お菓子の名前
日本語名: タルトレット
外国語名: Tartelette(フランス語)/ Tartlet(英語)
お菓子の分類
洋菓子(フランス菓子)、焼き菓子、タルト類(一人用小型タルト)
どんなお菓子?
タルトレットとは、タルト(tarte)の小型版にあたるフランス菓子です。バターを贅沢に使ったサクサクのタルト生地で小さな器をつくり、そこにクリーム、フルーツ、ナッツ、チョコレートなど多彩なフィリングを詰めたり載せたりして仕上げます。大きなタルトは切り分けて複数人で食べるものですが、タルトレットは一人分の食べきりサイズとして設計されており、直径はおおむね6〜8センチメートル程度が一般的です。フランスのパティスリーでは、ショーケースにさまざまな味わいのタルトレットが並んでいるのが定番の光景であり、フランス菓子の中でも最も日常的でありながら、最も奥深いジャンルのひとつと言えます。
タルトレットの魅力は、なんといってもその「一口目からフィニッシュまで、すべての味わいが凝縮されている」という点にあります。大きなタルトを切り分けた場合、端の部分と中央部分では味のバランスが異なりますが、タルトレットならばどの一口にもサクサクの生地、なめらかなクリーム、フレッシュなフルーツなどの構成要素がバランスよく含まれます。見た目の愛らしさも相まって、贈り物やパーティーの席、アフタヌーンティーなど、さまざまなシーンで喜ばれるお菓子です。
また、タルトレットよりさらに小さい一口サイズのものは「タルトレット・フール(tartelette four)」と呼ばれ、プチフール(食後の小菓子)として供されることもあります。一方、楕円形の船型をしたものは「バルケット(barquette)」と呼ばれ、タルトレットの仲間として親しまれています。
お菓子の名前の由来
「タルトレット(tartelette)」という名前は、フランス語の「tarte(タルト)」に縮小辞の接尾辞「-elette」が付いた形です。フランス語において「-ette」という接尾辞は「小さい」「かわいらしい」という意味を添える働きがあり、タルトレットは文字通り「小さなタルト」を意味します。英語でも同様に「tartlet」と表記し、これもまた「小さなタルト」という意味で通じます。
それでは、その元となる「タルト(tarte)」の語源はどこにあるのでしょうか。タルトの名前は、古代ローマ時代のラテン語「torta(トールタ)」に由来するとされています。この「torta」は、もともと「torquere(ねじる、丸める)」という動詞から派生した言葉であり、丸い皿状のお菓子や料理を指していました。この「torta」が古フランス語を経て「tarte」へと変化し、さらに中世フランス語では、パイのように中身を詰めて焼いたお菓子や料理全般を「tourte(トゥルト)」あるいは「tarte(タルト)」と呼ぶようになりました。現在のフランスでは、「tourte」はパイ包み焼き(主に惣菜系)を、「tarte」は上面が開いた器型の菓子・料理を指すというように使い分けが定着しています。
つまり、「タルトレット」は「古代ローマのトールタから派生した”タルト”の、さらに小さいもの」という、長い歴史の中で少しずつ形作られた名前なのです。
お菓子の歴史
タルトレットの歴史を語るうえで、まずは「タルト」そのものの歴史を辿る必要があります。
タルトの起源は、驚くほど古い時代にまで遡ります。古代ギリシャや古代エジプトの時代、人々はすでに「粉を水で練って薄く延ばし、器の形にして中に蜂蜜やクリーム状の食べ物を入れる」という調理法を実践していました。当時はスプーンのような食器がまだ一般化しておらず、液体状・ペースト状の食べ物を食べるためには、食べられる器をつくるのが合理的だったのです。この「食べられる器」こそが、タルトの最も原始的な姿だったと考えられています。
古代ローマ時代には、この食べ方がさらに洗練され、小麦粉とオリーブオイルなどで作った生地を型に敷き、蜂蜜やチーズ、卵などを入れて焼いた「トールタ(torta)」と呼ばれるお菓子・料理が広まりました。古代ローマの料理書『アピキウス(Apicius)』にも、卵と牛乳、蜂蜜を混ぜて焼いた「ティロパティナム(tyropatinum)」というタルトの原型ともいえるレシピが記録されています。
中世ヨーロッパに入ると、十字軍の遠征によって砂糖やスパイスが東方からもたらされ、お菓子づくりの技術が飛躍的に発展しました。この時代のフランスでは、タルトは宮廷や修道院で作られる重要な料理であり、肉やチーズを詰めた食事系のものから、果物やクリームを使った甘味系のものまで、幅広い種類が登場しました。13〜14世紀にはフランス宮廷料理人タイユヴァンの時代にリンゴのタルト(tarte aux pommes)やフランなどが記録に残されています。
ルネサンス期になると、フランスやイタリアの宮廷で菓子づくりの技術がさらに精緻化し、バターをふんだんに使ったパート・シュクレ(甘いタルト生地)やパート・ブリゼ(砕けるタルト生地)といった生地のバリエーションが確立されていきました。タルトは単なる「食べる器」から、生地そのものの風味と食感を楽しむ洗練された焼き菓子へと進化したのです。
タルトの「小型版」としてのタルトレットが明確に区別されるようになったのは、フランス菓子の技術体系が整備されていく17〜18世紀頃のことだと考えられています。宮廷での宴席やサロン文化の発達に伴い、一人ひとりが手に取って食べられる小ぶりのお菓子の需要が高まり、タルトレットやプチフールといった小型菓子のカテゴリーが確立しました。
19世紀に入り、アントナン・カレームやオーギュスト・エスコフィエといった偉大な料理人・菓子職人がフランス料理・菓子の体系化を進めると、タルトレットは正式にフランス菓子の分類のなかで「タルトの小型版」として定義されるようになりました。パティスリーの専門書にも、タルト(大型・切り分け用)、タルトレット(一人用・直径6〜8cm)、タルトレット・フール(一口サイズ・プチフール用)という区分が明記されるようになり、現在に至っています。
発祥の地
タルトレットはフランス菓子の伝統の中で生まれたお菓子であり、発祥の地はフランスです。より広い視点で見れば、タルトという菓子の系譜そのものは古代ギリシャ・古代エジプト・古代ローマにまで遡ることができますが、「タルトレット」という名称と概念をもつ小型タルトとして洗練されたのは、フランスの宮廷文化やパティスリー文化の中でのことです。
現在では、フランスはもちろん、ヨーロッパ各国、日本、アジア諸国、北米、オーストラリアなど世界中のパティスリーやカフェで親しまれています。日本においても、フランス菓子の専門店を中心にタルトレットの人気は高く、贈答用の焼き菓子としても広く流通しています。
有名な商品(メーカー名と商品名と販売価格)
タルトレットは多くの洋菓子メーカーやパティスリーから販売されています。代表的な商品をいくつかご紹介します。
セバスチャン・ブイエ(Sébastien Bouillet)「タルトレット」 フランス・リヨンに本店を構える世界的パティシエ、セバスチャン・ブイエが手がける焼き菓子タルトレットは、日本でもとりわけ高い人気を誇ります。タルト生地の中にマドレーヌやフィナンシェなどの焼き菓子を入れ、フルーツやナッツ、コンフィチュールなどで一つひとつ丁寧に仕上げたもので、常時12種類ほどのフレーバーが用意されています。「プラリネ ローズ」「シトロン」「フリュイ」「フレーズ」「ピスターシュ」「ガトー トゥールーズ」など、フランスの古典菓子をベースにしたバラエティ豊かなラインナップが特徴です。3個入り約1,350円(税込)、6個入り約2,592円(税込)、12個入り約4,860円(税込)程度の価格帯で、ギフト用の詰め合わせも充実しています。賞味期限は約3週間と、焼き菓子タルトレットとしては比較的日持ちする商品です。
フロ プレステージュ(FLO PRESTIGE PARIS)「ナッツのタルトレット」シリーズ フランス発祥のパティスリーチェーンであるフロ プレステージュは、日本国内の百貨店や駅ナカなどに多数の店舗を展開しています。同ブランドのロングセラー商品が「ナッツのタルトレット」シリーズで、プレーン、アーモンドショコラ、抹茶、アールグレイ、珈琲ショコラなどのフレーバーがあります。サクサクのタルト生地にたっぷりのナッツを載せた軽い食感が特長で、1個あたり129円(税込)という手頃な価格で購入できます。ギフト用の詰め合わせボックスも販売されており、4種のタルトレットギフト(Mボックス15個入り)が約2,273円(税込)程度で展開されています。
銀座コロンバン東京「チーズタルトレット」 1924年創業の老舗洋菓子メーカー・コロンバンが展開する「チーズタルトレット」は、しっとりとしたタルト生地にオーストラリア産クリームチーズをフィリングした濃厚な味わいが魅力です。4個入り約1,512円(税込)、8個入り約1,512円(税込)程度で、内祝いや各種贈答用として百貨店やオンラインショップで広く販売されています。
HUG社(フーグ社)「タルトレット」(業務用タルトシェル) スイスに本社を置くフーグ社は、プロの現場向けに焼成済みのタルトレットシェル(タルト台)を製造・販売しています。ホテル、レストラン、ウェディングホール、ベーカリーなど業務用として広く使われており、日本では株式会社オッティ貿易が輸入販売しています。デザート用、スナック用、ユニバーサルタイプなど多彩なサイズ・形状が揃い、2009年から日本での本格販売が始まりました。
味や食感などの特徴
タルトレットの最大の特徴は、その多層的な味わいと食感のコントラストにあります。
まず、土台となるタルト生地は、使用する生地の種類によって大きく味わいが変わります。フランス菓子においてタルト生地は主に3種類に分類されます。「パート・シュクレ(pâte sucrée)」は砂糖とバターを多く含むクッキーのような甘い生地で、カリッとした歯触りと豊かなバター風味が特徴です。「パート・ブリゼ(pâte brisée)」は砂糖の割合が少なく、サクサクともろい食感で、甘さ控えめなため食事系のキッシュなどにもよく使われます。「パート・サブレ(pâte sablée)」はバターと卵の割合が多く、非常にホロホロと崩れるような繊細な食感が持ち味ですが、その分割れやすいという特性もあります。タルトレットには、これらのうちパート・シュクレが最も多く使われます。
フィリングについては、まさに無限のバリエーションがあります。なめらかなクレーム・パティシエール(カスタードクリーム)を流し込んで季節のフルーツを飾ったフルーツタルトレットは王道中の王道です。クレーム・ダマンド(アーモンドクリーム)を詰めてしっとり焼き上げたもの、リッチなガナッシュを流し入れたチョコレートタルトレット、爽やかなレモンカードを詰めてイタリアンメレンゲで仕上げたシトロンタルトレットなど、組み合わせは菓子職人の創造力次第です。
食感の面では、外側のサクッ・パリッとしたタルト生地と、内側のしっとり・なめらかなクリームやフルーツとの対比が最大の魅力です。焼きたてのタルトレットでは生地の香ばしさがいっそう引き立ち、冷やして仕上げたタルトレットではクリームの口どけのよさが際立ちます。焼き菓子として仕上げたタルトレットの場合は、全体がしっかり焼き込まれるため、生地もフィリングもザクザクとした食感を楽しめます。
どんな場面やどんな人におすすめ
タルトレットは、その美しい見た目と一人分の食べきりサイズという特性から、さまざまなシーンで活躍します。
手土産やギフトとしては、タルトレットは非常に優秀です。とりわけ焼き菓子タイプのタルトレットは常温で日持ちがするうえ、個包装されている商品も多く、贈り先を選びません。セバスチャン・ブイエやフロ プレステージュなどのブランドは、おしゃれなパッケージの詰め合わせを展開しており、お中元やお歳暮、内祝い、お礼の品として人気があります。
アフタヌーンティーやホームパーティーの場面でも、タルトレットはぴったりです。一人ひとりが好きなフレーバーを選べる楽しさがあり、取り分けの手間も不要です。複数の種類を並べれば、テーブルが一気に華やかになります。
自分へのご褒美やおやつの時間にも最適です。大きなタルトを一人で食べきるのは大変ですが、タルトレットなら一つで満足感があり、ちょうどよいボリュームです。コーヒーや紅茶との相性は言うまでもなく、シャンパンやデザートワインとの組み合わせも格別です。
お菓子づくりを楽しむ人にとっても、タルトレットは魅力的なテーマです。大きなタルトよりも焼成時間が短く、少量の材料で練習できるため、製菓初心者がタルトの技術を学ぶ入り口としても適しています。小さいからこそ、デコレーションの工夫も楽しめます。
材料
タルトレットの材料は、タルト生地(タルトシェル)の部分とフィリング(中身)の部分に分かれます。ここでは、最も基本的なフルーツタルトレットの材料を紹介します。
タルト生地(パート・シュクレ)の材料(直径7cmのタルトレット型約8〜10個分): 無塩バター 70g、粉砂糖 40g、塩 少々、溶き卵 1/2個分(約26g)、薄力粉 120g、アーモンドプードル 30g、バニラオイル 少々。
クレーム・ダマンド(アーモンドクリーム)の材料: 無塩バター 50g、粉砂糖 50g、溶き卵 1個分、アーモンドプードル 50g。
クレーム・パティシエール(カスタードクリーム)の材料: 牛乳 200ml、卵黄 2個分、グラニュー糖 50g、薄力粉 15g、バニラビーンズ 1/2本(またはバニラエッセンス少々)、無塩バター 10g。
仕上げ: 季節のフルーツ(イチゴ、ブルーベリー、ラズベリー、マンゴーなど)適量、ナパージュ(つや出しゼリー)適量、粉砂糖やミント(飾り用)少々。
このほか、チョコレートタルトレットの場合はクーベルチュールチョコレートと生クリームでガナッシュを作ったり、レモンタルトレットの場合はレモン果汁、卵、砂糖、バターでレモンカードを作ったりと、フィリングを変えることで無限のバリエーションが生まれます。
レシピ(基本のフルーツタルトレットの作り方)
ここでは、家庭でも作りやすい基本のフルーツタルトレットのレシピをご紹介します。
【1】パート・シュクレ(タルト生地)を作る
ボウルに室温に戻した無塩バター70gを入れ、泡立て器でクリーム状になるまで練り混ぜます。粉砂糖40gと塩少々を加えてさらにすり混ぜ、白っぽくふんわりするまで混ぜます。溶き卵1/2個分を2〜3回に分けて加え、そのつどよく混ぜ合わせます。バニラオイルを少々加えます。薄力粉120gとアーモンドプードル30gをふるい合わせたものを一度に加え、ゴムベラで切るようにさっくりと混ぜ合わせます。粉気がなくなり、ひとまとまりになったら、ラップに包んで平たく整え、冷蔵庫で最低1時間休ませます。
【2】タルトレット型に敷き込む
冷蔵庫から出した生地を台の上に置き、打ち粉(薄力粉)をしながら麺棒で3mm程度の厚さに延ばします。タルトレット型より一回り大きく丸く抜き、型に丁寧に敷き込みます。底と側面を指で押さえてしっかりと密着させ、型の上端をめん棒で転がすか、ナイフで余分な生地を切り落とします。フォークで底面に数か所穴を開け(ピケ)、冷蔵庫で30分ほど休ませます。
【3】空焼き(ブラインドベイク)をする
オーブンを170℃に予熱します。型に敷き込んだ生地の上にオーブンシートを敷き、重石(タルトストーンや乾燥豆など)を載せて、170℃のオーブンで約15分焼きます。重石とシートを取り除き、さらに5〜8分ほど、生地全体がきつね色になるまで焼きます。焼き上がったら型のまま冷まします。
【4】クレーム・パティシエール(カスタードクリーム)を作る
鍋に牛乳200mlとバニラビーンズの種(またはバニラエッセンス少々)を入れて中火にかけ、沸騰直前まで温めます。別のボウルに卵黄2個分とグラニュー糖50gを入れて白っぽくなるまでしっかり混ぜ、薄力粉15gをふるい入れてさらに混ぜます。ここに温めた牛乳を少しずつ注ぎ入れながらよく混ぜ、全体を鍋に戻して中火にかけます。絶えずかき混ぜながら加熱し、とろみがついてツヤが出たら火を止め、バター10gを加えて混ぜます。バットに移してラップを密着させ、氷水にあてて急冷します。
【5】組み立てと仕上げ
冷めたタルトレットシェルの中に、冷やしたクレーム・パティシエールをスプーンや絞り袋で詰めます。その上に、洗って水気をよく拭いた季節のフルーツ(イチゴ、ブルーベリー、ラズベリー、キウイ、マンゴーなど)を美しく並べます。最後に、軽く温めたナパージュ(つや出しゼリー)を刷毛でフルーツの表面に薄く塗り、ツヤと鮮度を保ちます。お好みで粉砂糖を軽くふったり、ミントの葉を飾って完成です。
なお、クレーム・ダマンドを使う場合は、空焼き前のタルトシェルにアーモンドクリームを8分目まで詰め、170℃のオーブンで20〜25分ほどフィリングごと一緒に焼き上げます。焼き上がり後にフルーツを飾ると、より香ばしくリッチな仕上がりになります。
販売温度帯
タルトレットの販売温度帯は、そのタイプによって大きく異なります。
フルーツやカスタードクリームを使用した生菓子タイプのタルトレットは、冷蔵(0〜10℃)での販売が基本です。パティスリーやケーキショップでは冷蔵ショーケースに陳列されます。
焼き菓子タイプのタルトレット(ナッツやドライフルーツ、フィナンシェ生地などをフィリングとしたもの)は、常温での販売が一般的です。セバスチャン・ブイエやフロ プレステージュのタルトレットギフトなどはこのタイプに該当します。
また、業務用として冷凍タルトレット(冷凍生地のシェルや、フィリングまで完成させた冷凍品)も流通しており、フランスのパスキエ社などが冷凍タルトレット製品を業務用に供給しています。
主な流通形態
タルトレットの流通形態は多様です。パティスリーやケーキショップでは、ガラスのショーケースに1個ずつ陳列されてバラ売りされる形が最も一般的で、生菓子タイプのタルトレットはこの形態が主流です。百貨店の洋菓子売場でも、有名パティスリーの対面販売コーナーでバラ売りされます。
焼き菓子タイプのタルトレットは、個包装されたものが化粧箱に詰め合わされた「ギフトボックス」の形態で多く流通しています。オンラインショップや百貨店のギフトコーナーでの販売が中心で、常温配送が可能なため通信販売との相性が非常によいのが特徴です。
業務用としては、スイスのHUG(フーグ)社のような製菓材料メーカーが焼成済みタルトレットシェル(タルト台)を箱入りで流通させており、ホテル、レストラン、ウェディング施設、ベーカリーなどが仕入れて自由にフィリングを詰めて提供するという形態も広く見られます。
スーパーマーケットやコンビニエンスストアでは、大手メーカーが製造したチーズタルトやチョコレートタルトなどのタルトレットサイズの商品がチルドコーナーや焼き菓子コーナーに並ぶことがあります。
価格帯
タルトレットの価格は、その種類や販売チャネルによって幅があります。
パティスリーの対面販売で購入する生菓子タイプのタルトレットは、1個あたりおおよそ400円〜800円程度が一般的な相場です。高級パティスリーや有名シェフの店では1個1,000円を超える商品もあります。
焼き菓子タイプのギフトボックスは、フロ プレステージュの「ナッツのタルトレット」が1個あたり約129円と手頃な価格帯から、セバスチャン・ブイエの詰め合わせが1個あたり約400円程度の価格帯まで、ブランドや内容によって異なります。ギフトセット全体としては、1,500円〜6,000円程度の価格帯のものが多く流通しています。
コンビニやスーパーで販売される大手メーカーのタルトレットサイズ商品は、1個あたり150円〜350円程度が主流です。
業務用のタルトシェル(タルト台のみ)は、1箱に数十〜数百個入りのケース販売が一般的で、1個あたりに換算すると数十円〜100円程度とリーズナブルですが、基本的にはプロの現場向けの流通です。
日持ち
タルトレットの日持ちは、その種類と保存方法によって大きく異なります。
生菓子タイプのタルトレット(フレッシュフルーツやカスタードクリームを使用したもの)は、最も日持ちが短く、冷蔵保存で当日〜翌日中が理想的な賞味期限です。フルーツの水分がタルト生地に染み込むとサクサク感が失われるため、できるだけ早めに食べるのがおすすめです。
焼き菓子タイプのタルトレット(ナッツ、ドライフルーツ、焼成クリームなどを使用したもの)は、直射日光と高温多湿を避けた常温保存で2〜4週間程度の日持ちが一般的です。セバスチャン・ブイエのタルトレットは賞味期限が約3週間と公表されており、ギフト用途に適しています。フロ プレステージュの焼き菓子タルトレットも同様に、常温保存で比較的長い賞味期限が設定されています。
手作りタルトレットの場合、焼成済みのタルトシェル(空焼きしたタルト台のみ)は、密閉容器に入れて常温で2〜3日、冷凍すれば2〜4週間程度保存できます。フィリングを詰めた後は、フィリングの種類に応じて冷蔵保存で1〜3日以内に食べきるのが望ましいです。
アレンジ・バリエーション
タルトレットは、フィリングや仕上げを変えることでほぼ無限のバリエーションを楽しめるお菓子です。フランスのパティスリーでは、季節のフルーツや旬の素材に合わせてラインナップを入れ替えるのが常であり、タルトレットはまさに「パティシエの個性と創造力が試される小さなキャンバス」と言えます。
フルーツ系タルトレットは最もポピュラーなバリエーションで、イチゴ、フランボワーズ、ブルーベリーなどのベリー類、マンゴーやパッションフルーツなどのトロピカルフルーツ、桃やイチジクなどの和のフルーツまで、季節によって主役が入れ替わります。リンゴを使ったタルトレット・ノルマンド(ノルマンディー風)、洋梨のタルトレット・ブルダルー、チェリーを使ったクラフティ風タルトレットなど、フランスの古典的なタルトの味わいをタルトレットサイズで楽しめる商品も多くあります。
チョコレート系タルトレットもまた定番の人気ジャンルです。ビターチョコレートのガナッシュを流し込んだシンプルなタルトレット・オ・ショコラ、キャラメルの層とチョコレートの層を重ねたもの、塩キャラメルとチョコレートを組み合わせたもの、抹茶チョコレートや柚子チョコレートを使った和風アレンジなど、多彩な展開が見られます。
ナッツ系のバリエーションとしては、アーモンドクリームを焼き込んだアマンディン、ヘーゼルナッツやピスタチオのプラリネを使ったもの、ミックスナッツをキャラメルで絡めて載せたもの、ピーカンナッツのタルトレット(アメリカのピーカンパイのミニ版)などがあります。フロ プレステージュの「ナッツのタルトレット」シリーズは、まさにこのジャンルの日本における代表格です。
チーズ系タルトレットも人気が高まっています。クリームチーズとサワークリームを使ったベイクドチーズ風のタルトレット、リコッタチーズにレモンを合わせた爽やかなもの、ゴルゴンゾーラと洋梨を組み合わせた甘塩っぱいものなど、デザートとしてもおつまみとしても楽しめる懐の深さがあります。
食事系(惣菜系)タルトレットも忘れてはならないバリエーションです。キッシュ・ロレーヌの小型版であるミニキッシュタルトレット、トマトとモッツァレラチーズのプロヴァンス風タルトレット、スモークサーモンとクリームチーズのタルトレットなど、パーティーのオードブルやビュッフェで大活躍します。フランスではタルトレットは甘いものだけでなく、こうした塩味のもの(タルトレット・サレ)もパティスリーやトレトゥール(惣菜店)で日常的に販売されています。
最近では、タルトレットに和素材を取り入れたアレンジも注目されています。抹茶、ほうじ茶、きな粉、黒ごま、餡子、柚子、紫芋などの和の食材をフィリングに取り入れた「和風タルトレット」は、日本のパティスリーならではの独自の進化形です。
セバスチャン・ブイエの「アサイーボウル」タルトレットや「バナーヌ」タルトレットのように、ヘルシー志向のフルーツやスーパーフードを取り入れた現代的なアレンジも広がりを見せています。タルトレットという伝統的な器は、時代の嗜好やトレンドを柔軟に取り込みながら、今なお進化を続けているお菓子なのです。
