材料の名前

和名は「ステビア」で、学名を Stevia rebaudiana Bertoni(ステビア・レバウディアーナ・ベルトニー)という。英語でも「Stevia」と綴り、スペイン語圏では「Estevia」と表記されることがある。原産地であるパラグアイの先住民グアラニー族は、この植物を「カアヘエー(Ka’a he’ê)」と呼んでいた。これはグアラニー語で「甘い草」を意味する言葉で、古くからこの植物が甘味を持つ草として認識されていたことがうかがえる。分類上はキク科ステビア属に属する多年草であり、ステビア属には150種以上の仲間が存在するが、強い甘味を持ち甘味料として利用されるのはこの1種だけである。

特徴

ステビアの最大の特徴は、砂糖のおよそ200〜300倍にもおよぶ強い甘味を持ちながら、カロリーがほぼゼロという点にある。甘味の正体は「ステビオール配糖体」と呼ばれる成分群で、代表的なものにステビオサイド(甘味度は砂糖の約300倍)とレバウディオサイドA(同約450倍)がある。レバウディオサイドAは後味や苦味が少なく、砂糖に近いすっきりとした甘さを持つため、近年の製品では高純度のレバウディオサイドAを主成分としたものが主流になっている。

甘味以外にも注目すべき性質がいくつかある。まず、熱に対して安定しており、焼き菓子や加熱調理にも使える。pH2.5〜9の範囲で分解されにくいため、酸性の食品やアルカリ性の食品のどちらにも対応できる。さらに、砂糖のようにアミノ酸と反応して茶色く変色する「褐変反応」を起こさないため、白い色味を保ちたい食品にも適している。虫歯の原因菌の栄養源にならない「非う蝕性」も見逃せないポイントで、ガムや飴、歯磨き粉に採用される理由のひとつとなっている。

また、微生物の栄養源にならないため発酵が進みにくく、保存性の観点でも有利にはたらく。吸湿性が低いことから、米菓やスナック菓子のようにサクサクとした食感を維持したい製品にも使いやすい。砂糖と併用すると、互いの甘味の質を補い合い、砂糖単体よりもまろやかで奥行きのある味わいになることも知られている。

一方で、高濃度で使用した場合に独特の後味や苦味を感じる場合があり、これが「ステビアはまずい」という評価につながることもある。ただし、レバウディオサイドAの含有率が高い高純度品や、酵素処理を施した製品ではこの後味が大幅に軽減されている。

用途

お菓子の分野では、低カロリーやノンシュガーを謳うキャンディー、ガム、チョコレート、焼き菓子、ゼリー、アイスクリームなどの甘味付けに幅広く使われている。砂糖の200倍以上の甘味度があるため、ごく少量で十分な甘さが得られ、結果として製品全体のカロリーを大幅に抑えられる。

お菓子以外の食品にも用途は広い。清涼飲料水やスポーツドリンク、乳飲料には古くから採用されており、1990年に大塚製薬が発売した「ポカリスエット ステビア」はステビアの知名度を一気に高めた製品のひとつである。漬物や佃煮、醤油、味噌といった和食の調味にも使われ、塩辛さを和らげる「塩馴れ効果」や、酢の酸味をまろやかにする「酸味との調和」が評価されている。コカ・コーラ社が2015年に発売した「コカ・コーラ ライフ」は、砂糖とステビア由来の甘味料を組み合わせたカロリーオフ飲料として話題を集めた。

さらに、氷菓やシャーベットの製造では、砂糖に比べて氷点降下が小さいため、凍らせた状態でも硬くなりすぎず、なめらかな食感をつくりやすいという利点がある。焼き菓子に使えば吸湿しにくいため、クッキーやせんべいの食感を長く保てる。このように、ステビアは単に「カロリーを減らすための代替甘味料」にとどまらず、食品の品質や加工適性を高める機能性素材としての側面を持っている。

主な原産国と生産国

ステビアの原産地は南米のパラグアイからブラジル南部にかけての地域である。野生種はパラグアイ東部のアマンバイ山地周辺に自生しており、この地域が植物学的な起源とされる。

現在、ステビア葉の栽培・ステビア抽出物の生産で圧倒的なシェアを持つのは中国である。市場調査会社の報告によれば、世界のステビア需要の大部分を中国産が賄っている。中国では主に雲南省、山東省、安徽省などで大規模な栽培が行われ、抽出・精製まで一貫して手がける企業が多い。

パラグアイは原産国として栽培の歴史が長く、近年では「ステビアのふるさと」としてのブランドを活かした高品質な葉の生産に注力している。そのほか、インド、ケニア、コロンビア、インドネシア、ベトナムなどでも栽培面積が拡大しており、世界各地で産地の多角化が進んでいる。日本国内では、ステビアの種子が初めて持ち込まれた1970年以降、北海道や九州などで試験栽培が行われてきたが、大規模な商業栽培は限定的で、甘味料製品の原料となるステビア葉は主に海外から輸入されている。

選び方とポイント

ステビア甘味料を選ぶ際に最も意識したいのは「甘味成分の種類と純度」である。製品に含まれるステビオール配糖体にはいくつかの種類があり、なかでもレバウディオサイドAの含有率が高い製品ほど、苦味や後味が少なく砂糖に近い味わいが得られる。食品添加物公定書に収載されている規格では、ステビオール配糖体の合計値が95%以上であることが求められており、この基準を満たす製品を選ぶのがひとつの目安になる。

形状にも粉末タイプ、液体タイプ、タブレット(錠剤)タイプなどがあり、用途に応じて使い分けるのがよい。お菓子づくりには計量しやすい粉末タイプが扱いやすく、飲み物に溶かすなら液体タイプが手軽である。粉末タイプのなかには、エリスリトールなどの糖アルコールで嵩(かさ)を増した製品もある。砂糖と同じ感覚で計量できるように甘味度を調整してあるため、レシピの置き換えがしやすい。

加えて、原材料表示を確認し、ステビア以外にどんな甘味料やフィラー(増量剤)が配合されているかをチェックすることも大切である。純粋なステビア抽出物だけの製品もあれば、砂糖やデキストリンなどが混合された製品もあるため、目的に合ったものを見極めたい。健康上の理由で糖質を制限している場合は、糖アルコール配合のものや純ステビア抽出物がよい選択肢となる。

メジャーな製品とメーカー名

日本のステビア甘味料業界を語るうえで外せないのが守田化学工業(大阪府東大阪市)である。同社は1971年に世界で初めてステビア甘味料を商品化した企業であり、業界のパイオニアとして知られる。代表的な製品として「ステビアロール」シリーズがあり、レバウディオサイドAの高含有品種を独自に開発したことでも世界的に評価されている。

日本製紙は化成品事業の一環としてステビア甘味料を手がけ、「ステビアフィン」「SKスイート」といったブランドを展開している。食品メーカーや飲料メーカー向けのB to B製品が中心で、砂糖に近い甘味質と使いやすさが特徴とされている。

ツルヤ化成工業(静岡県藤枝市)もステビア抽出物100%の甘味料を製造しており、受託製造(OEM)にも対応する。丸善製薬(広島県尾道市)や常磐植物化学研究所(千葉県佐倉市)、池田糖化工業(広島県福山市)、東洋精糖なども、ステビア工業会の会員企業としてステビア甘味料の製造や販売に関わっている。

海外に目を向けると、カーギル(Cargill)の「Truvia」やテイト&ライル(Tate & Lyle)の「TASTEVA」、イングレディオン(Ingredion)のステビア製品などが世界市場で広く流通している。カーギルのTruviaは、レバウディオサイドAをベースにした消費者向けの卓上甘味料として北米市場で高いシェアを持つ。

家庭用としては、日本国内のスーパーやドラッグストアでパルスイート(味の素)のステビア配合タイプや、各種プライベートブランドのステビア甘味料が入手できる。健康食品店やオンラインショップでは、海外ブランドの純ステビア抽出物粉末やリキッドステビアも購入可能である。

歴史・由来

ステビアと人間の関わりは、少なくとも16世紀まで遡る。スペインの古文書には、パラグアイの先住民が苦いマテ茶にステビアの葉を加えて甘味付けに使っていた記録が残されている。グアラニー族はこの植物を「カアヘエー」と呼び、甘味料としてだけでなく、薬草としても日常的に利用していた。

ステビアが学術的に注目されたのは19世紀末のことである。スイス出身の植物学者モイセス・サンティアゴ・ベルトニー(Moisés Santiago Bertoni)がパラグアイでこの植物を発見し、1899年に初めて学術的に記載した。その後、1905年に「Stevia rebaudiana Bertoni」として正式に植物分類学上の位置づけが確定された。属名の「Stevia」はスペインの植物学者ペドロ・ハイメ・エステーベ(Pedro Jaime Esteve)に因み、種小名の「rebaudiana」はパラグアイの化学者オビディオ・レバウディ(Ovidio Rebaudi)にちなんで名づけられている。

20世紀に入ると、ステビアの甘味成分に関する化学的な研究が進んだ。しかし、商業利用への道を切り開いたのは日本だった。1970年、北海道農林試験場の住田哲也氏がパラグアイからステビアの種子を日本に持ち込んだ。翌年には各地で試験栽培が始まり、1971年に守田化学工業が「ステビアエキス」を原料とするステビア甘味料製品「ステビアロール」を世界で初めて商品化した。こうして日本は、世界に先駆けてステビアの商業利用を実現した国となった。

1970年代後半から1980年代にかけて、日本国内では飴や歯磨き粉、清涼飲料水などへの採用が広がった。1990年には大塚製薬が「ポカリスエット ステビア」を全国発売し、ステビアの認知度は一般消費者の間にも浸透していった。1990年代後半のニアウォーターブーム(お茶やフレーバーウォーターなど、水に近い飲料が流行した時期)では、ステビアを使ったドリンクが数多く登場し、需要が一段と拡大した。

一方、海外ではステビアの安全性に関する議論が長く続いた。米国ではステビアは食品添加物としてなかなか認可されず、1990年代にはサプリメント(栄養補助食品)としてのみ販売が許可されていた。転機となったのが2008年で、国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同食品添加物専門家会議(JECFA)がステビオール配糖体の一日摂取許容量(ADI)をステビオール換算で0〜4mg/kg体重/日と設定し、安全性を正式に認めた。同年12月、米国食品医薬品局(FDA)は高純度レバウディオサイドAをGRAS(一般に安全と認められる物質)と認定し、食品への幅広い使用が可能となった。欧州連合(EU)でも2011年11月にステビオール配糖体(E960)が食品添加物として正式に認可され、ステビアは名実ともに世界規模で使用される甘味料となった。

2018年には日本の第九版食品添加物公定書にステビア抽出物が正式に収載され、国内の法的な位置づけも一層明確になった。現在では世界60カ国以上でステビアの使用が認められており、健康志向や糖質制限の広がりを背景に、市場は年々拡大を続けている。

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