材料の名前

日本語では「グラニュー糖」と呼ばれ、業界や商品パッケージ上では「グラニュ糖」と表記されることもある。「グラニュー」という言葉は、英語の「granulated(粒状にした)」が日本語に取り入れられる過程でなまったものだ。

各言語での名称は次のとおり。英語ではgranulated sugar、フランス語ではsucre semoule(シュクル・スムール)またはsucre cristallisé(シュクル・クリスタリゼ)、ドイツ語ではKristallzucker(クリスタルツッカー)、イタリア語ではzucchero semolato(ズッケロ・セモラート)と呼ばれる。いずれも「細かい結晶の砂糖」というニュアンスを含んでおり、世界各国で日常的に使われている呼び名である。

日本では家庭の調理にしっとりした上白糖を使う習慣が根強いが、世界的にみると「砂糖」といえばグラニュー糖を指すのが一般的だ。海外のレシピで単に”sugar”と書かれていたら、まずグラニュー糖のことだと考えてよい。

特徴

グラニュー糖を一言で表すなら、「もっとも純度が高く、クセのない砂糖」だろう。精糖工業会の資料によると、ショ糖純度は99.9%以上に達し、パールエースの計測データでは糖度99.97°Zという数値が示されている。これは上白糖の97.9%、三温糖の97.4%(いずれも日本食品標準成分表 八訂の値)と比べても際立って高い。

結晶の大きさはおよそ0.2〜0.7mmで、上白糖(0.1〜0.2mm)よりやや大きい。上白糖は結晶の表面に転化糖液(ブドウ糖と果糖の混合液)が塗布されているためしっとりしているが、グラニュー糖はこの転化糖をほとんど含まず、サラサラした手ざわりが特徴だ。指先でつまむと粒のひとつひとつが独立した感触で、計量しやすい点も利点といえる。

色は無色透明に近い白で、味わいは淡泊かつすっきりしている。上白糖のようなまとわりつくような甘さではなく、後味が残りにくい。そのため、素材そのものの風味を引き立てたいときに向いている。

栄養面では、日本食品標準成分表(八訂)で100gあたり394kcal、炭水化物100gとされている。たんぱく質と脂質はいずれも0g。ミネラル類もごく微量で、ほぼショ糖のみで構成されたシンプルな食品である。

溶解性にも優れている。水に溶けやすく、加熱時の溶解もスムーズなので、シロップやカラメルソースを作る際に均一な仕上がりが得やすい。ただし、冷水への溶解を求める場面では、グラニュー糖を顆粒状に加工した「フロストシュガー」のほうが適している場合もある。

用途

お菓子づくりにおいて、グラニュー糖はまさに万能選手だ。純度の高さゆえに生地の色や風味を邪魔しないため、洋菓子のレシピでは最も指定頻度の高い砂糖といってもよい。

スポンジケーキやシフォンケーキの生地に加えると、きめの細かい泡立ちを保ちやすく、ふんわりと軽い食感に仕上がる。卵白と合わせてメレンゲを作るときにも、溶け残りが少なく均一に混ざるため、安定した泡をつくることができる。クッキーやタルトなどの焼き菓子に使えば、サクサク・ザクザクとした軽やかな歯ざわりが生まれる。上白糖はその転化糖の影響で焼き色がつきやすいが、グラニュー糖は色づきが穏やかなので、白っぽく淡い焼き上がりを求めるマカロンやバニラクッキーにも適している。

お菓子以外にも活躍の場は広い。コーヒーや紅茶の甘味料としてはスティックシュガーの原料に使われ、飲み物本来の香りを損なわない。カラメルソースやシロップの調製では、純度が高いぶん焦がし具合をコントロールしやすく、味のブレが出にくい。ジャムやコンポートといった果物の加工でも、果実のフレッシュな色合いや酸味を活かせる利点がある。

さらに製パンの分野でも、パン生地の発酵を安定させる糖として使用されることがある。パン酵母(イースト)が分解しやすいショ糖をほぼ100%含んでいるため、発酵の速度をコントロールしやすい。

製菓の現場では、通常のグラニュー糖よりも結晶を細かくした「微粒子グラニュー糖」や「超微粒グラニュー糖」もよく使われる。結晶が小さいほど生地への馴染みが早く、ダマになりにくいため、繊細な作業が求められるプロのパティシエにも支持されている。

主な原産国・原料の産地

グラニュー糖の原料は大きく分けて二つある。サトウキビ(甘蔗)とテンサイ(甜菜、別名ビートまたは砂糖大根)だ。精糖工業会の情報によれば、世界の砂糖生産量のおよそ80%がサトウキビ由来、残る約20%がテンサイ由来とされる。

サトウキビの生産量は、ブラジルとインドが群を抜いている。GLOBAL NOTEが公開した2024年の国別統計では、ブラジルが約7億5966万トンで世界第1位、インドが約4億5316万トンで第2位だった。これにタイ、中国、メキシコなどが続く。ブラジルは世界最大の砂糖輸出国でもあり、国際的な砂糖価格に大きな影響力を持つ。

テンサイの主な産地はロシア、フランス、ドイツ、アメリカなどだ。ヨーロッパでは歴史的にテンサイ糖が主流で、「砂糖=グラニュー糖」という認識が広まった背景には、ビート由来の白い精製糖が普及したという事情がある。

日本国内では、サトウキビは沖縄県と鹿児島県の南西諸島で栽培されている。テンサイは北海道が唯一の産地であり、日本甜菜製糖(ニッテン)が「スズラン印」のブランド名で北海道産てんさい100%のグラニュー糖を製造・販売している。国内で市販されるグラニュー糖の多くは、海外から輸入した原料糖(サトウキビの搾り汁から粗精製した結晶)を国内の精製糖工場で精製して作られたものだ。

選び方とポイント

グラニュー糖を購入する際は、まず「粒子の大きさ」に注目するとよい。大きく分けて通常タイプと微粒子タイプがあり、用途によって使い分けると仕上がりに差が出る。

通常タイプは、コーヒーや紅茶に入れたり、カラメルソースを作ったりといった一般的な調理に向いている。結晶がしっかりしているため、保存中にダマになりにくく、計量もしやすい。家庭での普段使いにはこちらで十分だ。

一方、微粒子タイプは結晶が通常よりも細かく揃えてあり、生地やクリームに素早くなじむ。スポンジケーキのように泡立てた生地に砂糖を加える工程や、バターと砂糖をすり混ぜるクレーム作業では、微粒子のほうが均一に混ざりやすく、仕上がりのキメが整いやすい。製菓に本格的に取り組む人は、微粒子タイプを手元に置いておくと便利だろう。

原料で選ぶ方法もある。サトウキビ由来のグラニュー糖はもっとも一般的で、流通量が多く入手しやすい。北海道産テンサイ由来のグラニュー糖は、国産原料にこだわりたい人や、遺伝子組み換えの心配がない国産ビートを好む人に支持されている。風味は両者ともクセのないすっきりした甘さで、仕上がりに大きな差が出ることは少ないが、原料の産地やトレーサビリティを重視するなら商品の裏面表示を確認するとよい。

保存に関してもポイントがある。砂糖は長期保存が可能な食品で、賞味期限の表示義務がない。ただし、湿気を吸うと固まりやすくなるため、密閉容器に入れて直射日光と高温多湿を避けて保管することが望ましい。もし固まってしまった場合は、電子レンジで短時間加熱するか、食パンのかけらを容器に入れておくとほぐれやすくなる。

メジャーな製品とメーカー名

日本の家庭やプロの製菓現場で広く流通しているグラニュー糖の製品と、その製造・販売元を紹介する。

まず、国内製糖業界で大きなシェアを占めるのが「スプーン印」のブランド名で知られるDM三井製糖だ。同社は2021年に三井製糖と大日本明治製糖が経営統合して発足した企業で、家庭用の「スプーン印 グラニュ糖」は全国のスーパーマーケットに並ぶ定番商品となっている。業務用では結晶サイズ別にGN(並目)やGH-4(細目)などのラインナップを揃えており、製パン・製菓業者から高い評価を受けている。

次に挙げられるのが「カップ印」の日新製糖だ。家庭用の「カップ印 グラニュー糖」は500gや1kgの小袋パッケージで販売されており、手ごろな価格帯で人気がある。同社はグラニュー糖を顆粒状に加工した「フロストシュガー」の開発元でもあり、製糖技術への取り組みに定評がある。

「パールエース印」を冠する株式会社パールエースは、塩水港精糖の全額出資子会社として砂糖の総発売元を担う企業だ。家庭用の「パールエース グラニュ糖」は500gや1kgの袋で販売され、特にリーズナブルな価格設定で家計にやさしい商品として流通している。

北海道産てんさい100%にこだわるなら、日本甜菜製糖の「スズラン印 グラニュ糖」が代表格だ。北海道の士別製糖所で製造されるこの商品は、国産原料で漂白剤を使用しない製法を掲げ、素材の安全性を求める消費者から支持を集めている。

このほかにも、富澤商店(TOMIZ)ではオンラインショップを通じて微粒子グラニュー糖などの製菓向け専門品を取り扱っており、お菓子づくりに特化した品揃えで利用者が多い。

歴史・由来

グラニュー糖の歴史を語るには、砂糖そのものの歩みから振り返る必要がある。

砂糖の原料であるサトウキビの起源は古く、ニューギニア島周辺で紀元前8000年ごろには栽培が始まっていたとされる。ただし、当初は茎をかじって甘い汁を味わう程度だったようだ。砂糖が結晶として取り出されるようになったのは、紀元350年ごろのインドとされる。搾り汁を煮詰めて粒状の結晶にする技術が開発されたことで、保存や運搬が容易になり、「甘い香辛料」として交易品になっていった。ちなみに、英語の”sugar”の語源は、古代インドのサンスクリット語「Sarkara(シャルカラ)」にさかのぼるといわれている。

砂糖の精製技術が大きく前進したのは中世以降だ。13世紀にはイタリアのヴェネツィアが中東から運ばれた砂糖の加工拠点となり、ヨーロッパ各地へ供給される体制が整った。しかし、この時代の砂糖は円錐形の塊(シュガーローフ)に固められた形状が一般的で、現在のようなさらさらした粒状の砂糖とは異なるものだった。

ヨーロッパで大きな転機をもたらしたのが、テンサイ(ビート)からの製糖技術だ。1747年、ドイツの化学者アンドレアス・マルクグラーフがテンサイから糖分を抽出することに成功し、その弟子フランツ・カール・アハルトが工業的な製造法を確立した。19世紀初頭、ナポレオンがイギリスによる海上封鎖への対抗策としてテンサイ糖の生産を奨励したことで、ヨーロッパにおけるビート糖産業は急速に発展した。テンサイから作られる砂糖は精製しやすく、白くてさらさらした結晶——つまりグラニュー糖——に仕上がりやすかったため、ヨーロッパでは「砂糖=グラニュー糖」という認識が自然に広まっていった。

日本に砂糖が伝わったのは奈良時代とされ、鑑真が唐から持ち込んだという説がある。ただし、庶民に広まったのは江戸時代以降だ。1623年に琉球の儀間真常が中国から砂糖の製造法を学ばせ、黒糖の生産が始まった。その後、江戸幕府の奨励もあって讃岐(香川県)や阿波(徳島県)で和三盆の製造が発展した。

明治期に入ると、安価で品質の安定した洋糖(海外産の精製糖)が大量に輸入されるようになり、グラニュー糖もこの時期に日本へ本格的に入ってきた。国内での精製糖工業も発展し、現在のDM三井製糖や日新製糖、塩水港精糖などの前身となる企業が創業して、グラニュー糖の国内生産体制が整えられていった。とはいえ、日本では上白糖に転化糖液をまぶして独特のしっとり感と強い甘みを持たせた「上白糖」が家庭向けの主流となり、グラニュー糖はどちらかといえばプロの製菓や飲料向けに使われる傾向が続いた。

現在では、家庭でもお菓子づくりが身近な趣味として定着し、レシピサイトや動画でグラニュー糖の指定を目にする機会が増えた。その結果、日本の家庭でもグラニュー糖を常備する人が着実に増えている。

免責事項

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購入・ご利用の際は必ず最新のパッケージ表示または公式情報をご確認ください。特に食物アレルギーをお持ちの方は原材料を十分にご確認の上お求めください。
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