材料の名前(日本語・外国語)

日本語では「チョコレートコポー」、あるいは短縮して「チョココポー」と呼ばれる。フランス語での表記は「copeaux de chocolat(コポー・ド・ショコラ)」で、英語では「chocolate shavings(チョコレート・シェイビングス)」にあたる。「copeau(コポー)」はフランス語で「かんなくず」「削りくず」を意味する男性名詞であり、複数形は「copeaux(コポー)」となる。木材をかんなで削ったときに出るくるりと巻いた薄片のイメージが、そのままチョコレートの形状に重なることから、この名がつけられた。日本の製菓業界では、フランス語の発音をそのままカタカナに置き換えた「コポー」が定着している。

特徴

チョコレートコポーは、チョコレートを極薄のフレーク状あるいは巻き上げた形に削り出した製菓材料である。ひとくちに「コポー」といっても、その形状にはいくつかのバリエーションがある。大きく分けると、平たく薄くスライスしただけのフレーク型、カールしながら巻き上がった筒型(シガレット状)、そして小さな太鼓型に巻かれたものがある。いずれも厚みが非常に薄いため、口に入れた瞬間にほどけるような繊細な食感をもつ。

色合いも多彩で、ダーク(スイート)、ミルク、ホワイトの3種が基本。さらに、ピンクやパステルカラーに着色された製品も市販されている。たとえばピンク系は、紅花赤色素や紅麹色素といった天然色素で色づけられたものが一般的だ。こうした多色展開によって、パティシエはケーキの色調やテーマに合わせて自在にデコレーションを組み立てることができる。

また、コポーの原材料はチョコレートそのものであるため、当然ながら味もチョコレートである。砂糖、ココアバター、カカオマス、全粉乳、脱脂粉乳、ココアパウダーなどで構成され、製品によっては植物油脂が加わることもある。乳化剤と香料が添加されるケースが多い。

手作りする場合は、テンパリング(温度調整)を施したチョコレートを大理石やステンレスの平板に薄く伸ばし、半固まりの状態でナイフや包丁、あるいは皮むき器(ピーラー)を滑らせて削り出す。角度や力加減によって太さやカールの度合いが変わるため、職人の技術が問われる工程でもある。一方、業務用として販売されている既製品は、均一な形状に仕上がるよう機械で加工されている。手削りのものより割れにくく、形がそろっているため、大量に使用する際の作業効率が高い。

保存にあたっては、チョコレートと同じく高温と湿気が大敵となる。直射日光を避け、15~22℃程度の涼しく乾燥した場所に保管するのが望ましい。夏場は冷蔵庫での保存が推奨されるが、冷蔵庫から出した直後に急激に室温にさらすと結露が生じ、表面が白くなる「ブルーム現象」が起きることがある。使う分だけ少しずつ室温に戻すのがポイントだ。また、薄くて繊細な形状のため、輸送や取り出しの際に割れやすい点にも注意が必要である。

用途

チョコレートコポーのもっとも代表的な用途は、ケーキのデコレーションだ。フォレ・ノワール(ドイツ語でシュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ、いわゆるフォレノワール/黒い森のケーキ)は、側面や上面をダークチョコレートのコポーで覆い尽くすのが伝統的なスタイルとして知られている。ほかにも、ムースケーキ、ガトーショコラ、オペラ、ビュッシュ・ド・ノエル(クリスマスのブッシュドノエル)など、さまざまな洋菓子の仕上げに使われる。

ケーキの上に散らすだけでなく、側面に貼り付けて全体を覆うように使うこともある。手作業でひとつずつ貼り付ければ、立体的で表情豊かな見た目に仕上がる。ミルクとホワイトを混ぜて使えばコントラストが生まれ、ピンクを加えれば華やかさが増す。このように、コポーの配色と配置だけでケーキの印象を大きく変えられるのが、この素材の魅力といえる。

用途はケーキに限らない。アイスクリームやパフェのトッピング、ティラミスやムースの飾り付け、カップデザートの仕上げなど、幅広いスイーツに活躍する。さらに近年では、カプチーノやホットチョコレートなどの飲料に浮かべたり、溶かし込んだりする使い方も広がっている。フランスのチョコレートメーカー、ヴァローナ(Valrhona)は、バリスタ向けに「Ground Chocolate」というコポー(削りチョコレート)製品を展開し、温かい飲料用途への提案を進めている。

また、デコレーションだけでなく、焼き菓子やパンの生地に練り込む「インクルージョン」としての活用もある。薄いフレーク状のため、生地中で程よく溶け残り、焼き上がりにチョコレートの筋状の模様と風味を加えることができる。ストラッチャテッラ(チョコチップ入りアイスクリーム)の変化球として、コポーを使うレシピも存在する。

主な原産国

チョコレートコポーは加工品であるため、「原産国」には二つの意味合いがある。ひとつは製品としての製造国、もうひとつは原料であるカカオ豆の生産国だ。

製品としてのコポーは、日本国内では大東カカオや日新化工、たにぐちなどのメーカーが製造しており、業務用製菓材料店や通販で広く流通している。フランスではヴァローナが代表的なブランドで、プロ向けのコポー製品を手がけている。このほか、ベルギーやスイスのチョコレートメーカーも業務用デコレーション素材としてコポーを生産しているが、日本市場では国内メーカーの製品が主流を占めている。

一方、原料となるカカオ豆の主要生産国は、コートジボワールとガーナで世界の生産量の大部分を占める。このほか、インドネシア、エクアドル、カメルーン、ナイジェリアなどがカカオ豆の主要産地として知られている。コポーに加工されるチョコレートがどのカカオ原料を使っているかは製品によって異なり、パッケージの原材料欄から判断できることもあるが、一般的な業務用コポーの場合、複数産地のカカオをブレンドしたチョコレートが使われるケースが多い。

選び方とポイント

チョコレートコポーを選ぶ際に押さえておきたいポイントを、いくつかの観点から整理する。

まず、用途と仕上がりのイメージから種類を絞り込む。ダーク系は落ち着いた色合いで、フォレ・ノワールのような重厚感のあるケーキに向いている。ミルク系はやさしいブラウンで汎用性が高く、どんなケーキにも合わせやすい。ホワイト系は明るい色調で、ウェディングケーキやフルーツを主役にしたデザートとの相性がよい。カラータイプは季節の催事やバースデーケーキなど、華やかさを演出したい場面に適している。

次に、形状の好みと扱いやすさを確認する。既製品は形がそろっていて作業しやすく、大量生産のケーキやホテルのデザートビュッフェなど、効率を求める場面で重宝する。一方、手作りのコポーは不揃いなぶん自然な表情が生まれるため、個性的なパティスリーのショーピースに好まれる。家庭で少量だけ使う場合は、富澤商店(TOMIZ)やコッタ(cotta)などの製菓材料通販サイトで40~50g程度の小分けパックを購入するのが便利だ。業務用では450gや600gの大容量パッケージが一般的で、コストパフォーマンスにも優れる。

品質面では、チョコレートの原材料をチェックしたい。ココアバターの含有量が多い製品は口溶けがなめらかで風味も豊かだが、そのぶん温度変化に敏感で管理に気を遣う。植物油脂が多めに配合された製品はコストが抑えられ、温度耐性もやや高い傾向にあるが、風味の面ではピュアなチョコレートにはおよばない。使う場面と予算のバランスを見ながら選ぶとよいだろう。

保存期間も見逃せないポイントだ。コポーは薄い形状のため、板状のチョコレートよりも空気に触れる面積が大きく、酸化や吸湿が進みやすい。購入後は密封容器に入れ替え、なるべく早めに使い切ることを心がけたい。

メジャーな製品とメーカー名

日本国内で流通しているチョコレートコポーの代表的な製品とメーカーを紹介する。

はじめに挙げるのは、大東カカオ(DAITO CACAO)だ。1924年(大正13年)に東京で創業し、2024年に創業100周年を迎えた老舗のチョコレート原料専業メーカーである。ミルクチョコレートコポー(450g)、ホワイトチョコレートコポー(450g)をラインナップしており、いずれもスライスタイプのフレーク状コポーとなっている。業務用製菓材料の卸店やオンラインショップを通じて全国に供給されている。また同社はコポーのほかに「プチカールチョコ」という、コポーよりも小さくカールしたデコレーション用チョコレートも手がけている。

続いて、日新化工(NISSIN KAKO)。1948年に設立され、1956年に日本で初めてノーテンパリングタイプの洋生用チョコレートを開発したことで知られる業務用チョコレートメーカーである。「コポー ミルク」「コポー ホワイト」を600g入りで展開しており、特殊な製法で小さな太鼓型に巻き上げているのが特徴だ。手削りのコポーよりも均一で丈夫なため、ケーキの飾り付け作業がスムーズに進むと評価されている。

株式会社たにぐち(Taniguchi)も押さえておきたいメーカーだ。大阪に本社を構え、1979年に設立されたチョコレートオーナメントの専門メーカーで、業務用チョコレート飾りを幅広く手がけている。同社の「コポーピンクミックス(CO-1)」(500g)は、濃いピンク・薄いピンク・白の3色をブレンドした製品で、華やかな色合いが特徴。バレンタインや春のデコレーションケーキに人気がある。

海外メーカーとしては、フランスのヴァローナ(Valrhona)が挙げられる。1922年にフランス南東部のローヌ=アルプ地方タン=エルミタージュで創業した高級チョコレートメーカーで、世界中のパティシエから信頼を集めている。一般消費者向けには「コポー・ド・ショコラ ニャンボ68%」(250g)を販売しており、プロフェッショナル向けには「Ground Chocolate」シリーズとして、ガーナ産とグレナダ産のシングルオリジンコポーを3kgパッケージで展開している。

このほか、富澤商店(TOMIZ)やコッタ(cotta)などの製菓材料専門通販サイトでは、上記メーカーのコポー製品を小分けパッケージでも取り扱っており、家庭で少量だけ使いたいユーザーにとって手に入れやすい環境が整っている。

歴史・由来

チョコレートコポーの正確な誕生年や発明者を特定する文献は見当たらないが、その歩みはヨーロッパにおけるチョコレート菓子の発展と深く結びついている。

チョコレートが「飲み物」から「食べ物」へと変わる大きな転機は、1847年にイギリスのジョセフ・フライが固形チョコレートの製造に成功したことだった。その後、19世紀後半から20世紀にかけて、ヨーロッパ各地でチョコレートを使った洋菓子が次々と考案された。パティシエたちは、ケーキを美しく仕上げるために、チョコレートをさまざまな形に加工する技法を磨いていった。コポーもその過程で生まれた装飾技法のひとつと考えられている。

チョコレートコポーが一躍脚光を浴びるきっかけとなったのが、フォレ・ノワール(黒い森のケーキ)の誕生だ。ドイツの菓子職人ヨーゼフ・ケラーが1915年頃に考案したとされるこのケーキは、チョコレートスポンジ、キルシュ(さくらんぼの蒸留酒)風味のホイップクリーム、サワーチェリーの組み合わせで構成され、外側をダークチョコレートのコポーで覆い尽くすのが伝統的な姿である。このケーキの名前の由来には複数の説があるが、「コポーが暗い森の木々を思わせる」という説もそのひとつだ。20世紀を通じてフォレ・ノワールがヨーロッパ各地に広まるにつれ、コポーの技法と存在もまたパティシエの基本技術として定着していった。

フランスのパティスリー文化においては、コポーはショコラティエ(チョコレート職人)やパティシエの腕を見せる見せ場のひとつだった。テンパリングの精度、削る角度、力加減の微妙なコントロール。これらが合わさることで、薄くて均一で美しいカールを描くコポーが生まれる。パティスリーの修業時代にコポー削りを延々と練習させられたというエピソードは、現代でもしばしば語られる。

日本にチョコレートコポーが本格的に浸透したのは、戦後の洋菓子ブームとともにだった。1950年代以降、ホテルや洋菓子店でフランス菓子の技法が広まり、コポーによるデコレーションも一般化していった。やがて大東カカオや日新化工といった国内メーカーが既製品のコポーを製造・販売するようになり、手作業で削る手間をかけずにプロ仕様の仕上がりが得られるようになったことで、街のケーキ屋から大規模な製菓工場まで幅広く使われるようになった。

近年では、デコレーション用途にとどまらず、飲料への活用という新たな広がりが注目されている。ヴァローナが展開する「Ground Chocolate」シリーズは、バリスタやカフェオーナーに向けて、コポーをホットドリンクに溶かし込む提案をしている。ココアパウダーとは異なり、ココアバターを含むコポーは溶けたときに滑らかなコクが生まれるため、ホットチョコレートやカフェモカに独特のリッチな味わいをもたらす。伝統的な「削り飾り」という役割から、味と食感を構成する「素材」としての役割へ。チョコレートコポーは、いまなお進化の途上にあるといえるだろう。

免責事項

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購入・ご利用の際は必ず最新のパッケージ表示または公式情報をご確認ください。特に食物アレルギーをお持ちの方は原材料を十分にご確認の上お求めください。
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