お菓子の名前(日本語)
蒸カステラ(むしカステラ)
別名:浮島(うきしま)
お菓子の名前(外国語)
Steamed Castella(英語)
蒸しカステラは中華風の場合「馬拉糕(マーラーカオ/Mǎlāgāo)」とも呼ばれる
お菓子の分類
和菓子(蒸し菓子)/生菓子~半生菓子/枠蒸し菓子
どんなお菓子
蒸カステラとは、その名の通り「蒸して仕上げるカステラ」のことである。一般的なカステラがオーブンで焼き上げるのに対し、蒸カステラはせいろや蒸し器を使って蒸気の力でふっくらと蒸し上げる。和菓子の世界では「枠物」と呼ばれるジャンルに属し、蒸し羊羹や浮島などと並ぶ伝統的な蒸し菓子の一つに位置づけられている。
和菓子としての蒸カステラは、餡(あん)を生地に練り込んで蒸し上げたものを指すことが多く、この場合は「浮島(うきしま)」という別名でも親しまれている。浮島は、白こしあんや小豆あんを主体とし、卵、砂糖、上新粉や薄力粉を加えて木枠や型に流し込み、蒸し器で蒸し上げて作る。焼き上げるカステラとは異なり、油脂を一切使わなくてもあんの力でしっとりとした質感が生まれるのが大きな特徴である。ベーキングパウダーなどの膨張剤を使わず、メレンゲ(泡立てた卵白)の力だけで生地をふんわりと持ち上げる製法は、和菓子職人の技が光るところだ。
一方、中華菓子の世界にも「蒸しカステラ」と呼ばれるお菓子がある。代表的なのが「マーラーカオ(馬拉糕)」で、中国の広東地方やマレーシアを起源とする蒸し菓子である。こちらは卵、砂糖、小麦粉、牛乳やコンデンスミルク、黒砂糖などを使い、しっとりと密度のある生地が特徴的だ。日本のスーパーやコンビニでも山崎製パンの「熟成マーラーカオ」などが手軽に購入でき、広く親しまれている。
このように「蒸カステラ」という言葉は、和菓子の浮島から中華風の蒸し菓子、さらには沖縄の琉球菓子「鶏卵糕(ちいるんこう)」に至るまで、蒸して作るカステラ風のお菓子を幅広く包含する総称として使われている。本記事では、和菓子としての蒸カステラ(浮島)を中心に、関連する中華風蒸しカステラや地域の蒸しカステラ文化も含めて、その全貌を詳しく紹介していく。
お菓子の名前の由来
「蒸カステラ」の名前は非常に直截的で、「蒸す」という調理法と「カステラ」という菓子名を組み合わせたものである。カステラの語源は、16世紀にポルトガル人が日本に伝えた際に「カスティーリャ王国(Castilla)の菓子だ」と説明したことに由来する。ポルトガル語では「Castela(カステーラ)」と発音し、それが日本語の「カステラ」として定着した。蒸カステラは、このカステラを焼くのではなく蒸すという東洋独自の調理法で仕上げたものとして名付けられたわけである。
和菓子の蒸カステラの代表的な別名である「浮島(うきしま)」の由来は、その姿形にある。蒸し上がった生地がふっくらと膨らみ、まるで水面に浮かぶ島のように見えることから「浮島」と名付けられたとされている。日本人らしい風流な命名であり、見た目の美しさを菓銘に込める和菓子文化の真髄がうかがえる。
中華風蒸しカステラの「マーラーカオ(馬拉糕)」は、「馬拉」がマレーシアの中国語表記「馬来西亜」に由来し、「糕」はケーキや蒸し菓子を意味する。つまり「マレーシアのケーキ」という意味であり、広東地方に伝わったマレーシア風の蒸し菓子であることを示している。
沖縄の「鶏卵糕(ちいるんこう)」は、文字通り「鶏の卵の糕(蒸し菓子)」を意味する。琉球王朝時代に中国から伝わった菓子であり、卵をふんだんに使った蒸しカステラ風の菓子である。
お菓子の歴史
蒸カステラの歴史を紐解くには、まず「蒸す」という調理法と「カステラ」という菓子の伝来を別々にたどる必要がある。
焼き菓子としてのカステラが日本に伝わったのは16世紀、いわゆる南蛮貿易の時代である。1543年にポルトガル人が種子島に漂着してから、長崎を中心にポルトガル人宣教師や商人がさまざまな南蛮菓子を伝えた。カステラもその一つで、1592年頃には南蛮商人から製法を習った日本人が独自に作り始めたとされている。長崎では1624年創業の福砂屋、1681年創業の松翁軒など、江戸時代初期から中期にかけてカステラの名店が次々と生まれ、日本独自の進化を遂げていった。
一方、「蒸す」という調理法自体は西洋ではあまり一般的ではなく、東洋独特の手法であった。中国では古来より蒸す文化が根付いており、「蒸しパン」をはじめとする蒸し菓子の歴史は長い。日本には806年に空海が中国から蒸す調理法を伝えたとされ、それ以降、饅頭(まんとう)や蒸し菓子が発展していった。
和菓子の蒸カステラ、すなわち「浮島」がいつ頃誕生したのか正確な記録は残されていないが、江戸時代の和菓子文化の成熟期に生まれたと考えられている。江戸時代中期から後期にかけて、茶道の発展とともに上生菓子の技法が洗練されていき、餡を主体とした蒸し菓子としての浮島が確立されたとみられる。焼き菓子であるカステラの技法と、和菓子の蒸し菓子の技法が融合し、餡を使ったしっとりとした蒸しカステラ=浮島が生まれたのは、まさに和洋の食文化が交差する日本ならではの創造であった。
中華風蒸しカステラの系譜としては、マーラーカオ(馬拉糕)が日本に伝わったのは江戸時代、鎖国中に中国から長崎を通じて入ってきたとされている。長崎は中国との貿易窓口であり、中国菓子の影響を強く受けた土地柄であった。
沖縄の鶏卵糕(ちいるんこう)は、1429年から1879年まで続いた琉球王朝時代に中国から伝えられた宮廷菓子であり、王家や貴族だけが口にできる格調高い蒸し菓子であった。卵をふんだんに使い、赤く染めた落花生や桔餅(きっぱん)を加えて蒸し上げる華やかな菓子は、琉球王国の祝い事に欠かせないものであった。
発祥の地
蒸カステラの発祥を一つの地域に限定することは難しい。和菓子の蒸カステラ(浮島)は日本各地の和菓子店で独自に発展してきたものであり、特定の発祥地は明確でない。ただし、カステラ文化の中心地である長崎県、茶道文化が栄えた京都府、加賀藩の菓子文化が花開いた石川県(金沢)などが蒸カステラ文化の主要な土壌であったと考えられる。
中華風蒸しカステラ(マーラーカオ)の起源は、中国の広東地方およびマレーシアとされている。日本への伝来は江戸時代に長崎を通じてのことで、長崎は中華風蒸し菓子の日本における発信地でもあった。
沖縄の鶏卵糕(ちいるんこう)は沖縄県那覇市首里が発祥とされ、琉球王朝の宮廷菓子として王城のお膝元で作られていた。現在でも首里の新垣菓子店などの老舗が伝統を守り続けている。
有名な商品(メーカー名と商品名と販売価格)
蒸カステラに関連する代表的な商品をいくつか紹介する。
和菓子系の蒸カステラ(浮島) として有名なのが、石川県金沢市の老舗和菓子店「柴舟小出」の「山野草(さんやそう)」である。蒸しカステラと抹茶のそぼろ餡が二層になった「山」と「野」、小豆の入った生地に加賀の丸芋を使いかるかん風に蒸し上げた「草」の三種が楽しめる詰め合わせで、8個入が税込1,728円、12個入が税込2,376円、16個入が税込3,132円、20個入が税込3,780円で販売されている。賞味期限は常温で14日間と日持ちも良い。
茨城県の和菓子店「菓匠 土門」では、白餡と卵白を使ってしっとりと蒸し上げたカステラ風の「浮島」を1個税込280円で販売している。賞味期限は製造日より10日間である。
中華風蒸しカステラ の分野では、山崎製パンの「熟成マーラーカオ」が全国のスーパーやコンビニで広く流通しており、1個入が約88〜130円程度、2個入が約138〜150円程度と手頃な価格で購入できる。長時間熟成させて旨みを増した中華風蒸しケーキとして、ロングセラー商品となっている。
フジパンの「ふんわり蒸しケーキ 台湾カステラ風」は2025年5月に発売された商品で、ふわしゅわ食感が特徴的な蒸しカステラ風の菓子パンである。
沖縄の蒸しカステラ としては、首里の「新垣菓子店(新垣カミ菓子店)」の「鶏卵糕(ちいるんこう)」が有名であり、200年以上の歴史を持つ琉球王朝伝統の蒸し菓子として根強い人気がある。
味や食感などの特徴
蒸カステラの最大の特徴は、蒸し上げることによって生まれる独特の「しっとり感」と「ふんわり感」の共存にある。
和菓子の蒸カステラ(浮島)は、餡を主体とした生地であるため、焼きカステラとは一線を画すしっとりとしたきめ細かい食感が楽しめる。白こしあんを使った場合はなめらかで上品な舌触りとなり、小豆あんを使った場合はより素朴で豆の風味が感じられる。卵白を丁寧に泡立てて加えることで、重たさのないふんわりとした口当たりが実現される。油脂を一切使わないため、食後感が非常に軽やかで、あっさりとしているのに満足感がある。甘さは控えめから中程度で、餡の自然な甘みが主体であるため、後味がすっきりとしている。
焼きカステラが「しっかりとした弾力」と「卵の濃厚な風味」を前面に出すのに対し、蒸カステラは「ふわりと溶けるような柔らかさ」と「餡の穏やかな甘み」が特徴的だ。蒸し上げることで水分がしっかりと閉じ込められるため、口の中でほどけるように崩れていくのが、他にはない独特の食体験となっている。
中華風蒸しカステラ(マーラーカオ)の場合は、黒砂糖やコンデンスミルクによるコクのある甘みと、もっちりとした密度の高い食感が特徴である。レーズンを加えることも多く、フルーティーなアクセントが加わる。
沖縄の鶏卵糕は、卵をふんだんに使った濃厚な味わいで、みっちりと詰まった生地の中に赤い落花生の香ばしさや桔餅の柑橘の風味が散りばめられており、独自の華やかな風味を持つ。
どんな場面やどんな人におすすめ
蒸カステラはその素朴な優しさと上品な味わいから、幅広い場面や人におすすめできるお菓子である。
日常のおやつとして親しまれている。油脂を使わない和菓子の浮島は、脂っこいお菓子が苦手な方やヘルシー志向の方にぴったりである。洋菓子に比べてカロリーが控えめであり、あっさりとした味わいは食後のデザートとしても重くならない。柔らかくしっとりとした食感は、小さな子どもからお年寄りまで年齢を問わず食べやすいため、家族で楽しむおやつとしても最適だ。
お茶の席との相性も抜群で、抹茶や煎茶はもちろんのこと、コーヒーや紅茶にも意外なほどよく合う。浮島は上生菓子としてお茶会の主菓子に用いられることもあり、季節の素材を取り入れて美しく仕上げた浮島は、おもてなしの場面でも格調高い印象を与える。
手土産や贈り物としても適している。和菓子の蒸カステラは見た目の美しさに加え、比較的日持ちする商品も多いため、お中元やお歳暮、ちょっとした挨拶の品にも喜ばれる。金沢の柴舟小出「山野草」のように、地方の銘菓として旅行土産にする方も多い。
さらに、手作りのお菓子としても取り組みやすい。蒸し器があれば家庭でも比較的簡単に作ることができ、あんの種類を変えたり、抹茶やよもぎなどを加えたりとアレンジの幅が広い。和菓子作りの入門編として、お菓子教室でも人気のメニューである。
材料
和菓子の蒸カステラ(浮島)の基本的な材料は以下の通りである。
生地の主材料
白こしあん(または小豆こしあん)、卵(卵黄と卵白を分けて使用)、上白糖(グラニュー糖)、そして薄力粉または上新粉(米粉)の四つである。白こしあんは手亡豆(てぼうまめ)や白いんげん豆で作られることが多く、小豆あんを使う場合もある。
副材料・アレンジ材料
抹茶、よもぎ、桜ペースト、ゆず、黒糖といった風味付けの素材が用いられるほか、大納言小豆の甘納豆や鹿の子豆、栗、黒豆といったトッピング・具材も使われる。
中華風蒸しカステラ(マーラーカオ)の場合は、薄力粉、卵、砂糖(黒砂糖が多い)、牛乳、コンデンスミルク、サラダ油、ベーキングパウダー、醤油(少量)、レーズンなどが主な材料となる。和菓子の浮島が餡を主体とするのに対し、マーラーカオは小麦粉を主体とし、砂糖や油脂でコクと甘みを出す点が大きな違いである。
沖縄の鶏卵糕の材料は、小麦粉、卵(特に卵黄を多く使用)、砂糖、赤く染めた落花生、桔餅(きっぱん=柑橘類の皮を砂糖で煮詰めたもの)などである。
レシピ
ここでは、家庭で作りやすい和菓子の蒸カステラ(浮島)の基本レシピを紹介する。
【基本の浮島(蒸カステラ)】
材料(15cm角型1台分)
白こしあん 200g、卵黄 3個分、卵白 3個分(約110g)、上白糖 30g、薄力粉 40g(または上新粉でも可)
下準備
型にクッキングシートを敷いておく。卵を卵黄と卵白に分けておく。薄力粉をふるっておく。蒸し器に湯を沸かし、蒸気を上げておく。蒸し器の蓋には布巾を巻いて、水滴が生地に落ちるのを防ぐ。
作り方
- 第一に、ボウルに白こしあんと卵黄を入れ、ゴムベラまたは泡立て器でなめらかになるまでよく混ぜ合わせる。あんが固い場合は少しずつ卵黄を加えて伸ばしていくとよい。
- ふるった薄力粉を加え、粉気がなくなるまでさっくりと混ぜ合わせる。練りすぎると生地が重くなるので注意する。二色に仕上げる場合は、ここで生地を二等分し、片方に抹茶や食用色素を加える。
- 別のボウルに卵白を入れ、上白糖を2回に分けて加えながら泡立てる。目安はツノが立つがお辞儀をする程度のやわらかいメレンゲで、立てすぎると蒸し上がりの表面が割れてしまうため注意が必要である。
- あんの生地にメレンゲの三分の一量を加えてしっかりと混ぜ合わせ、生地をなじませる。残りのメレンゲを二回に分けて加え、泡を潰さないようにさっくりと切るように混ぜ合わせる。
- 型に生地を流し入れ、カードやヘラで表面を平らに整える。二層にする場合は、最初に一色目の生地を流し入れ、お好みで甘納豆や鹿の子豆を散らしてから、二色目の生地を重ねて流し入れる。
- 蒸気の上がった蒸し器に型を入れ、中火から強火で約25〜30分間蒸す。竹串を刺して生地がついてこなければ蒸し上がりのサインである。
- 型から取り出し、クッキングシートをはがして、固く絞った濡れ布巾をかぶせて冷ます。表面が盛り上がっている場合は、ひっくり返して冷ますと平らになる。完全に冷めてからお好みの大きさに切り分けて完成となる。
いただくときは常温か、少し温かいくらいが最もおいしい。冷蔵庫で冷やしてからカットすると断面がきれいに切れるが、食べる前に少し室温に戻すとしっとり感が戻る。
販売温度帯
蒸カステラの販売温度帯は、商品の種類によって異なる。
和菓子の蒸カステラ(浮島)は、基本的に常温で販売されることが多い。和菓子店の店頭では室温で陳列され、そのまま持ち帰ることができる。ただし、夏季や水分量の多い製品は冷蔵での販売・管理が推奨される場合もある。上生菓子として作られた浮島は、鮮度を重視して冷蔵ショーケースに並べられることもある。
中華風蒸しカステラ(マーラーカオ)は、スーパーやコンビニでは常温の菓子パンコーナーに置かれていることが一般的である。
一部の蒸しカステラ商品は冷凍で流通しており、解凍して食べるタイプも存在する。業務用の蒸しカステラミックス(熊本製粉のAむしカステラミックスなど)もあり、和菓子店が独自の配合で仕上げるための業務用原料としても流通している。
主な流通形態
蒸カステラの流通形態は多岐にわたる。
和菓子専門店での店頭販売
地域の和菓子店が浮島として製造・販売するケースが多く、一個売りや箱入りの詰め合わせで提供される。デパ地下(百貨店の地下食品売場)の和菓子コーナーでも、季節の上生菓子の一つとして扱われることがある。
通信販売・オンラインショップ
楽天市場やAmazonなどのECサイトで「蒸しカステラ」「浮島」を検索すると、全国各地の和菓子店の商品を取り寄せることができる。
スーパー・コンビニエンスストア
中華風蒸しカステラ(マーラーカオ)が菓子パンコーナーで通年販売されている。山崎製パンの「熟成マーラーカオ」は全国的に流通しており、最も手軽に入手できる蒸しカステラといえる。
業務用卸
和菓子店やレストラン向けに蒸しカステラ用のミックス粉や冷凍生地が製菓材料メーカーから販売されている。
価格帯
蒸カステラの価格帯は商品の種類や販売形態によって幅広い。
和菓子店で販売される浮島(蒸しカステラ)は、一切れ(一個)あたり200〜400円程度が相場である。菓匠土門の浮島が1個280円、銀座の空也の季節の生菓子が1個400円前後といった例がある。箱入りの詰め合わせでは、柴舟小出の「山野草」が8個入で1,728円、20個入で3,780円と、個数に応じて1,500〜5,000円程度の価格帯となっている。
スーパーやコンビニで販売される中華風蒸しカステラ(マーラーカオ)は、90〜150円程度と非常に手頃な価格で購入できる。
手作りする場合の材料費は、白こしあんや卵、薄力粉など基本的な材料で1台分が500〜800円程度に収まるため、家庭で楽しむには経済的なお菓子ともいえる。
日持ち
蒸カステラの日持ちは、製法や保存料の有無によって異なるが、一般的な目安は以下の通りである。
和菓子店の浮島(蒸カステラ)は、常温保存で3〜14日程度が賞味期限の目安となっている。柴舟小出の「山野草」は常温14日、菓匠土門の「浮島」は製造日より10日と比較的日持ちする。ただし、無添加・手作りの浮島は当日〜3日程度と短い場合もある。高温多湿を避け、直射日光の当たらない涼しい場所での保存が基本である。
冷蔵保存の場合は3〜7日程度保存可能であるが、冷蔵庫内は乾燥しやすいため、ラップや密閉容器でしっかりと包んで保存するのが望ましい。ただし、冷蔵すると生地が固くなることがあるため、食べる前に室温に戻すか、軽く電子レンジで温めると柔らかさが復活する。
冷凍保存も可能で、適切に密封すれば2〜3週間程度は品質を保つことができる。解凍は自然解凍が推奨される。
スーパーで販売されるマーラーカオ等の包装商品は、製造日から1〜2週間程度の賞味期限が設定されていることが多い。
アレンジ・バリエーション
蒸カステラは、素材や製法の工夫によって驚くほど豊富なバリエーションが楽しめるお菓子である。
餡のバリエーション
最も基本的なアレンジ方法である。白こしあんをベースにすれば淡い色合いの上品な浮島に、小豆あんを使えば和の風味豊かな味わいに仕上がる。うぐいすあん(青えんどう豆の餡)を使えば早春の雰囲気を演出でき、栗あんを使えば秋の味覚としてぴったりである。さつまいもやかぼちゃなどの野菜あんで作ると、ヘルシーで素材の自然な甘みが楽しめる。
風味付けのバリエーション
抹茶を加えた抹茶浮島は新緑の季節に人気が高い。よもぎを練り込んだよもぎ浮島、ゆずの皮や果汁を加えた柚子浮島、桜ペーストで仕上げた桜浮島など、四季折々の素材を取り入れることで季節感を表現できる。黒糖を使った黒糖蒸しカステラは、中華風マーラーカオにも通じるコク深い味わいとなる。
二段流し・多層仕立て
和菓子店の蒸カステラの定番技法である。色や風味の異なる二種類の生地を型に流し入れて二層に仕上げることで、断面の美しいコントラストが生まれる。抹茶とプレーン、小豆あんと白あん、紫芋と白あんなど、組み合わせの可能性は無限大である。大阪府生菓子協同組合の分類でも「二段流し蒸しカステラ」は蒸しカステラの代表的なバリエーションとして挙げられている。
蒸しカステラ巻き(カステラ巻き)
伝統的なアレンジの一つで、蒸し上げた薄いカステラ生地で餡を巻いたもの。和菓子店では「絹巻き」「絹衣」といった美しい菓銘がつけられることもある。
トッピング・具材のバリエーション
大納言小豆の甘納豆、鹿の子豆ミックス、栗の甘露煮、黒豆、レーズンなどを生地に散らしたり、表面に飾ったりすることで、見た目の華やかさと食感のアクセントが加わる。
現代的なアレンジ
チーズを加えたチーズ蒸しカステラ、チョコレートを加えたショコラ蒸しカステラ、さらにはティラミス風に仕上げた和洋折衷の蒸しカステラなど、洋菓子の要素を取り入れた新しいスタイルも登場している。福岡の如水庵がバレンタイン限定で発売した「和ティラミス」は浮島を使った革新的な商品として注目を集めた。
地域のバリエーション
前述の沖縄の鶏卵糕(ちいるんこう)が独自の文化を形成しているほか、中華風のマーラーカオ、近年ブームとなった台湾カステラ(蒸し焼き仕上げ)なども広義の蒸しカステラの仲間として楽しまれている。
