お菓子の名前(日本語)
クラッカー
お菓子の名前(外国語)
Cracker(英語)
お菓子の分類
焼き菓子(ビスケット類)/膨化食品 ※日本では「ビスケット類の表示に関する公正競争規約」において、ビスケット類の一区分として「クラッカー」が定義されている。
どんなお菓子
クラッカーとは、小麦粉を主原料とし、砂糖をほとんど加えずに薄く焼き上げた、パリパリ・サクサクとした軽い食感が特徴の焼き菓子である。甘みがほぼなく、淡泊で塩味を基調としたシンプルな味わいが最大の特徴であり、甘い味付けのクッキーやビスケットとは対照的な存在として位置づけられている。
そのままおやつや軽食として食べるのはもちろん、チーズやクリーム、ディップソース、スモークサーモン、パテなどをトッピングして食べるスタイルが本場の欧米では広く親しまれている。特にクラッカーとチーズの組み合わせは世界中で定番中の定番として知られ、最初からチーズとクラッカーを合体させた商品が製造・販売されているほどである。ワインやビールなどのアルコール類のおつまみとしても重宝されるほか、スープに添えたり砕いて料理に加えたりと、その用途は幅広い。
日本においても、クラッカーは古くから親しまれてきた。1960年代にテレビ番組「てなもんや三度笠」で藤田まことが発した「俺がこんなに強いのも、あたり前田のクラッカー!」というフレーズは日本中に知れ渡り、流行語にまでなった。現在も前田製菓をはじめ、ヤマザキビスケット、ブルボン、モンデリーズ・ジャパンなど多くのメーカーがクラッカーを製造・販売しており、日本人にとっても非常に身近なお菓子の一つである。
クラッカーの多くの表面には、小さな穴(ドッキングホール)が規則的にあけられている。これは焼成中に生地の中で大きな気泡が発生して膨らみすぎるのを防ぐために設けられたもので、クラッカーの見た目上の特徴のひとつでもある。
お菓子の名前の由来
「クラッカー(Cracker)」の名称は、英語の「crack(割れる、砕ける、パチパチ音を立てる)」に由来している。その名の付け方にはいくつかの説がある。
最も広く知られている説は、1801年にアメリカ・マサチューセッツ州ミルトンのパン職人ジョシア・ベント(Josiah Bent)が、オーブンでビスケットを焼いている最中にパチパチと弾けるような音が鳴ったことから、その食品を「クラッカー」と名づけたというものである。もう一つの説は、食べるときにパリパリ・サクサクと砕ける音に着目して名前がつけられたというもので、いずれにしても「軽快に砕ける」という食感・音を表現した名前であることに変わりはない。
お菓子の歴史
クラッカーの歴史を辿ると、その原型は古代にまで遡ることができる。古代エジプトの時代から、長い旅や航海のために硬く焼いた平たいパンが保存食として利用されていた。ローマ時代には「bis coctum(二度焼いたもの)」と呼ばれる保存用の焼きパンが存在し、これが後のビスケットやクラッカーの遠い祖先とされている。
中世以降のヨーロッパでは、「ハードタック(hard tack)」あるいは「シップス・ビスケット(ship’s biscuit)」と呼ばれる硬い保存食パンが、兵士や船員の食料として広く用いられていた。穀物の粉と水を混ぜ、板状に成形して硬くなるまで焼いたこの食品は、水分が極めて少ないため長期間保存が可能で、コーヒーやスープ、さらには海水に浸して柔らかくしてから食されていた。1190年頃にはその記録が残されており、イギリス海軍では19世紀に缶詰食品が普及するまで、船員の主要な食糧であり続けた。
近代的なクラッカーの歴史は、18世紀末のアメリカで幕を開ける。1792年、マサチューセッツ州のジョン・ピアスン(John Pearson)がクラッカーの原型を発明した。これは堅パン(パイロットブレッド)と呼ばれるもので、主に軍隊の糧食として利用された。続いて1801年、同じくマサチューセッツ州ミルトンのパン職人ジョシア・ベント(Josiah Bent)が、焼成中にパチパチと音を立てるビスケットを作り、これを「クラッカー」と名づけた。ベントは「ウォータークラッカー」として販売を開始し、長い航海にも耐える保存食として人気を博した。彼のクラッカー事業は成長を続け、後に彼の会社はナビスコ(National Biscuit Company)に売却されることとなった。
1836年には、イギリスのカーライルでジョナサン・ドジソン・カー(Jonathan Dodgson Carr)が「テーブルウォータービスケット」の製造を開始した。小麦粉と水で作られるこのビスケットはハードタックを薄く改良したもので、より食べやすいクラッカーとして好評を得た。
20世紀に入ると、クラッカーは工業的に大量生産されるようになり、一般家庭の食卓に広く浸透していく。1934年にはアメリカでリッツクラッカーが発売され、大恐慌の時代にもかかわらず手軽で美味しいスナックとして爆発的な人気を獲得した。
日本においては、前田製菓が1918年(大正7年)に大阪府堺市で「前田西洋菓子製造所」として創業し、戦時中には乾パンの製造技術を蓄積した。その技術を応用して1955年(昭和30年)に「前田のクラッカー」「ランチクラッカー」の製造・販売を開始した。1962年に放送が始まったテレビ番組「てなもんや三度笠」の番組内CMで、藤田まことが「俺がこんなに強いのも、あたり前田のクラッカー!」と叫ぶ決めゼリフが全国的な流行語となり、クラッカーという食品が日本中に広く認知されるきっかけとなった。
発祥の地
クラッカーの発祥地は、アメリカ合衆国マサチューセッツ州である。1792年にジョン・ピアスンが原型となる堅パンを考案し、1801年にジョシア・ベントがミルトン(Milton)で初めて「クラッカー」という名称を用いた製品を製造・販売したことから、マサチューセッツ州がクラッカー発祥の地とされている。ただし、その前身となるハードタックやシップス・ビスケットの歴史はヨーロッパに古くから存在しており、クラッカーという近代的な食品としてのルーツがアメリカにあるという位置づけである。
有名な商品(メーカー名と商品名と販売価格)
日本で広く流通しているクラッカーの主な商品は以下の通りである。
モンデリーズ・ジャパン「リッツ クラッカー」
世界中で愛されるロングセラーブランドで、丸型の香ばしいクラッカーとして知られる。Sサイズ(128g・13枚×3パック)の希望小売価格は約205円(税込)、Lサイズ(247g)は約421円(税込)。もともとヤマザキ・ナビスコが日本での製造・販売を行っていたが、2016年のライセンス契約終了に伴い、現在はモンデリーズ・ジャパンが販売している。
ヤマザキビスケット「ルヴァンプライム」
2016年にリッツの製造権を失ったヤマザキビスケットが独自に開発したクラッカーブランドである。長年培ってきた発酵種の技術を活かした風味豊かな味わいが特徴で、Sサイズ(39枚・13枚×3パック)やLサイズ(54枚・6枚×9パック)が販売されている。実勢価格は200円~400円程度。全粒粉タイプの「ルヴァン全粒粉クラッカー」も展開されている。
前田製菓「前田のランチクラッカー」
1955年から続くロングセラー商品で、「あたり前田のクラッカー」のフレーズでおなじみの老舗メーカーによる一品。昔ながらの製法にこだわり、小麦本来の味と香りを活かしたプレーンな味わいが人気。1袋(13枚入)は約108円(税込)。非常食用の保存缶タイプ(賞味期限5年)も販売されている。
ブルボン「天然酵母のクラッカー」
自然界に生きる野生の酵母と植物性の乳酸菌を使った天然酵母りんご種を使用し、じっくり発酵させて焼き上げた独特の深い味わいが特徴。48枚入(6枚×8袋)で希望小売価格は約260円(税別)。健康志向の消費者にも支持されている。
味や食感などの特徴
クラッカーの最も大きな特徴は、甘みがほとんどなく塩味を基調としたシンプルで淡泊な味わいである。小麦粉の風味と軽い塩気が主体となるため、他の食材との相性が非常に良く、チーズ、ハム、パテ、ディップソース、ジャム、フルーツなど、甘いものからしょっぱいものまで幅広いトッピングを受け止めることができる。
食感は、パリパリ、サクサクとした軽快な歯ごたえが持ち味である。クッキーやビスケットと比べて油脂や砂糖の含有量が少ないため、口当たりは軽くドライで、歯で噛んだ瞬間に心地よく砕ける感覚がある。薄焼きのものほど軽くパリッとした食感になり、厚めのものはややしっかりとしたサクサク感が楽しめる。
また、イーストや発酵種を使用したクラッカーは、発酵に由来するほのかな旨みや深みのある風味が加わり、プレーンながらも奥行きのある味わいとなる。全粒粉を使用したタイプは、穀物の香ばしさや素朴な風味が際立ち、食物繊維も豊富になるため健康志向の層にも好まれている。
どんな場面やどんな人におすすめ
クラッカーは、その汎用性の高さからさまざまな場面・人におすすめできるお菓子である。
ワインやビール、チーズなどとともに楽しむホームパーティーやおもてなしの場面では、クラッカーにトッピングを載せたカナッペが手軽かつ華やかな一品として活躍する。少量のクリームチーズとスモークサーモンを載せるだけで、見栄えの良いおつまみが完成する。
甘いお菓子が苦手な人や、塩味のスナックを好む人にとっても、クラッカーはぴったりの選択肢である。砂糖の使用量が少ないため、ビスケットやクッキーと比較してカロリーがやや控えめであり、ダイエット中の間食としても取り入れやすい。ただし、食べ過ぎには注意が必要である。
朝食やちょっとした軽食として、クラッカーにジャムやバター、はちみつを塗って食べるのも定番のスタイルである。忙しい朝に手軽にエネルギーを摂取したい人にもおすすめである。
また、長期保存が可能な特性から、防災備蓄食としても重宝されている。保存缶タイプのクラッカーは賞味期限が5年以上のものもあり、非常時の食料としても安心である。アウトドアやキャンプなどの携行食としても適している。
子どものおやつとしても親しまれており、甘さ控えめでシンプルな味わいのため、小さな子どもの味覚にも負担が少ない。チーズやフルーツと組み合わせれば、栄養バランスの取れたおやつにもなる。
材料
クラッカーの基本的な材料は、非常にシンプルである。日本の「ビスケット類の表示に関する公正競争規約」では、クラッカーの原材料として、小麦粉その他の穀粉類、糖類、食用油脂、食塩を主原料とし、必要に応じて澱粉、乳製品、卵製品、イースト、酵素、膨張剤等を配合するものと定められている。
具体的な主な材料は以下の通りである。小麦粉(薄力粉または準強力粉)が生地の主体となり、食塩が味付けの基本となる。食用油脂(サラダ油、オリーブオイル、ショートニング、バターなど)が生地にコクやサクサクとした食感を与える。水が生地をまとめる役割を果たす。イースト(酵母)やベーキングパウダーなどの膨張剤が、生地をふっくらと膨らませ、軽い食感を生み出す。砂糖は使用する場合でもごく少量にとどめられ、クッキーとの差別化が図られている。
市販のクラッカーにはこれらに加えて、モルトエキス、発酵種、ぶどう糖果糖液糖、調味料(アミノ酸等)などが使用されることもある。
レシピ
家庭でも手軽に作れる基本的なプレーンクラッカーのレシピを紹介する。
材料(約20枚分)
薄力粉 80g、塩 小さじ3分の1、サラダ油(またはオリーブオイル) 大さじ1と2分の1、水 大さじ2~3
作り方
- まずボウルに薄力粉と塩を入れて泡立て器などで均一に混ぜ合わせる。そこにサラダ油を加え、指先やフォークを使って粉と油をなじませ、全体がそぼろ状のポロポロとした状態になるまで混ぜる。水を少しずつ加えながら、生地がひとまとまりになるまでこねる。このとき、こねすぎるとグルテンが発達して硬い仕上がりになるため、生地がまとまったら手を止めるのがポイントである。
- まとまった生地をラップに包み、冷蔵庫で30分ほど休ませる。休ませた生地を打ち粉をした台の上に置き、めん棒で厚さ2~3mm程度に薄く均一に伸ばす。好みの大きさに包丁やクッキー型で切り分け、フォークで数か所穴をあける。この穴が焼成時の膨らみ防止の役割を果たす。
- 天板にクッキングシートを敷き、切り分けた生地を並べる。180℃に予熱したオーブンで15~18分程度、表面にうっすら焼き色がつくまで焼く。焼き上がったらオーブンから取り出し、天板の上で完全に冷ます。冷めるにつれてパリッとした食感になる。
お好みで焼く前にブラックペッパー、粉チーズ、ハーブ(バジル、ローズマリーなど)、ゴマなどをトッピングすると、風味豊かなアレンジクラッカーが楽しめる。
販売温度帯
クラッカーは常温販売が基本である。水分含有量が非常に少ない乾燥食品であるため、冷蔵や冷凍の必要はなく、スーパーマーケットやコンビニエンスストアの常温棚(菓子コーナー)で販売されている。直射日光や高温多湿を避ければ、常温での長期保管が可能である。
主な流通形態
クラッカーの主な流通形態としては、まず箱入りタイプがある。紙箱の中に個包装のパックが複数入った形態で、ルヴァンプライムやリッツなど主要ブランドの多くがこの形態を採用している。個包装によって開封後も湿気を防ぎやすく、必要な分だけ食べられる利便性がある。
袋入りタイプもあり、前田製菓のランチクラッカーなどに見られる。小袋に入った手軽なサイズで、駄菓子的な気軽さで購入できる。
保存缶タイプは、防災備蓄用として流通しているもので、ヤマザキビスケットの「ルヴァンプライム保存缶」や前田製菓の「あたり前田のクラッカー保存缶」などがある。密封された缶に入っており、5年程度の長期保存が可能である。
大容量・業務用タイプは、コストコなどの会員制スーパーやオンラインショップで販売される大型パッケージで、大量に使用するパーティーやイベント向けに適している。
価格帯
クラッカーの価格帯は、商品のサイズやブランドによって幅があるが、おおむね100円台から400円台が一般的な市販品の価格帯である。前田製菓のランチクラッカー(13枚入)が約108円、リッツクラッカーSサイズ(128g)が約200円前後、ルヴァンプライム9パック入りが300円~400円程度、ブルボンの天然酵母のクラッカー(48枚入)が約280円である。
防災備蓄用の保存缶は1缶あたり700円~1,000円程度と一般のクラッカーよりは高めの価格設定となっているが、5年間という長い賞味期限を考慮すると、非常にコストパフォーマンスに優れている。
輸入品のクラッカーや、グルテンフリー・オーガニック素材を使用した高付加価値商品になると、500円~1,000円超の価格帯になることもある。
日持ち
クラッカーは水分含有量が非常に少ない焼き菓子であるため、未開封の状態であれば長期間の保存が可能である。一般的な市販品の賞味期限は、製造日から6か月~13か月程度が標準的である。前田製菓のランチクラッカーは製造日より約6か月、ヤマザキビスケットのルヴァンプライムは約390日(約13か月)の賞味期限が設定されている。
防災備蓄用の保存缶タイプは、脱酸素剤や窒素充填などの技術により、5年以上の長期保存が可能とされている。前田製菓やヤマザキビスケットの保存缶が5年、サバイバルフーズのクラッカー保存缶に至っては最大25年の保存が可能とされており、これは高度なフリーズドライ加工と密封技術によるものである。
開封後は湿気を吸収しやすく、食感が損なわれるため、密封容器やジッパー付き保存袋に入れて、なるべく早く(目安として1~2週間以内に)食べ切ることが推奨される。
アレンジ・バリエーション
クラッカーのバリエーションは、生地そのものの種類と、食べ方のアレンジの両面から多彩に広がっている。
生地の種類
まず「ソーダクラッカー(ソルティンクラッカー)」がある。重曹やイーストで発酵させて作る定番のクラッカーで、塩味が効いた軽い食感が特徴。スープに添えて食べるスタイルがアメリカでは広く親しまれている。「ウォータークラッカー(ウォータービスケット)」は、小麦粉と水というごくシンプルな材料で作られるもので、1836年にイギリスのカー社が開発した歴史あるタイプである。チーズの風味を引き立てるために使われることが多い。「グラハムクラッカー」は、全粒粉の一種であるグラハム粉を原料としたクラッカーで、ほのかな甘みがありクッキーに近い風味を持つ。アメリカではスモアやチーズケーキの土台として広く使われている。「チーズクラッカー」は、生地にチーズを練り込んだもので、Cheez-ItやGoldfishなどがアメリカで人気のブランドである。「全粒粉クラッカー」は、全粒粉を使用することで食物繊維やミネラルが豊富となり、健康志向の消費者に支持されている。ヤマザキビスケットの「ルヴァン全粒粉クラッカー」などが日本では代表的である。「オイスタークラッカー」は、牡蠣の殻に似た小粒の丸い形状のクラッカーで、クラムチャウダーなどのスープに入れて食べるのがアメリカの伝統的なスタイルである。
食べ方のアレンジ
「カナッペ」が最もポピュラーである。クラッカーの上にクリームチーズやマスカルポーネを塗り、その上にスモークサーモン、生ハム、エビ、アボカド、トマト、フルーツなどを載せて彩りよく仕上げる。パーティーや来客時のおもてなしに最適な一品である。「ディップスタイル」では、クラッカーをフムスやワカモレ、バジルソース、ツナマヨネーズなどのディップソースにつけて食べる。「スイーツアレンジ」として、クラッカーにチョコレートを塗ったり、マシュマロとチョコレートを挟んでスモア風にしたり、ジャムやはちみつを添えるなど、甘い食べ方も楽しめる。「料理への活用」としては、クラッカーを細かく砕いてフライのパン粉代わりに使ったり、グラタンのトッピングにしたり、チーズケーキの台にしたりする方法がある。「スープの付け合わせ」として、クラムチャウダーやトマトスープ、コーンスープなどに添えるスタイルもアメリカでは定番である。
