材料の名前

日本語では「プロポリス」と表記し、別名「蜂ヤニ(はちヤニ)」とも呼ばれる。英語では “propolis”、フランス語でも “propolis”、ドイツ語では “Propolis”、スペイン語では “propóleo”、ポルトガル語では “própolis” と書く。語源はギリシャ語に由来し、「プロ(pro)」が「前・防御」、「ポリス(polis)」が「都市」を意味する。二つを合わせると「都市(=巣)を守るもの」という意味になり、ミツバチの巣における役割をそのまま言い表した名称となっている。英語圏では “bee glue(蜂の接着剤)” という通称でも知られる。

特徴

プロポリスは、セイヨウミツバチが樹木の新芽や樹皮、樹液から集めた樹脂に、自らの唾液や分泌酵素、蜜蝋などを混ぜ合わせて作り出す天然の樹脂状物質である。ミツバチは巣の隙間をこの物質で埋め、外敵の侵入を防いだり、巣内を清潔に保ったりする目的で活用している。おおむね6mm以下の小さな隙間に使われ、それ以上の大きな空間には蜜蝋が充てられる。

色は起源となる植物によって異なり、暗褐色のものが一般的だが、緑がかったもの(グリーンプロポリス)や赤みを帯びたもの(レッドプロポリス)も存在する。室温ではやや粘り気があり、温めるとさらに柔らかくなる一方、低温下では硬く、もろく割れやすい。独特の芳香があり、口に含むとピリッとした刺激と苦味を感じる。

プロポリスの一般的な組成は、樹脂・バルサムが約55%、蜜蝋(ワックス)が約30%、精油(芳香性油分)が約10%、花粉が約5%とされる。微量成分を含めると300~400種類に及ぶともいわれ、代表的なものとしてフラボノイド類(ガランギン、クリシン、ピノセムブリンなど)、桂皮酸誘導体(アルテピリンC、p-クマル酸、バッカリンなど)、各種ビタミン、ミネラル、アミノ酸、テルペン類がある。とりわけブラジル産グリーンプロポリスに豊富に含まれるアルテピリンCは桂皮酸誘導体の一種で、学術的にも注目度が高い成分である。

なお、プロポリスを集める習性を持つのはセイヨウミツバチだけで、ニホンミツバチを含むトウヨウミツバチにはこの行動がみられない。蜂蜜やローヤルゼリーと比べると採取量が少なく、人工的に合成することもできないため、希少性の高い天然素材といえる。

用途

お菓子の原材料としてのプロポリスは、のど飴(キャンディー)への配合が代表的な使われ方である。プロポリス特有のピリッとした刺激感がのどへの清涼感として活かされ、健康志向ののど飴として市場に定着している。ハチミツやオリゴ糖と組み合わせて苦味や刺激を和らげた製品が多い。

お菓子以外にも用途は幅広い。サプリメント(カプセル・粒・原液タイプ)としてはもっとも流通量が多く、健康食品売場や通販で日常的に販売されている。また、のどスプレー、歯磨き粉、マウスウォッシュといったオーラルケア製品にも配合される。化粧品分野では、化粧水やクリーム、石けんなどに保湿・整肌成分として使われるケースがある。

やや意外な用途としては、バイオリンのニス(つや出し)の材料として古くから利用されてきた歴史がある。リトアニアではプロポリスを原料としたリキュールも開発されており、飲料の世界にも広がりをみせている。

お菓子に使う場合は、あくまで風味と健康訴求を兼ねた副素材としての位置づけが一般的であり、大量に配合するものではない。独特の苦味や刺激があるため、はちみつ、レモン果汁、マヌカハニー、ユーカリなど、相性のよい素材と組み合わせることで風味のバランスが整えられている。

主な原産国

プロポリスは世界各地で採取されているが、品質・生産量の両面でもっとも評価が高いのはブラジルである。ブラジルにはアフリカナイズドミツバチ(アフリカミツバチとセイヨウミツバチの自然交配種)が生息しており、このミツバチは防衛本能が強く、プロポリスを大量に生産する特性をもつ。加えて、ブラジルの熱帯・亜熱帯の豊かな植生が多様な起源植物を提供するため、成分が豊富なプロポリスが採れる。なかでもミナスジェライス州産のグリーンプロポリスは最高級品として世界的に知られ、起源植物はキク科バッカリス属の「アレクリン・ド・カンポ」(学名: Baccharis dracunculifolia)である。

ブラジル以外では、中国、オーストラリア、アルゼンチン、ウルグアイ、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、トルコ、イタリア、エジプトなどが主要な産地として挙げられる。ヨーロッパ産や中国産はポプラ(特にクロポプラ)を主な起源植物とし、フラボノイドが多いのが特徴となっている。日本でもごく少量ながら北海道から沖縄まで採取の記録があるが、主に研究用途にとどまっている。

産地による成分差は大きく、ブラジル産グリーンプロポリスは中国産と比較してアルテピリンC(桂皮酸誘導体)の含有量が桁違いに多いとする分析結果が報告されている。産地選びはプロポリスの品質を左右する重要な要素であるため、製品を選ぶ際にはどの国のどの地域で採取されたものかを確認することが望ましい。

選び方とポイント

プロポリスを含むお菓子や健康食品を選ぶ際に押さえておきたいポイントをいくつか挙げる。

まず確認すべきは産地である。ブラジル・ミナスジェライス州産のグリーンプロポリスを原料としたものは、アルテピリンCなどの桂皮酸誘導体が豊富で、品質面の評価が高い。ヨーロッパ産はフラボノイド中心の成分構成になるため、目的に応じて選び分けるとよい。

次に、原塊の等級(グレード)を確認する方法がある。ブラジル産プロポリスの原塊には品質の高い順に等級が設けられており、信頼できるメーカーは使用している原塊のグレードを公表している場合が多い。等級が高いほど有用成分の含有量が多く、色は鮮やかな緑色を呈する傾向にある。

抽出方法も品質に関わる。代表的な抽出法としてはアルコール抽出、水抽出、ミセル化抽出、超臨界抽出の四つがある。もっとも歴史があり広く採用されているのはアルコール抽出で、プロポリスの脂溶性成分を効率よく溶かし出せる利点がある。水抽出はアルコールに弱い人や子ども向け製品に適しているが、抽出できる成分の幅はアルコール抽出よりやや狭い。超臨界抽出は高度な技術を要するものの、不純物が少なく高純度の抽出が可能とされる。

お菓子として購入する場合は、プロポリスの含有量や配合割合がパッケージに明記されているかどうかも大切な判断材料になる。「プロポリス配合」と謳っていても、ごく微量しか含まれない製品も存在するため、成分表示をよく読む習慣をつけたい。

また、プロポリスは蜂由来の天然物質であるため、蜂製品にアレルギーのある人は注意が必要である。はちみつアレルギーがある場合はプロポリスでも反応が出る可能性がある。初めて口にする場合は少量から試し、体調に変化がないか確認するのが無難だろう。

メジャーな製品とメーカー名

プロポリスを使ったお菓子・食品の分野では、以下のメーカーと製品が広く知られている。

森川健康堂(熊本県)は「プロポリスキャンディー」で長年の実績を持つメーカーである。ブラジル産グリーンプロポリスにハチミツやオリゴ糖を加えたのど飴で、プロポリス特有のピリッとした刺激と甘さのバランスが支持されている。通販やドラッグストアで手に入りやすい。

UHA味覚糖(大阪府)は「プロポリスのど飴」シリーズを展開している。濃縮プロポリスに加え、マヌカハニーやローヤルゼリーを配合した製品など、バリエーションが豊富。コンビニエンスストアやスーパーマーケットでも広く流通しており、手軽に入手できる点が強みである。

山田養蜂場(岡山県)はプロポリス関連製品の総合メーカーとして知名度が高い。「プロポリスキャンディー」のほか、原液タイプやカプセルタイプのサプリメント、のどスプレーなど幅広いラインナップを揃えている。自社の健康科学研究所でプロポリスの研究を長年続けており、品質管理への信頼感がある。

浅田飴(東京都)は「プロポリスマヌカハニーのど飴」を販売している。のど飴の老舗メーカーとしての技術を活かし、プロポリスとマヌカハニーを組み合わせた製品を展開している。

サプリメント寄りの製品としては、ブラジル寺尾養蜂日本支社が扱う「恵の蜂グリーンプロポリス」が、グリーンプロポリス発見者の養蜂場による製品として知られている。プロポリス原液やスプレータイプが主力商品で、品質にこだわる層から支持されている。

歴史・由来

プロポリスと人間の関わりは非常に古く、紀元前にまでさかのぼる。もっとも古い記録のひとつが古代エジプトにおけるミイラづくりである。エジプト人はプロポリスの防腐・抗菌作用に着目し、遺体の保存処理に利用していたとされる。

古代ギリシャでは、哲学者アリストテレスが自然科学の研究のなかでプロポリスに言及している。また、ギリシャではプロポリスを主成分とした香料「ポリアンサス」が作られていた記録もある。傷口の治療や皮膚疾患への外用薬としても用いられていたとされ、医学の父と呼ばれるヒポクラテスがプロポリスを潰瘍や傷の治療に推奨したという説もあるが、原典での確認が難しく、議論の余地が残っている。

古代ローマでは「天然の抗生物質」としてプロポリスが活用され、兵士の傷の手当てにも使われたと伝えられている。中世ヨーロッパでもプロポリスの薬効は民間レベルで受け継がれ、12世紀頃からは口腔内の治療に用いられた記録が残る。

近代に入り、プロポリス研究は科学的な段階へと移行した。20世紀後半、特に1980年代以降に研究が加速する。日本においては、1985年に名古屋で開催された第30回国際養蜂会議でプロポリスの有用性が発表されたことが大きな転機となった。1991年には、第50回日本癌学会総会で松野哲也(当時・国立予防衛生研究所)がブラジル産プロポリスに抗腫瘍活性をもつ物質が含まれることを報告し、日本国内での研究がさらに活発化した。

ブラジル産プロポリスの歴史において特筆すべきは、1988年に日本人養蜂家の寺尾貞亮がミナスジェライス州フォルミーガ地方で緑色のプロポリス原塊を発見したことである。これが「グリーンプロポリス」として世界に広まり、アルテピリンCをはじめとする特有成分の研究が進む契機となった。従来のプロポリスは褐色が一般的だったため、緑色の原塊の発見は業界に大きなインパクトを与えた。

その後、1990年代から2000年代にかけて、抗菌・抗炎症・抗腫瘍作用をはじめとするさまざまな生理活性が科学的に検証され、学術論文としても数多く発表されている。現在では健康食品として世界規模で市場が拡大しており、のど飴やサプリメントを通じて一般消費者にも身近な素材となっている。

免責事項

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購入・ご利用の際は必ず最新のパッケージ表示または公式情報をご確認ください。特に食物アレルギーをお持ちの方は原材料を十分にご確認の上お求めください。
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