材料の名前

白双糖は「しろざらとう」と読み、「白ザラ糖」や「上双糖(じょうそうとう)」とも呼ばれる。製菓業界では「白ザラ」と略されることも多い。英語圏では “white coarse sugar” や “white crystal sugar” に相当し、フランス語では “sucre cristallisé blanc”、ドイツ語では “weißer Kristallzucker” にあたる表現が用いられる。砂糖の分類上は「双目糖(ざらめとう)」の一種であり、グラニュー糖や中双糖と同じカテゴリーに属している。

「ざらめ」という呼び名は、結晶の粒が粗く、手で触れるとザラザラとした感触があることに由来するといわれている。もともと「粗目(あらめ)」と呼んでいたものが、しだいに「ざらめ」と音変化したという説が有力だ。漢字では「双目糖」と書くが、この表記自体は当て字である。

特徴

白双糖の最大の特徴は、砂糖の中で最高クラスの純度を持つ点にある。ショ糖(スクロース)の含有率は99.9%以上で、水分は0.01%以下。灰分や転化糖といった不純物がきわめて少なく、ほぼ純粋なショ糖の結晶といってよい。

結晶の粒径は1.0~3.0mm程度と、グラニュー糖(約0.5mm)に比べてかなり大きい。無色透明でガラスのような光沢を持ち、見た目にも美しい。手にとるとサラリとしており、湿気を帯びにくいので保存性にも優れている。

味わいは、クセのない淡白で上品な甘さ。上白糖のようなコクやしっとり感はなく、素材の風味を邪魔しない「引き立て役」としての性格が強い。結晶が大きいぶん溶けるのに時間がかかり、この「ゆっくり溶ける」性質がお菓子づくりでは重要な役割を果たす。加熱しても色がつきにくく、仕上がりを透明感のある美しい状態に保てるのも、菓子職人が白双糖を選ぶ理由のひとつである。

100gあたりのエネルギーは約393kcalで、炭水化物が100g、たんぱく質・脂質はともに0g。ミネラル類はほぼ含まれず、純粋なエネルギー源としての側面が際立つ。

なお、見た目のよく似た「中双糖(ちゅうざらとう)」は、製造工程でカラメルが加わるために黄褐色を帯びており、コクのある甘さを持つ別の砂糖である。白双糖と中双糖は結晶の大きさがほぼ同じだが、色・風味・用途がはっきりと異なる。

用途

白双糖は、一般家庭で日常的に使われる砂糖ではない。おもに製菓・製パン業界や飲料メーカーなど、プロの現場で重宝されている。

お菓子の分野では、カステラの底面に敷くザラメとしてなじみ深い。焼成後もしっかり残る大粒の結晶が、噛んだときのガリッとした食感を生み出す。飴(あめ)の製造にも適しており、高純度のおかげで雑味のない透明な飴を仕上げることができる。綿菓子の原料としても定番で、縁日の綿菓子機に投入されるザラメの多くは白双糖か中双糖である。ほかにも、あんこ(餡)を炊く際に純粋な甘さだけを加えたいとき、高級和菓子の干菓子や落雁の仕上げ、ゼリーやフォンダンの材料としても使われる。

洋菓子の世界では、クッキーやメレンゲ菓子のトッピングとしてそのまま振りかけ、焼成後にキラキラとした光沢と歯ざわりのアクセントを添える使い方がある。パン生地の表面に散らす「シュガートッピング」にも、溶けにくい白双糖はうってつけだ。

飲料の分野では、果実酒(梅酒など)や果実シロップを漬け込む際に、氷砂糖の代わりとして白双糖を用いることがある。大粒のためゆっくり溶け、果実からエキスを引き出しやすいとされる。リキュールの製造にも利用されるほか、高級な喫茶店ではコーヒーや紅茶に白ザラ糖を添えるところもある。ゆるやかに溶けていくことで、飲み進めるにつれて甘さが変化する楽しみを味わえるからだ。

主な原産国(原料の産地)

白双糖そのものは日本国内の精製糖工場で製造されるが、その原料となる「原料糖(粗糖)」の多くは海外から輸入されている。日本で消費される砂糖のうち、国産原料(さとうきびとてん菜)から作られるのは全体の約4割で、残りの約6割は原料糖として輸入されたものだ。

農畜産業振興機構の統計(2024年)によると、日本の原料糖の主要輸入先はオーストラリアが約9割を占め、タイが約1割で続いており、この2か国でほぼ全量をまかなっている。かつてはタイからの輸入比率が高かったが、2015年に発効した日豪EPA(経済連携協定)やCPTPP(TPP11)の影響を受けて、近年はオーストラリア産へのシフトが進んでいる。

国内で原料糖を産出する地域としては、さとうきびの産地である沖縄県や鹿児島県の奄美群島、そしててん菜(甜菜・ビート)の産地である北海道がある。これらの国産原料糖も精製糖工場に送られ、白双糖をはじめとする精製糖に加工される。

砂糖の原料であるサトウキビは、もともとニューギニア周辺が原産とされ、紀元前4世紀ごろにはインドで栽培と製糖が始まっていたとされる。そこからイスラム圏、ヨーロッパ、そして新大陸へと広がった。世界のサトウキビからの砂糖生産量でいえば、ブラジル、インド、中国が主要な生産国である。

選び方とポイント

白双糖を選ぶ際にまず確認したいのは、結晶の粒度(粒の大きさ)だ。メーカーや製品によって「小粒」「大粒」「特大粒」といった粒度の違いがあり、用途に合わせて使い分ける。たとえばカステラの底やパンのトッピングには大粒タイプが向いているし、飴やシロップを作る際にはやや小さめの粒のほうが扱いやすい場合がある。大東製糖では「結晶の粒度をお選びいただけます」と案内しており、業務用では目的に応じた粒度指定が一般的である。

次に確認したいのが、原材料の表示だ。精製糖は基本的に原料糖を精製して作られるため、原材料欄には「原料糖」とだけ記載されていることが多い。近年は「原料糖(オーストラリア製造又は国内製造)」のように原料原産地が併記されるようになった。特定の産地にこだわりがある場合はこの表示を確認するとよい。

保存のポイントとしては、白双糖はほかの砂糖に比べて水分が極めて少ないため、上白糖のように固まるトラブルは起こりにくい。ただし、湿気を吸うと結晶表面が溶けてべたつき、品質が落ちることがある。購入後は密閉できる容器に移し替え、直射日光を避けた冷暗所で保管するのが望ましい。砂糖は品質の変化が起こりにくい食品であるため、食品表示法上、賞味期限の記載が省略されているケースが多い。とはいえ、虫の混入や周囲のにおいの移りには注意が必要だ。ふた付きの容器に入れ、においの強い食品とは離して保管しよう。

メジャーな製品とメーカー名

白双糖を製造・販売している代表的なメーカーと製品を紹介する。

DM三井製糖は、「スプーン印」ブランドで知られる国内最大手の精製糖メーカーである。家庭用の「スプーン印 白ザラ糖 大粒 1kg」のほか、業務用として30kg入りの大袋も展開している。原材料は「原料糖(オーストラリア製造又は国内製造)」と表示されている。

ウェルネオシュガー(旧・日新製糖と伊藤忠製糖が2023年に経営統合し、2024年10月に合併して誕生した会社)は、「カップ印」ブランドで親しまれてきた。家庭用の「カップ印 白ザラ糖 1kg」は、梅酒や果実酒用として広く流通しており、スーパーマーケットでも手に取りやすい製品だ。

日本甜菜製糖(ニッテン)は、「スズラン印」ブランドで北海道産てん菜を原料にした砂糖を得意とするメーカーだが、白双糖については関門製糖(DM三井製糖グループの共同生産工場)で製造した製品も取り扱っている。「スズラン印 白双糖」として家庭用・業務用で販売されている。

大東製糖は、含蜜糖の製造で知られるメーカーだが、精製糖の白双糖も手がけている。業務用が中心で、結晶の粒度をオーダーに応じて選べるのが特長だ。高級菓子メーカーや飲料メーカーへの納入実績がある。

パールエース(塩水港精糖グループ)は、「パールエース印」ブランドで各種砂糖を販売しており、中双糖やグラニュー糖とともに白ザラ糖の業務用製品を展開している。

このほか、関門製糖や岡常製糖、東洋精糖といった精製糖メーカーも業務用の白双糖を製造しており、製菓工場やパン工場に納入されている。

歴史・由来

砂糖そのものの歴史は非常に古い。サトウキビの栽培と製糖は、紀元前4世紀ごろのインドが最古の記録とされている。そこから中東、ヨーロッパへと伝わり、大航海時代にはカリブ海や南米でサトウキビのプランテーションが広がった。

日本に砂糖が伝わったのは、8世紀の奈良時代とされる。唐の僧侶・鑑真が中国から持ち込んだという説や、遣唐使が持ち帰ったという説があるが、いずれにしても当時の砂糖は薬として扱われる希少品であった。室町時代から戦国時代にかけて南蛮貿易を通じて砂糖の輸入が増え、15世紀に茶の湯が興ると、茶菓子としての和菓子が発展し、砂糖の需要が高まった。

江戸時代には、徳川吉宗の殖産興業政策の一環としてサトウキビの国内栽培が奨励され、讃岐(香川県)の和三盆をはじめ、各地で砂糖づくりが盛んになった。しかし当時の製糖技術では、大粒で高純度の結晶を安定的に作ることは難しかった。

転機となったのは明治時代の開国である。1868年の明治維新以降、ヨーロッパやアジアから安価で良質な洋糖(精製糖)が大量に輸入されるようになり、日本の砂糖市場は大きく変わった。精製糖の分類としてザラメ糖(白双糖・中双糖・グラニュー糖)と車糖(上白糖・三温糖)が明確に区分されるようになったのもこの時期である。

近代的な精製糖工場が日本に誕生したのもまた明治時代だ。1895年、東京・小名木川畔の砂村(現在の江東区)に日本精製糖株式会社が設立され、これが日本初の本格的な精製糖事業とされている。その後、大日本製糖や台湾製糖といった企業が設立され、近代製糖業は急速に発展した。

白双糖の製造工程は、原料糖を温水に溶かして不純物を取り除き、活性炭やろ過を繰り返して無色透明な糖液を作るところから始まる。この高純度の糖液を結晶缶で煮詰め、時間をかけて大きな結晶を成長させ、遠心分離機で糖蜜を振り切ると、白双糖の結晶が得られる。精製工程の一番初めに煎糖(せんとう)されたものが最も純度が高く、白双糖やグラニュー糖がここに該当する。三温糖や中双糖は、糖蜜を繰り返し煮詰めて結晶化させる後半の工程から得られるもので、純度がやや低くなるぶん、独特の風味やコクが生まれる。

昭和・平成を経て製糖業界は再編が進んだ。2021年にはDM三井製糖ホールディングスが発足し、2023年には日新製糖と伊藤忠製糖が経営統合してウェルネオシュガーが誕生するなど、大手メーカーの合併・統合が相次いでいる。生産の効率化が進む一方、白双糖の品質や用途に大きな変化はなく、現在も高級菓子やリキュールの材料として安定した需要がある。

免責事項

商品紹介等については、公式サイトおよび公開情報を基に作成しております。
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購入・ご利用の際は必ず最新のパッケージ表示または公式情報をご確認ください。特に食物アレルギーをお持ちの方は原材料を十分にご確認の上お求めください。
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