の台頭、ゴミの出しにくさなどが要因として挙げられている。一方で近年は板ガムの復刻ブームや、機能性表示食品としてのガムが注目を集めるなど、新たな潮流も生まれている。
発祥の地
味ガムの発祥地はアメリカ合衆国である。1869年にジョン・コルガンが甘味料と香料を加えた初の味付きガムを商品化したのがその起源とされている。ガムベースの原料となるチクル自体は中央アメリカ(メキシコ、グアテマラ、ベリーズなど)の熱帯地域に自生するサポジラの木から採取されるものであり、チューインガムの文化的ルーツは古代マヤ文明・アステカ文明にまで遡る。しかし、商品としての「味ガム」は、19世紀アメリカの発明家・起業家たちによって生み出されたものである。
日本におけるガム製造の歴史は愛知県名古屋市に本社を置く丸川製菓が1888年(明治21年)に菓子製造を開始し、1947年(昭和22年)にチューインガムの製造を始めたことや、1948年に設立されたロッテ(現在は東京都新宿区に本社)がガム製造を本格化させたことに端を発する。日本のガム文化は、戦後のアメリカ文化の影響を色濃く受けつつ、独自の進化を遂げてきた。
有名な商品(メーカー名と商品名と販売価格)
日本で販売されている味ガムの代表的な商品を以下に紹介する。価格は参考小売価格(税込)であり、販売店や時期によって変動する場合がある。
ロッテ
日本最大のガムメーカーであり、味ガムの代名詞とも言える商品を数多く展開している。「グリーンガム」(9枚入・約150円)は1957年発売のロングセラーで、爽やかなミントの風味が特徴。「クールミントガム」(9枚入・約150円)は1960年発売で「お口の中に風が吹く」のキャッチコピーで親しまれてきた。「キシリトールガム<ライムミント>」(14粒入・約123円、ファミリーボトル143g・約600円)は特定保健用食品にも認定されており、歯の健康に配慮した機能性味ガムの代表格である。「ACUO(アクオ)クリアブルーミント」(14粒入・約180円)は息のケアを目的としたフレーバーガムとして人気がある。「Fit’s(フィッツ)」(12枚入・約150円)は柔らかい噛み心地で若年層を中心に支持を集めてきた。
丸川製菓(マルカワ)
駄菓子ガムの雄として知られ、「オレンジマーブルガム」「グレープマーブルガム」「いちごマーブルガム」(各6粒入・約20円)は駄菓子屋の定番商品である。「フィリックスフーセンガム」(1個・約10円)はいちご味の風船ガムとして長年親しまれている。ボトル入りの「マーブルガムボトル」(130g・約500円)は大容量で家庭やオフィスでの需要がある。
モンデリーズ・ジャパン
「クロレッツXP」(14粒入・約200円)は、独自の「アクアカプセル」による持続するミント感が特徴の輸入ブランドガムである。
江崎グリコ
「ポスカ(POs-Ca)」は、カルシウムを補給して歯を丈夫に保つ特定保健用食品のガムとして歯科医院を中心に流通している。
明治チューインガム
「すっぱいレモンにご用心」は子ども向けの楽しい味変ガムとして人気がある。コリスの「フエガム」は吹き鳴らせるユニークなガムとして知られ、「そのまんまフーセンガム」シリーズはフルーツの形を模した見た目の楽しさも魅力である。
味や食感などの特徴
味ガムの最大の特徴は、噛み始めた瞬間に広がる豊かな風味と、噛み続けることで変化していく味わいにある。
フレーバーの分類としては、まず「ミント系」がある。ペパーミント、スペアミント、メンソールなどを配合したもので、清涼感と爽快感が際立ち、食後の口臭ケアやリフレッシュ目的で広く親しまれている。次に「フルーツ系」として、グレープ、オレンジ、ストロベリー、マスカット、ピーチ、ライチ、レモンなどの果実風味のものがある。甘く華やかな香りが特徴で、子どもから大人まで幅広い層に人気がある。「飲料系」としてはコーラ、サイダー、コーヒー、紅茶などのフレーバーがあり、「スパイス系」としてはシナモンやジンジャーを使ったものも存在する。
食感については、板ガムはしっかりとした噛みごたえがあり、噛むほどにミントの清涼感が広がる。糖衣ガム(粒ガム)は噛み始めにパリッとした糖衣の食感があり、その後ソフトなガムベースの弾力へと変化する。風船ガムは柔らかく伸びがよい食感で、膨らませる遊びの要素も加わる。
近年のガムは「味の持続性」が大きな開発テーマとなっており、各メーカーが独自技術で味が長続きする製品を開発している。また、噛み始めと途中で味が変化する「味変ガム」や、複数のフレーバーを混ぜて楽しむ「ミックスフレーバーガム」など、味の体験そのものを楽しませる商品も増えている。
どんな場面やどんな人におすすめ
味ガムは非常に汎用性の高いお菓子であり、さまざまなシーンや用途に対応できる。
食後の口臭が気になるビジネスパーソンには、ミント系の粒ガムがおすすめである。会議前やデート前の口臭ケアとして手軽に利用できる。勉強中や仕事中に集中力を高めたい学生や社会人には、カフェイン配合の刺激系ガムや、ブドウ糖配合のガムが適している。噛む動作が脳への血流を促進し、セロトニンの分泌を促すとされているため、ストレス軽減の目的で噛む人も多い。
長時間のドライブ中に眠気を防ぎたいドライバーには、メンソール強めのミントガムやブラックブラックのような刺激の強い味ガムが向いている。虫歯予防を意識する方には、キシリトール配合のシュガーレスガムが推奨される。子どもには、風船を膨らませて遊べるフルーツ味の風船ガムが喜ばれるだろう。
また、禁煙中の方が口寂しさを紛らわせる代替品としてガムを利用することも広く行われている。ニコチンガムのような医療用途のものから、嗜好品としての味ガムまで、禁煙サポートにおけるガムの役割は大きい。
駄菓子としての味ガムは、子ども会のイベントや縁日の景品、お菓子の詰め合わせにも最適で、安価で手に入ることから大量購入にも向いている。
材料
味ガムの主な原材料は以下の通りである。
ガムベースはガムの土台となる素材であり、天然チクル(サポジラの樹液)、酢酸ビニル樹脂、エステルガム(松脂由来)、ポリイソブチレンなどが使われている。かつては天然チクルが主流だったが、現在はコストや品質安定性の面から合成樹脂が多く用いられている。風船ガムは特に酢酸ビニル樹脂の配合比率が高く、伸びがよいのが特徴である。
甘味料としては、砂糖、ブドウ糖、水飴のほか、シュガーレスガムにはキシリトール、ソルビトール、マルチトール、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロースなどの甘味料が使用されている。
香料は各フレーバーの風味を決定する重要な成分であり、天然香料と合成香料の両方が使われている。ミントガムにはペパーミントオイルやメンソールが、フルーツガムにはそれぞれの果物に対応した香料が配合されている。
このほか、炭酸カルシウム(充填剤)、植物油脂(軟化剤)、ゼラチン(結着剤)、光沢剤(糖衣ガムのコーティング用)、着色料(クチナシ色素、カラメル色素など)が用途に応じて配合される。
レシピ
一般家庭でガムを手作りすることは極めて難しいが、食品用のガムベースが入手できれば簡易的な味ガムを作ることは可能である。以下に基本的な手順を示す。
作り方
- まず、食品用ガムベースを約30g用意し、湯煎または電子レンジで柔らかくなるまで温める(約50〜60℃)。
- 柔らかくなったガムベースに、粉砂糖を大さじ2〜3杯加えてよく練り込む。
- 好みの食品用フレーバーオイル(ミント、ストロベリー、グレープなど)を数滴加え、全体が均一になるまでさらに練る。必要に応じて食用色素を少量加えて色を付ける。
- 練り上がったガムを棒状や板状に成形し、粉砂糖をまぶして表面がくっつかないようにする。
- 常温で30分ほど置いて落ち着かせれば、手作り味ガムの完成である。
ただし、市販品のような味の持続性や食感の再現は難しく、あくまで教育目的や手作り体験としての楽しみが主となる。お菓子作り教室やサイエンスワークショップなどで体験企画として取り上げられることもある。
販売温度帯
味ガムは常温で販売・保管される。ガムの原材料であるガムベース、糖類、香料はいずれも水分含有量が極めて低く、常温保存に適している。冷蔵や冷凍の必要はなく、高温多湿・直射日光を避けた場所であれば長期間の保管が可能である。ただし、極端な高温環境(車内の夏場など)ではガムベースが柔らかくなりすぎたり、糖衣が溶けたりすることがあるため注意が必要である。
主な流通形態
味ガムの流通形態は非常に幅広い。スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストアでは板ガムや粒ガムのパウチ・ボトルタイプが定番である。駄菓子屋やバラエティショップでは1個10〜20円の小分けフーセンガムやマーブルガムが個装で販売されている。
包装形態としては、板ガムは銀紙と紙の二重包装で個装されたものが一般的で、粒ガムはジッパー付きパウチや透明ボトル、プラスチック容器に入ったものが多い。駄菓子系の風船ガムは小さな個包装で、箱単位(55個入りなど)で卸売・業務用としても流通している。ECサイト(Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなど)ではケース単位のまとめ買いも可能であり、イベントや子ども会用の大量購入にも対応している。
歯科医院やクリニックでは、特定保健用食品のキシリトールガムが専売品として取り扱われている場合もある。
価格帯
味ガムの価格帯は、製品タイプによって大きく異なる。
駄菓子系の風船ガム・マーブルガム(丸川製菓など)は1個あたり10〜20円程度で、最も手軽な価格帯である。板ガム(ロッテのグリーンガム、クールミントガムなど)は1パック9枚入りで約120〜150円程度。粒ガム(キシリトールガム、ACUOなど)は14粒入りのパウチで約120〜200円程度、ファミリーボトル(130〜143g程度)は約500〜700円程度である。大容量のメガボトル(290g程度)は約800〜1,000円程度で、オフィスや家庭での共用に向いている。
全体として見ると、味ガムは1個10円の駄菓子から1,000円超のボトル入り高機能ガムまで、幅広い価格レンジで流通しており、あらゆる予算に対応できるお菓子である。
日持ち
味ガムは数ある食品のなかでも特に保存性に優れた製品である。その最大の理由は、ガムの原材料(ガムベース、糖類、香料など)に水分がほとんど含まれておらず、微生物が繁殖しにくい環境にあることにある。また、ガムの包装は密閉性が高く設計されているため、外部環境の影響を受けにくい。
このため、日本の食品表示法に基づき、ガムには賞味期限の表示が省略されている。これはアイスクリーム類と同様の扱いであり、品質の劣化が極めて緩やかであることが法的にも認められている。ただし、開封後は香料の揮散や糖衣の湿気吸収などにより風味が徐々に落ちるため、開封後はなるべく早く食べきることが推奨される。未開封であれば数年以上の保存にも耐えうるが、高温多湿の環境は避けることが望ましい。
アレンジ・バリエーション
味ガムの世界は、フレーバーの組み合わせや形状、機能性の違いによって無限の広がりを見せている。
フレーバーのバリエーション
定番のミント系(ペパーミント、スペアミント、メンソール)、フルーツ系(グレープ、オレンジ、ストロベリー、ピーチ、マスカット、ライチ、レモン、すいか、マンゴーなど)、飲料系(コーラ、サイダー、コーヒー、紅茶、ヨーグルト)、さらにはスパイス系(シナモン)や変わり種(抹茶、梅、焼肉風味など)まで、そのラインナップは際限がない。
機能性
虫歯予防を目的としたキシリトール配合ガム、口臭対策のためのフラボノイド配合ガム、眠気防止のためのカフェイン配合ガム、記憶力維持を訴求するイチョウ葉エキス配合の機能性表示食品ガム、ストレスや疲労感を軽減するGABA配合ガムなど、健康志向のバリエーションが拡充している。
形状のアレンジ
球状のガムボールを自動販売機から購入するスタイル、棒状のバーガム、中にとろりとしたペーストが入った「液体入りガム」(コリスの「そのまんまフーセンガム」シリーズなど)、口の中で色が変わる仕掛けガム(丸川製菓の「ドラQラのもとガム」など)、噛むと味が変化する「味変ガム」など、遊び心のある商品も多い。
さらに近年では、駄菓子メーカーのフレーバーを再現したコラボ商品(マルカワガム味のチューハイ、アイス、スイーツなど)も登場しており、味ガムの風味は菓子の枠を超えて食文化全体に影響を与えている。
